■全国保証 (T:7164)の業績動向
2. 2018年3月期決算の概要
中期経営計画の初年度である2018年3月期の業績は、営業収益が前期比10.3%増の39,599百万円、営業利益が同10.8%増の31,179百万円、経常利益が同10.3%増の31,974百万円、当期純利益が同12.9%増の22,052百万円と計画を上回る増収増益を実現し、過去最高益を更新した。
中期経営計画に対しても2年目の損益計画を前倒しで達成している。
保証債務残高の拡大(前期末比8.3%増の11兆7,893億円)が増収に寄与。
特に、住宅ローン市場全体の新規貸出額が前年度を下回る状況となったなかで、同社の新規保証実行金額は大型銀行(メガバンクや信託銀行、大手地銀など)との取引拡大により比較的堅調に推移し、業績の伸びを下支えした※。
※新設着工住宅数の減少や金利低下に伴って高まっていた借換需要が一巡したことを背景として、民間金融機関の住宅ローン新規貸出額は前年同期を13.3%下回った(2018年3月期第3四半期までの実績)が、同社の新規保証実行金額(通年)は前期比1.4%の減少に踏みとどまった。
また、提携金融機関数は新たに13機関(銀行2行、JA11組合)との契約締結により合計746機関(前期末比8機関増)に拡大した。
特に、注力する銀行との提携率は前期末の80.0%から81.8%(110行中90行)と着実に増えている。
また、損益面で営業利益が計画を大きく上回ったのは、増収による利益の底上げに加えて、与信関連費用が想定を大きく下回ったことに起因する。
その背景には、代位弁済の発生が低位で推移したことや代位弁済後の求償債権に対する回収が順調に進んだことなどがある。
財務面では、総資産が「現金及び預金」(流動資産)や「投資有価証券」(固定資産)の増加により前期末比11.7%増の294,137百万円に拡大したが、それ以上に自己資本も内部留保の積み増しにより108,002百万円に増加したことから、自己資本比率は36.7%(前期末は34.2%)に改善した。
一方、負債については保証債務残高の伸びに伴って「前受収益」が長短併せて172,175百万円(前期末比7.5%増)に増加したが、流動比率は700%を超える極めて高い水準を維持しており、当面の支払い能力に懸念はない。
また、資本効率を示すROEも20%を超える水準を確保しており、財務内容は引き続き優良な状態にあると評価することができる。
2019年3月期も好調な決算が継続する見通し
3. 2019年3月期の業績予想
2019年3月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比5.4%増の41,750百万円、営業利益を同2.7%増の32,020百万円、経常利益を同2.6%増の32,800百万円、当期純利益を同2.5%増の22,600百万円と増収増益となり、中期経営計画を上回るペースでの業績の伸びを実現する見通しである。
業績予想の前提として、2019年3月期末の保証債務残高を12兆7,000億円(前期末比7.7%増)、与信関連費用を3,240百万円(前期比36.5%増)と見込んでいる。
弊社では、大型銀行との取引拡大が着実に進展していることなどから同社業績予想の達成は十分に可能な水準であると評価している。
また、与信関連費用の前提についても、好調な外部環境(良好な雇用環境など)から判断して現時点では合理性があるものの、保守的な水準と認識しており、2018年3月期同様、与信関連費用が業績の上振れ要因となる可能性もあると弊社では見ている。
さらには、消費増税前の駆け込み需要の影響などにも注意が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
2. 2018年3月期決算の概要
中期経営計画の初年度である2018年3月期の業績は、営業収益が前期比10.3%増の39,599百万円、営業利益が同10.8%増の31,179百万円、経常利益が同10.3%増の31,974百万円、当期純利益が同12.9%増の22,052百万円と計画を上回る増収増益を実現し、過去最高益を更新した。
中期経営計画に対しても2年目の損益計画を前倒しで達成している。
保証債務残高の拡大(前期末比8.3%増の11兆7,893億円)が増収に寄与。
特に、住宅ローン市場全体の新規貸出額が前年度を下回る状況となったなかで、同社の新規保証実行金額は大型銀行(メガバンクや信託銀行、大手地銀など)との取引拡大により比較的堅調に推移し、業績の伸びを下支えした※。
※新設着工住宅数の減少や金利低下に伴って高まっていた借換需要が一巡したことを背景として、民間金融機関の住宅ローン新規貸出額は前年同期を13.3%下回った(2018年3月期第3四半期までの実績)が、同社の新規保証実行金額(通年)は前期比1.4%の減少に踏みとどまった。
また、提携金融機関数は新たに13機関(銀行2行、JA11組合)との契約締結により合計746機関(前期末比8機関増)に拡大した。
特に、注力する銀行との提携率は前期末の80.0%から81.8%(110行中90行)と着実に増えている。
また、損益面で営業利益が計画を大きく上回ったのは、増収による利益の底上げに加えて、与信関連費用が想定を大きく下回ったことに起因する。
その背景には、代位弁済の発生が低位で推移したことや代位弁済後の求償債権に対する回収が順調に進んだことなどがある。
財務面では、総資産が「現金及び預金」(流動資産)や「投資有価証券」(固定資産)の増加により前期末比11.7%増の294,137百万円に拡大したが、それ以上に自己資本も内部留保の積み増しにより108,002百万円に増加したことから、自己資本比率は36.7%(前期末は34.2%)に改善した。
一方、負債については保証債務残高の伸びに伴って「前受収益」が長短併せて172,175百万円(前期末比7.5%増)に増加したが、流動比率は700%を超える極めて高い水準を維持しており、当面の支払い能力に懸念はない。
また、資本効率を示すROEも20%を超える水準を確保しており、財務内容は引き続き優良な状態にあると評価することができる。
2019年3月期も好調な決算が継続する見通し
3. 2019年3月期の業績予想
2019年3月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比5.4%増の41,750百万円、営業利益を同2.7%増の32,020百万円、経常利益を同2.6%増の32,800百万円、当期純利益を同2.5%増の22,600百万円と増収増益となり、中期経営計画を上回るペースでの業績の伸びを実現する見通しである。
業績予想の前提として、2019年3月期末の保証債務残高を12兆7,000億円(前期末比7.7%増)、与信関連費用を3,240百万円(前期比36.5%増)と見込んでいる。
弊社では、大型銀行との取引拡大が着実に進展していることなどから同社業績予想の達成は十分に可能な水準であると評価している。
また、与信関連費用の前提についても、好調な外部環境(良好な雇用環境など)から判断して現時点では合理性があるものの、保守的な水準と認識しており、2018年3月期同様、与信関連費用が業績の上振れ要因となる可能性もあると弊社では見ている。
さらには、消費増税前の駆け込み需要の影響などにも注意が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)