■今後の見通し
(1) 2017年8月期の業績見通し
ヒマラヤ (T:7514)の2017年8月期の連結業績は、売上高が前期比2.0%増の73,500百万円、営業利益が同18.9%増の1,170百万円、経常利益が同14.7%増の1,220百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が550百万円(前期は499百万円の損失)と増収増益となる見通しだ。
9月の既存店売上高は台風の影響等によりヒマラヤ、B&Dともにやや低調な滑り出しとなったが、2016年の冬は平年並みの気温で推移することを前提に前期に不振だったウィンタースポーツ用品含む冬物季節商材全般の売上回復が見込まれること、また、低調だったサッカー用品もシューズ関連を中心に徐々に回復の兆しが見え始めており、通期では前年比でプラスに転じてくるものと予想される。
営業利益は増収効果と売上総利益率の改善によって増益に転じる見通しだ。
売上総利益率はウィンタースポーツ用品の売上回復や、値引き販売の抑制により前期比0.6ポイント上昇の36.7%となる見通し。
一方、販管費率は前期比0.4ポイント上昇の35.1%を見込んでいる。
販促費の効率化が進むものの、EC事業の拡大に伴う物流費の増加やシステム投資増に加えて、退職給付費用や事業税の負担が増加することが要因だ。
(2)商品別売上見通し
商品別では、一般スポーツ用品が前期比1.4%増と増収に転じる見通し。
引き続きシューズを中心としたランニング関連用品の堅調が続くほか、サッカー用品や衣料品なども徐々に回復すると見ている。
また、スキー・スノーボード用品については前期比17.9%増と2ケタ増収を見込んでいる。
2016年8月期に大きく落ち込んだ反動によるもので、2015年8月期との比較で見れば保守的な計画であり平年並みの気温で推移すれば十分達成可能な水準と言える。
一方、ゴルフ用品は前期比0.2%増、アウトドア用品は同0.5%増とそれぞれ微増収にとどまる見通しだ。
ゴルフ用品についてはゴルフクラブの新製品投入効果が前年よりも弱い年となることや、価格競争が継続していることが要因で、アパレル関連の伸びでカバーしていく計画となっている。
アウトドア用品については、タウンユースの需要は引き続き堅調な推移を見込んでいるものの、登山の実需面では関連用品の減少を見込んでいる。
(3)市場環境と取り組み施策について
スポーツ用品小売業界は少子化による若年層の減少により市場全体が頭打ちとなるなかで、ネットショップや中古市場の拡大、異業種企業の参入等もあり、今後、競争が一段と激化すると見ている。
こうしたなかで同社では、「出店地盤の強化と店舗の付加価値向上」「グループ戦略の再構築、新業態の開発」に取り組んでいくことで、成長を目指していく考えだ。
a)出店地盤の強化と店舗の付加価値向上
出店戦略に関しては引き続きドミナント戦略に基づき、既存店の地盤を強化しつつ店舗網を拡大していく戦略に変わりない。
2017年8月期の出店計画として上期中に5店舗が確定しており、下期以降も条件に適う物件が出てくれば出店を検討していく考えだ。
新規出店のうちリブレ豊田元宮店は店舗面積で1,500坪を超え、岐阜本店と並ぶ大型旗艦店としてその動向が注目される。
一方で、2017年8月期は13店舗の閉店を予定している。
2018年8月期以降は不採算店舗の払拭により収益面でプラスに寄与することが予想される。
店舗の付加価値向上施策としては、メーカーとタイアップしたスポーツイベントの開催や、店舗でのトレーニングイベントの開催など体験する場を提供していくことで集客力を高め、また、足型測定器、ガット張機、刺繍機などの店舗内設備の充実によって顧客サービスを向上することにより、固定客を取り込んでいく戦略だ。
b)グループ戦略の再構築、新業態への取り組み
2017年8月期は新たな施策として特定スポーツに特化した専門業態や、カジュアル業態などを検討対象として新業態への取り組みを進めている。
現時点で具体的な内容は明らかにされていないが、下半期には実店舗の出店を開始する計画だ。
新業態については当面は、立上げ費用等の先行により収益への貢献度は低いとみられるが、今後の持続的な成長を図る上においては、重要なカギを握ることになると考えられ、その動向が注目される。
なお、既存のヒマラヤのスポーツ量販店業態についてはマス市場の顧客層を引き続きターゲットとしていくほか、B&Dについては学生を主な顧客層とし、サッカーや競技スポーツなどの専門店としての強みをさらに伸ばしていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
(1) 2017年8月期の業績見通し
ヒマラヤ (T:7514)の2017年8月期の連結業績は、売上高が前期比2.0%増の73,500百万円、営業利益が同18.9%増の1,170百万円、経常利益が同14.7%増の1,220百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が550百万円(前期は499百万円の損失)と増収増益となる見通しだ。
9月の既存店売上高は台風の影響等によりヒマラヤ、B&Dともにやや低調な滑り出しとなったが、2016年の冬は平年並みの気温で推移することを前提に前期に不振だったウィンタースポーツ用品含む冬物季節商材全般の売上回復が見込まれること、また、低調だったサッカー用品もシューズ関連を中心に徐々に回復の兆しが見え始めており、通期では前年比でプラスに転じてくるものと予想される。
営業利益は増収効果と売上総利益率の改善によって増益に転じる見通しだ。
売上総利益率はウィンタースポーツ用品の売上回復や、値引き販売の抑制により前期比0.6ポイント上昇の36.7%となる見通し。
一方、販管費率は前期比0.4ポイント上昇の35.1%を見込んでいる。
販促費の効率化が進むものの、EC事業の拡大に伴う物流費の増加やシステム投資増に加えて、退職給付費用や事業税の負担が増加することが要因だ。
(2)商品別売上見通し
商品別では、一般スポーツ用品が前期比1.4%増と増収に転じる見通し。
引き続きシューズを中心としたランニング関連用品の堅調が続くほか、サッカー用品や衣料品なども徐々に回復すると見ている。
また、スキー・スノーボード用品については前期比17.9%増と2ケタ増収を見込んでいる。
2016年8月期に大きく落ち込んだ反動によるもので、2015年8月期との比較で見れば保守的な計画であり平年並みの気温で推移すれば十分達成可能な水準と言える。
一方、ゴルフ用品は前期比0.2%増、アウトドア用品は同0.5%増とそれぞれ微増収にとどまる見通しだ。
ゴルフ用品についてはゴルフクラブの新製品投入効果が前年よりも弱い年となることや、価格競争が継続していることが要因で、アパレル関連の伸びでカバーしていく計画となっている。
アウトドア用品については、タウンユースの需要は引き続き堅調な推移を見込んでいるものの、登山の実需面では関連用品の減少を見込んでいる。
(3)市場環境と取り組み施策について
スポーツ用品小売業界は少子化による若年層の減少により市場全体が頭打ちとなるなかで、ネットショップや中古市場の拡大、異業種企業の参入等もあり、今後、競争が一段と激化すると見ている。
こうしたなかで同社では、「出店地盤の強化と店舗の付加価値向上」「グループ戦略の再構築、新業態の開発」に取り組んでいくことで、成長を目指していく考えだ。
a)出店地盤の強化と店舗の付加価値向上
出店戦略に関しては引き続きドミナント戦略に基づき、既存店の地盤を強化しつつ店舗網を拡大していく戦略に変わりない。
2017年8月期の出店計画として上期中に5店舗が確定しており、下期以降も条件に適う物件が出てくれば出店を検討していく考えだ。
新規出店のうちリブレ豊田元宮店は店舗面積で1,500坪を超え、岐阜本店と並ぶ大型旗艦店としてその動向が注目される。
一方で、2017年8月期は13店舗の閉店を予定している。
2018年8月期以降は不採算店舗の払拭により収益面でプラスに寄与することが予想される。
店舗の付加価値向上施策としては、メーカーとタイアップしたスポーツイベントの開催や、店舗でのトレーニングイベントの開催など体験する場を提供していくことで集客力を高め、また、足型測定器、ガット張機、刺繍機などの店舗内設備の充実によって顧客サービスを向上することにより、固定客を取り込んでいく戦略だ。
b)グループ戦略の再構築、新業態への取り組み
2017年8月期は新たな施策として特定スポーツに特化した専門業態や、カジュアル業態などを検討対象として新業態への取り組みを進めている。
現時点で具体的な内容は明らかにされていないが、下半期には実店舗の出店を開始する計画だ。
新業態については当面は、立上げ費用等の先行により収益への貢献度は低いとみられるが、今後の持続的な成長を図る上においては、重要なカギを握ることになると考えられ、その動向が注目される。
なお、既存のヒマラヤのスポーツ量販店業態についてはマス市場の顧客層を引き続きターゲットとしていくほか、B&Dについては学生を主な顧客層とし、サッカーや競技スポーツなどの専門店としての強みをさらに伸ばしていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)