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東京外為市場・正午=ドル90円前半に上昇、幅広くドル買いが進む

発行済 2009-12-17 13:08

       ドル/円   ユーロ/ドル  ユーロ/円

正午現在   90.02/04  1.4431/34  129.92/97

午前9時現在 89.84/89  1.4522/27  130.50/56

NY17時現在 89.76/80  1.4534/39  130.45/52

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 [東京 17日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場の午後5時時点か

ら上昇し、90円前半で推移している。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明をきっか

けとする海外市場でのドル買いを引き継いで、東京市場でもドルが幅広く買われた。対円

では輸出企業のドル売りとの攻防のなかでじりじりと上値を切り上げ、対ユーロでは急ピ

ッチにドル買いが進んだ。正午過ぎには一時1.44ドルを割り込んで3カ月ぶり高値を

更新している。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)声明は、政策金利を「長期間(for an extended pe

riod)」ゼロ付近に維持する方針をあらためて示した一方で、11月雇用統計の改善を受

けて労働市場に関する判断などがやや上方修正された。

 ドイツ証券シニア為替ストラテジストの深谷幸司氏は「単月の雇用統計を金融政策にす

ぐに反映させることはないが、FOMCが雇用改善の方向感を持っていることは明らかに

なった。1─3月期にも『長期間(for an extended period)』との表現が変わる可能性

が出てきた」とみている。異例の政策からの出口が意識されたことでドルが幅広く買われ、

海外市場で対円では89.99円まで、対ユーロでは1.4505ドルまで上昇した。

 こうした動きを引き継いで、東京市場でもドル買いが進行。ドル/円は10日ぶりに

90円を回復した。90円ちょうどにあるとみられる輸出企業の売りを攻めあぐねて90

円をめぐる攻防がしばらく続いたが、昼前にここを抜けて正午過ぎには90.19円まで

上昇した。90円台にはまだ輸出企業の売りが控えているとみられるが、これを吸収する

形でじりじりとドル買いが進んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>が

国内外で行う21日払い込みの1兆円規模の増資が円買い材料として話題になった一方、

明日設定される外貨がらみの投信が円売り材料として関心を集めた。

 ドルは対ユーロでは急ピッチに上昇した。10月2日の安値(1.4480ドル)にあ

ったストップロスをつけてドル買いが加速、その後も波状的にドル買いが進んで正午過ぎ

までに1.44ドルを割り込み、1.4389ドルまで買い進まれて3カ月ぶり高値を更

新した。また「豪ドル/米ドルでもドルの上昇余地がありそうだ。スパイラル的にドル買

いが進む可能性がある」(国内銀行)とみる声が出ている。

 

 <日銀の追加緩和観測による円売りも>

 きょうから始まる日銀の金融政策決定会合も、ドル/円の上昇の一因になった。「海外

勢のなかには明日、日銀が追加の緩和策に踏み切るとの見方もあり、円を売る動きがでて

いる」(大手銀行)という。国内勢の間では日銀は臨時会合で緩和措置を打ったばかりの

ため今回は動かないとみる声が多く、円売りポジションの巻き戻しが出れば短期的には

90円前後でのもみあいを長引かせる可能性もあるという。

 しかし「今回は動かないとしても、追加緩和観測は市場にくすぶり続けることになる。

FOMCで米国が出口への意識を強めた一方で、日本は出口から一番遠いとの見方による

円売りの動きはすでに始まっている」(大手銀行)との声が上がっている。

 <FOMCの判断上方修正でドル買い、リスク・オンのドル売りにつながらず>

 ドイツ証券の深谷氏は、11月の雇用統計発表のころから、米景気の改善はリスク・オ

ンのドル売りではなく、ドル買いの材料になってきたと指摘。「米低金利政策からの出口

を意識し始めたことで米金利が下がりにくくなった。金融相場が転換点を迎えつつある。

豪ドルなど高金利通貨はともかく、商品など金利がなくキャピタル・ゲインだけをねらう

投資は厳しくなりそうだ」(ドイツ証券、深谷氏)という。

 市場では「今回のドル上昇は、基本的にはこれまでのドル売りポジションの巻き戻しの

側面が大きい」(邦銀)との声が上がっている。ただ「それだけではなく、米長期金利の

上昇をにらんで別の流れがでてくる可能性がある」(大手銀行)との声も出ている。

 住友信託マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は「ドルの地位低下によるドル売り

の流れは変わらないが、米長期金利が下がりにくくなったことで、これまでの一方的なド

ル・キャリーに変化の兆しが出ている」としている。

 

 <S&Pはカバードボンド1.46兆ユーロを「クレジットウォッチ」>

 米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は16日、格付け手法の変更に伴い、

総額1兆4600億ユーロ(2兆1270億ドル)のカバードボンドを「クレジットウォ

ッチ・ネガティブ」もしくは「クレジットウォッチ・ディベロッピング」に指定したこと

を明らかにした。 カバードボンドは欧州系の銀行がコストの安い資金調達手段として利

用しているが、今後、格下げが相次ぐ可能性がある。

 市場では 「ドバイ問題で欧州の銀行の融資への不安が高まりヨーロッパ・リスクが意

識されたが、カバードボンドが格下げされるようなら追加的な不安要因になりそうだ」

(別の邦銀)との声が出ている。

 

 (ロイター日本語ニュース 松平陽子)

( ロイターメッセージング:yoko.matsudaira.reuters.com@reuters.net 

E-mail:yoko.matsudaira@thomsonreuters.com; 03-6441-1795) 

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