ドル/円
午後3時現在 80.96/97 1.4363/64 116.28/32
正午現在 81.05/06 1.4356/57 116.34/38
午前9時現在 80.94/95 1.4346/47 116.14/18
NY17時現在 80.86/90 1.4324/28 115.96/01
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[東京 2日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点と
ほぼ変わらずの80円後半。この日は投信など資本勢による外貨買い/円売りがみられた
ほか、内閣不信任案採決をにらんだ海外勢の円売りも出ていたが、市場では米景気の先行
きに対する懸念が広がり、ドルの上値が伸び悩んだ。
ドルは海外投機筋や資本勢の買いに支えられ朝方一時81.33円まで上昇したが、そ
の後は上値が重い展開となり、81円を挟んだ一進一退となった。海外市場では、5月の
ADP全米雇用報告や5月米ISM製造業景気指数が予想を大きく下回ったことや、米ダ
ウ工業株30種<.DJI>が279ドル超下落し、米10年債利回りが3%を下回るなど、米
景気に対する弱気の見方が台頭した。この地合いを引き継いで、東京時間にも、「執拗に
ドル売りが出ていた」(商社)という。
「米国だけではなく、中国を含めて世界経済に対して悲観的なトーンが強まっている。
今後はコモディティ通貨にも下落圧力がかかる可能性が大きい」(ファンドマネージャー)
との見方も出ていた。
<日本の政局>
菅首相は2日、民主党代議士会で、自民党に政権が戻らないようにしっかり対応すると
述べ、大震災に一定のめどがつくまで責任を果たさせてほしい、と述べた。不信任案の採
決については、一致団結して否決をお願いしたい、と述べた。
現在、内閣不信任決議案の投票が実施されている。可決された場合には、政治の混乱で
円売りになるとの声が多いが、ドルの上値については81円台にとどまると見込む向きが
多い。「82円には届かない」(大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所チーフ
為替ストラテジスト、亀岡裕次氏)、「81円半ば」(別の大手銀行)などの声が出てい
る。
また、可決された場合は、次の内閣が決まるまで政治空白と混乱が続く。「総選挙にな
った場合、自民党政権になったほうが市場は落ち着く。東電対応をみても民主党政権は、
市場にとってはリスクが高い」(大手銀行)との声が出ていた。
<米雇用統計とQE3>
ロイター調査によると、3日発表の5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加が
15万人になると予想されている。1日のADP雇用報告発表前の予想の18万人から減
少した。「市場の目線はもう少し低そうだ。10万人でも違和感はない」(大手銀行)と
の声も出ている。
ゴールドマンは非農業部門雇用者数が10万人増になると予想し、従来予想の15万人
増から下方修正した。 クレディ・スイスは従来予想の18万5000人増から12万人
増に、ハイ・フリークエンシー・エコノミクスも17万5000人増から7万5000人
増にそれぞれ引き下げた。
米10年債利回り
弾(QE3)が話題になったこともあり、今月下旬の米米連邦公開市場委員会(FOMC)
への注目も高まっている。
市場では「QE3のハードルは高い。米景気の回復は鈍化しているが、腰折れではない」
(三菱東京UFJ銀行シニアアナリストの亀井純野氏)との声が多い。「QE2に対する
国際的な批判もあり、また、ここにきての回復鈍化でQE2が効果がなかったことも証明
された。思惑は出るだろうが、実際にはQE3はないだろう」(みずほコーポレート銀行
マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)という。
一方、市場では「米国では国全体としてバランスシート調整がまだできていない。QE
2をやったら、QE3もQE4とやり続けるしかないだろう」(前出のファンドマネージ
ャー)との声も出ていた。
中村清次日銀審議委員は2日の講演で、日本の消費に前向きな動きがみられるとの認識
を示す一方、米国経済についてリーマン・ショック以降に失われた雇用を回復するには力
不足と語った。同委員は、米景気の「先行きについても引き続き回復基調をたどると思わ
れる」としたものの、住宅市場の長期低迷や4月の失業率が9.0%の高水準だったこと
に言及、「リーマン・ショック以降に失われた約800万人の雇用を取り戻すにはまだ力
不足の感が否めない」と語った。
<ドル/円スワップ>
通貨スワップ取引では、ドル/円スワップ・スプレッド・オーバーナイト(O/N)物
が、マイナス0.02/プラス0.01と中心値ではほぼゼロ水準となっている。1カ月
物はマイナス0.89銭/マイナス0.81銭、3カ月物はマイナス3.30銭/マイナ
ス3.15銭。
マイナスはフォワードのドル・ディスカウントを示すが、ドル短期金利と円短期金利の
差が縮小してきたことで、1週間より短いゾーンでは、ドル・プレミアム(円金利がドル
金利より高い状態)がしばしば出現し、1週間以長の取引でも、ドル・プレミアムとなる
ケースが出てきている。
「輸出企業は、サプライチェーンの問題を抱え、生産・輸出のめどが立ちにくい状況だ
が、(ドル・フォワードで)比較的長いゾーンでもディスカウントの幅が圧縮されている
ので、先物のドル売りの価格はスポットと大差がない。急いでドルを売る必要は全くない」
(外銀)という。
<豪ドル>
豪ドル
上回ったことで、一時1.0665米ドルまで上昇した。しかし、豪ドルは間もなく伸び
悩み、1.06米ドル前半での足踏みとなった。
一方で、4月の豪貿易黒字は15.97億豪ドルと、事前予想(20億豪ドル)を下回
った。
(ロイターニュース 森佳子記者)