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東京外為市場・午後3時=ドル80円後半、米景気への懸念広がり伸び悩み

発行済 2011-06-02 15:28

       ドル/円   ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 80.96/97 1.4363/64  116.28/32

正午現在   81.05/06  1.4356/57  116.34/38

午前9時現在 80.94/95  1.4346/47  116.14/18

NY17時現在 80.86/90  1.4324/28 115.96/01

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 [東京 2日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点と

ほぼ変わらずの80円後半。この日は投信など資本勢による外貨買い/円売りがみられた

ほか、内閣不信任案採決をにらんだ海外勢の円売りも出ていたが、市場では米景気の先行

きに対する懸念が広がり、ドルの上値が伸び悩んだ。

 ドルは海外投機筋や資本勢の買いに支えられ朝方一時81.33円まで上昇したが、そ

の後は上値が重い展開となり、81円を挟んだ一進一退となった。海外市場では、5月の

ADP全米雇用報告や5月米ISM製造業景気指数が予想を大きく下回ったことや、米ダ

ウ工業株30種<.DJI>が279ドル超下落し、米10年債利回りが3%を下回るなど、米

景気に対する弱気の見方が台頭した。この地合いを引き継いで、東京時間にも、「執拗に

ドル売りが出ていた」(商社)という。

 「米国だけではなく、中国を含めて世界経済に対して悲観的なトーンが強まっている。

今後はコモディティ通貨にも下落圧力がかかる可能性が大きい」(ファンドマネージャー)

との見方も出ていた。

 <日本の政局>

 菅首相は2日、民主党代議士会で、自民党に政権が戻らないようにしっかり対応すると

述べ、大震災に一定のめどがつくまで責任を果たさせてほしい、と述べた。不信任案の採

決については、一致団結して否決をお願いしたい、と述べた。

 現在、内閣不信任決議案の投票が実施されている。可決された場合には、政治の混乱で

円売りになるとの声が多いが、ドルの上値については81円台にとどまると見込む向きが

多い。「82円には届かない」(大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所チーフ

為替ストラテジスト、亀岡裕次氏)、「81円半ば」(別の大手銀行)などの声が出てい

る。

 また、可決された場合は、次の内閣が決まるまで政治空白と混乱が続く。「総選挙にな

った場合、自民党政権になったほうが市場は落ち着く。東電対応をみても民主党政権は、

市場にとってはリスクが高い」(大手銀行)との声が出ていた。

 <米雇用統計とQE3>

 

 ロイター調査によると、3日発表の5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加が

15万人になると予想されている。1日のADP雇用報告発表前の予想の18万人から減

少した。「市場の目線はもう少し低そうだ。10万人でも違和感はない」(大手銀行)と

の声も出ている。

 ゴールドマンは非農業部門雇用者数が10万人増になると予想し、従来予想の15万人

増から下方修正した。 クレディ・スイスは従来予想の18万5000人増から12万人

増に、ハイ・フリークエンシー・エコノミクスも17万5000人増から7万5000人

増にそれぞれ引き下げた。

 米10年債利回りは半年ぶりに3%を割り込んだ。一部で米量的緩和第3

弾(QE3)が話題になったこともあり、今月下旬の米米連邦公開市場委員会(FOMC)

への注目も高まっている。

 市場では「QE3のハードルは高い。米景気の回復は鈍化しているが、腰折れではない」

(三菱東京UFJ銀行シニアアナリストの亀井純野氏)との声が多い。「QE2に対する

国際的な批判もあり、また、ここにきての回復鈍化でQE2が効果がなかったことも証明

された。思惑は出るだろうが、実際にはQE3はないだろう」(みずほコーポレート銀行

マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)という。

 一方、市場では「米国では国全体としてバランスシート調整がまだできていない。QE

2をやったら、QE3もQE4とやり続けるしかないだろう」(前出のファンドマネージ

ャー)との声も出ていた。

 中村清次日銀審議委員は2日の講演で、日本の消費に前向きな動きがみられるとの認識

を示す一方、米国経済についてリーマン・ショック以降に失われた雇用を回復するには力

不足と語った。同委員は、米景気の「先行きについても引き続き回復基調をたどると思わ

れる」としたものの、住宅市場の長期低迷や4月の失業率が9.0%の高水準だったこと

に言及、「リーマン・ショック以降に失われた約800万人の雇用を取り戻すにはまだ力

不足の感が否めない」と語った。

 <ドル/円スワップ>

 通貨スワップ取引では、ドル/円スワップ・スプレッド・オーバーナイト(O/N)物

が、マイナス0.02/プラス0.01と中心値ではほぼゼロ水準となっている。1カ月

物はマイナス0.89銭/マイナス0.81銭、3カ月物はマイナス3.30銭/マイナ

ス3.15銭。

 マイナスはフォワードのドル・ディスカウントを示すが、ドル短期金利と円短期金利の

差が縮小してきたことで、1週間より短いゾーンでは、ドル・プレミアム(円金利がドル

金利より高い状態)がしばしば出現し、1週間以長の取引でも、ドル・プレミアムとなる

ケースが出てきている。

 「輸出企業は、サプライチェーンの問題を抱え、生産・輸出のめどが立ちにくい状況だ

が、(ドル・フォワードで)比較的長いゾーンでもディスカウントの幅が圧縮されている

ので、先物のドル売りの価格はスポットと大差がない。急いでドルを売る必要は全くない」

(外銀)という。

 <豪ドル>

 豪ドルは、4月の豪小売売上高が前月比1.1%と、事前予想の0.4%増を

上回ったことで、一時1.0665米ドルまで上昇した。しかし、豪ドルは間もなく伸び

悩み、1.06米ドル前半での足踏みとなった。

 一方で、4月の豪貿易黒字は15.97億豪ドルと、事前予想(20億豪ドル)を下回

った。

 

 (ロイターニュース 森佳子記者)

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