[ストラスブール(フランス) 19日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は19日、欧州連合(EU)が今後数週間のうちにロシアとの新たな安全保障協定案を策定し、ロシアと交渉する必要があると訴えた。その上でロシア政府との「率直な対話」を呼び掛けた。
ウクライナ国境でのロシア軍増強に対する懸念が高まる中、マクロン氏は「新しい安全保障と安定の秩序」の具体的な内容については明言しなかったが、欧州が自らの利益を守ることを保証するものでなければならないと語った。
これに先立ち、米国のブリンケン国務長官は訪問先のウクライナで、ロシアが「極めて短い予告」で新たな攻撃を開始する可能性があると警告した。
欧州の一部の国は、ロシア政府がEUとある程度協調しつつも米政府と直接交渉しているため、蚊帳の外に置かれて欧州の安全保障上の懸念が無視されているのではないかと懸念している。
マクロン氏は「欧州と米国が協調するのは良いが、欧州が独自に対話することも必要だ」とし、「われわれは欧州の共同提案、共同ビジョン、新しい安全保障と安定の秩序を策定する必要がある」と訴えた。ロシアと議論する前に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国と提案を共有するとも述べた。
マクロン氏は、防衛分野でEUが独自の「戦略的自律性」を持つことを提唱しており、エネルギー供給をロシアに依存しすぎないなど、EUが「尊重される」立場になる必要があると説明した。
フランスの6カ月間のEU議長国としての活動開始に当たり、マクロン氏は議員らに向けてフランスはドイツとともに、ロシアとウクライナ双方との話し合いの中で、ウクライナを巡る緊張関係の政治的解決策を引き続き求めたいとの意向を示した。
これとは別にマクロン氏は、EUは西バルカン諸国との関係を見直し、EUに加盟する場合の誠実な見通しを示す必要があると指摘した。