[台北 10日 ロイター] - 台湾国防部(国防省)の邱国正・部長は10日、台湾と中国の間で戦争が起きた場合、どちらが勝利したとしても「悲惨な勝利」になるだろうと述べた。
同部長は、ウクライナ軍事侵攻の安全保障面の影響を審議する議会の前に記者団に、中国と台湾の間で紛争が起きた場合には双方が多大な代償を払うことになると語った。
「戦争になれば、勝者でさえ、誰もが惨めになるだろう」と述べ、「誰もが戦争を避けるべきだ」と強調した。
ウクライナでの戦争を受けて台湾は警戒態勢を強めているが、通常と異なる中国軍の活動は報告されていないと指摘。冷静に変化を監視し、状況に応じて対応する準備ができていると説明した。
台湾国防部は別の報告書で「ウクライナは敵の規模のほうが大きいという不利な条件で、事実上、ロシア軍の戦闘活動を遅らせている」とし、台湾軍は国土の戦闘を活用できているウクライナの事例を「参考」にしており、すでに「非対称戦力」を計画に組み入れていると述べた。
台湾の蔡英文総統は、車載ミサイルなどを利用して軍の機動性を高め、攻撃を受けにくくする「非対称戦力」の構想を提唱している。
同部長は、ウクライナ危機により、台湾は「多くの教訓」を得たとし、台湾がそれに応じて準備を進めていると述べた。
中国との戦争になれば海外に支援を求めるのかとの議員の質問には「わが国を防衛しなければならない」とし「私の目に台湾海峡が安全な場所と映ったことは一度もない」と述べた。
台湾の陳明通国家安全局長は、前職の大陸委員会トップ時代には自分のデスクに中国との「ホットライン」があったとし、「ケーブルはまだつながっている。切断されてはいない」と述べた。