40%引きでご購読
🔥 当社AIが選択した株式戦略、テクノロジー大手、は5月までに+7.1%の上昇。株式がブームなうちに行動を起こしましょう。40%割引で開始

焦点:台湾巡るバイデン氏の率直発言、「失言でない」との声

発行済 2022-05-24 12:20
更新済 2022-05-24 15:37
© Reuters.  5月23日、  政治の世界では、物事の本質をあえて口にすると失敗するという格言がある。写真は同日、東京・迎賓館で記者会見に臨むバイデン米大統領。代表撮影(2022年 ロイ

[ワシントン 23日 ロイター] - 政治の世界では、物事の本質をあえて口にすると失敗するという格言がある。その意味で、バイデン米大統領が台湾問題で率直な発言をしたのはしくじりだ、というのが批判派の見方だ。

バイデン氏は大統領として初のアジア歴訪中の23日、中国が台湾に侵攻した場合、米国が軍事的に関与する考えを表明。台湾有事に米国がどう対応するかは「意図的に不透明にしておく」という長らく堅持してきた外交戦略と一線を画する姿勢を見せた。

もっともバイデン氏は、これまでも何度か即席で発した言葉で、個人的な気持ちとしては台湾防衛に傾いていることを示唆している。

長年の「あいまい戦略」放棄に賛成する人々の中からも、バイデン氏を批判する声が聞かれる。同氏が台湾に正式な軍事力提供を請け合わず、この問題をいたずらに紛糾させ、中国の行動意欲をかき立てる危険を冒しているという理屈からだ。

ただ、米シンクタンク・外交問題評議会のデービッド・サックス氏をはじめとする何人かの専門家は、バイデン氏が外交政策全般のベテランである事実や、発言の場の隣には日本の岸田文雄首相がいたこと、そしてこれがロシアによるウクライナ侵攻後だった点を踏まえると、決して失言をしたわけではないと分かるとみている。

サックス氏は「これは、ヘマではなかったと考えている」と言い切った。

<残されたあいまいな部分>

バイデン氏は、ある記者から中国が台湾に侵攻した際に米国が軍事的に関与するのかと聞かれ、「イエス」と返答。その後、ホワイトハウスとオースティン米国防長官はすかさず、米国の立場に変更はないと火消しに走った。

オバマ政権時代に米国の東アジア外交責任者を務めたダニエル・ラッセル氏は「バイデン氏は、中国による台湾への侵攻に米国が対応すべきだとの信念を持っていることは明らかにしている。彼があいまいにしているのは、具体的な対応方法と台湾防衛に関する米国のコミットメントの内容だ」と解説する。

バイデン氏は特に、軍事的関与が米軍の戦闘地域への派遣を意味するのかどうかについて、相当大きな解釈の余地を残したままだ。

バイデン政権はロシアのウクライナ侵攻に際し、ウクライナ側に何十億ドルもの軍事支援を提供するとともに、中国には台湾向けに同じような行動を取ることを考えるなというメッセージを発している。

同時にバイデン政権は、核兵器を保有するロシアとの直接的な衝突が起きることを警戒し、ウクライナ支援の項目には、たとえ大量の殺傷兵器を供与するとしても、米軍の直接関与は入らないとの方針を明確に打ち出してきた。

それでも今回の台湾問題に関するバイデン氏の発言は、米中が衝突する事態を巡る地域の懸念を高めかねない。米国在台湾協会台北事務所(米政府の台湾に対する事実上の外交窓口)所長を務めたダグラス・パール氏は「この発言は地域の安定と台湾の安全を維持する上で、有益だとは思えない」と不安を口にした。

<逆効果の懸念>

バイデン政権は表向き、「1つの中国」政策から逸脱していないと主張しているが、中国と米国の双方とも台湾への態度は変わってきている。

中国側では、かつてほとんど見られなかった中国空軍機による台湾の防空識別圏(ADIZ)侵入が近年になって劇的に増加。中国政府の台湾に対する口調は一段と厳しくなった。

一方、米政府は台湾との交流を深め、武器売却を継続するとともに、今月には米国務省がウェブサイトにおける台湾の概要説明で、台湾の独立は支持せず自国の一部だとする中国の見解を認める表記がひそかに削除された。

こうした中で米シンクタンク、ジャーマン・マーシャル基金の台湾専門家、ボニー・グレーザー氏は、バイデン氏の発言は、中国を抑止するどころか、その反対の効果を及ぼしかねないと警鐘を鳴らした。

グレーザー氏は「目的は正しいと思うが、米国の政策を巡る混乱が抑止力を損なってもおかしくない。われわれが抑止を目指す(中国の)攻撃を招く恐れがある」と話す。

台湾に関する「あいまい戦略」の廃止を提唱する野党・共和党議員も、バイデン氏の発言が見るからに行き当たりばったりだと追及している。

© Reuters.  5月23日、  政治の世界では、物事の本質をあえて口にすると失敗するという格言がある。写真は同日、東京・迎賓館で記者会見に臨むバイデン米大統領。代表撮影(2022年 ロイター)

米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のディーン・チェン氏は、米政府があいまい戦略を放棄するなら速やかに実行するのが最善だと強調。バイデン氏の発言に触れて「今のままなら、中国に時間的余裕を与えてしまう可能性が出てくる。米国が戦略的な明快さを出す方向にゆっくり進んでいくなら、中国はそうなる前に行動を起こしたくなるのではないか」と述べた。

(Michael Martina記者、David Brunnstrom記者)

*動画を付けて再送します。

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます