[東京 9日 ロイター] - 遊説中に銃撃され、死亡した安倍晋三元首相を警護していた奈良県警の鬼塚友章本部長は9日夕に会見し、自身が当日朝に警備計画書を承認したことを明らかにした上で、「問題があったことは否定できない」と語った。
鬼塚本部長は「27年余りの警察官人生で最大の悔恨」と発言。「責任の重さを痛感している」と述べた。問題点の洗い出しと改善、事件の全容解明が「何よりも亡くなった安倍晋三元内閣総理大臣に対する責任だと考えている」と語った。
県警が安倍元首相の遊説の通知を受けたのは前日の7日夕。鬼塚本部長によると、担当部署が計画書を作成し、当日の8日午前に自身が承認した。計画書に違和感はなく、原案通り認めた。
今回の参院選期間中に安倍元首相が奈良県内で遊説するのは6月28日以来2回目で、前回も近鉄大和西大寺駅前の別の場所で街頭演説をしたという。鬼塚本部長によると、8日に演説した場所は、過去に他の遊説でも使われたことがある。
逮捕された山上徹也容疑者は淡々と取り調べに応じているという。防衛省によると、同姓同名の人物が2002年から05年まで海上自衛隊に所属。02年8月に長崎県の佐世保教育隊に入隊し、同年12月に護衛艦「まつゆき」の砲雷科に配属。広島県江田島にある第1術科学校の練習艦勤務を経て、05年8月に任期満了で除隊した。
県警によると「特定の団体に恨みがあり、安倍氏が関連していると思い込んで犯行に及んだ」という趣旨の供述をしている。