[ミュンヘン/北京 19日 ロイター] - ミュンヘン安全保障会議でドイツを訪れているブリンケン米国務長官は18日、現地で中国外交担当トップの王毅氏と会談し、中国がロシアのウクライナ侵攻で物的支援を提供しないよう警告した。
米領空を飛行した気球の問題については、二度とあってはならないと王氏に伝えた。王氏は会談に先立つ数時間前、気球を撃墜した米国の対応を「ヒステリック」だと非難した。
ブリンケン氏は19日放映予定の米NBCニュースのインタビューで、中国がロシアに武器支援を検討していることを非常に懸念しており、王氏に対して「われわれの関係に深刻な結果をもたらすことになる」と伝えたと明らかにした。
「少なくとも兵器を含むさまざまな種類の致死性のある支援が考えられている」と指摘し、米政府は近いうちに詳細を発表するとした。
米国務省は会談終了後、両者の協議が1時間にわたったことのみを明らかにした。具体的な会談場所は公表していない。
NBCとのインタビューの中でブリンケン氏は、中国の気球が米領空を飛行したについて、王氏から謝罪はなかったと述べた。
「私は彼に、あれは容認できない、二度と起こしてはいけないと率直に伝えた」と説明。気球問題を受けて取りやめた自身の訪中日程の再設定については話し合っていないと語った。
一方、王氏はブリンケン氏に対し、米国は武力の乱用によって引き起こした中米関係への損害を解決しなければならないと伝えた。中国外務省が19日、明らかにした。
王氏は最近の「飛行船事件」について、米国は軌道修正しなければならないと語ったという。米国側は撃墜した飛行物体を「偵察気球」としているのに対し、中国側は「気象観測用飛行船」と説明している。
中国は今回の会談について、米国の要請で行った「非公式の接触」と指摘した。
ワシントンにあるシンクタンク、民主主義防衛財団の中国専門家、クレイグ・シングルトン氏は両氏の会談について、「下降軌道をたどる米中関係を変えることはないだろう。双方の間にほとんど信頼関係がないことは明らかだ」と述べた。
王氏は会談に先立ち参加したミュンヘン安全保障会議の討論会で、ウクライナ戦争を巡り対話の必要性を強調。戦争終結の方法について欧州諸国が「冷静に考える」よう求めた。
また、「交渉の成功や戦争の早期終結を望んでいないようにみえる勢力がある」とも語ったが、どういった勢力かは具体的に示さなかった。
*中国外務省の発表を追加しました。