[ソウル 14日 ロイター] - 北朝鮮は14日、新型の固体燃料式大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射実験を前日行ったと発表した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が報じた。核反撃体制の強化が狙いとした。
「実験では新型ICBMの戦略的攻撃能力が証明された」とし、この兵器が北朝鮮の戦略的抑止力と核反撃体制を劇的に向上させるとともに、攻撃戦略の実践性に変化をもたらすと伝えた。
金正恩総書記が実験に立ち会い、敵が「無意味な思考や無謀な行為を放棄するまで致命的かつ攻撃的な対抗措置を取る」ことで、より明確な安全保障危機を経験させ、「常に極度の不安と恐怖を与える」と警告したという。
韓国国防省は、火星18の開発は続いており完成にはさらなる時間が必要だとし、再び実験が行われる可能性を示唆した。
KCNAは金総書記が妻や娘、妹の与正氏と共に実験に立ち会う様子や移動式発射台に載せられたミサイルを映した写真を公開した。
北朝鮮は重要な節目として固定燃料式の開発を進めてきた。従来の液体燃料式より迅速に発射できるほか、探知や迎撃がより難しいとされる。
専門家によると、北朝鮮が中距離またはICBM級のミサイルに固体燃料を使うのは初めて。
北朝鮮は昨年12月、高出力固体燃料エンジンの実験に成功したと発表。今年2月の軍事パレードでは、新型の固体燃料式ICBMを公開した可能性があるとの指摘が出ていた。
米カーネギー国際平和財団のシニアフェロー、アンキット・パンダ氏は「大規模なミサイルベースの核戦力を運用する国にとって、固体燃料式ミサイルは燃料を直前に充填する必要がないため非常に望ましい」と指摘。液体燃料式ミサイルも保持することで、紛争勃発時に米国とその同盟国の想定を複雑にするとの見方を示した。
アナリストによると、米国はミサイルが発する赤外線データの違いを検出できる早期警戒衛星によって、発射が固体燃料式か液体燃料式かを判断できるという。
韓国軍関係者は、13日に発射されたミサイルの最高高度は昨年に到達した6000キロを下回ったと述べた。
ソウルの北朝鮮研究大学のキム・ドンユプ教授は「北朝鮮は最初の発射実験で(ミサイルの)全速力を出すよりも、さまざまな段階で機能を確認するためのデータ収集に注力したのかもしれない」と分析。「通常の飛行パターンを示さない実験であったため、おそらくさらに実験を重ねる可能性が高い」と述べた。
*写真を追加しました。