[アムステルダム 7日 ロイター] - ロシアとウクライナが禁止されている有毒物質を戦場で使用していると互いに非難していることを巡って化学兵器禁止機関(OPCW、本部オランダ・ハーグ)は7日、「十分に立証されていない」との声明を出した。
ただ、「状況は依然不安定で、有毒化学物質の兵器としての使用の可能性の再浮上は極めて懸念される」とも付け加えた。
ロシアもウクライナもOPCWに対し、化学兵器使用の疑いに関して正式な調査は要請していない。OPCWは、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月から状況を監視していると説明した。
米国は先週、ロシアが国際条約で禁止されている化学兵器を使用していると指摘。ロシア軍がクロロピクリンという窒息剤や暴動鎮圧剤を戦闘の手段としてウクライナ軍に対して使用していると訴えた。
ウクライナ側は4月、ロシアが催涙ガスの使用を増やしたと主張。5月の声明では、4月までの1年間にロシアが使った「危険な化学物質を装填(そうてん)した弾薬」は1891件を記録したと発表した。
一方、OPCWのウェブサイトに掲載された文書によると、ウクライナが「広範な有毒化学物質をロシアの軍人や当局者に対して」使っているとロシア側は非難した。
ウクライナのシビハ外務第1次官は、ロシアが戦場で化学物質を含む弾薬を使用していることについて、OPCWのアリアス事務局長と7日に協議したと明らかにした。ウクライナ外務省によると、シビハ氏はOPCWによるウクライナへの技術支援を巡る訪問を可能にする合意についてアリアス氏に伝えた。