■事業戦略
(2)日本海運3社がコンテナ船事業の共同出資会社を設立へ
2016年10月に、宇徳 (T:9358)港湾事業の主要顧客である商船三井は、日本郵船 (T:9101)並びに川崎汽船 (T:9107)と定期コンテナ船事業の統合を決めた。
2017年7月に共同出資会社を設立する。
合弁企業への出資額が約3,000億円、出資比率は日本郵船が38%、商船三井と川崎汽船が各31%となる。
2018年4月から共同サービスを開始する。
船隊規模は約140万TEU(20フィート・コンテナ換算)となり、世界シェアは約7%と6位に上昇する。
売上高は約2兆円となる。
世界のコンテナ船市場では、デンマークのAPM-マークスが約15.6%のトップシェアを持ち、スイスのMSCが13.4%で続く。
この2社で世界最大の国際共同運航連合体である2Mを組成している。
同アライアンスに、2017年4月から韓国の現代商船が加入するもよう。
海運業界では、コンテナ定期船のグローバル・ネットワークの維持と巨額の投資をシェアする海運アライアンスが進んでいる。
従来は、圧倒的なシェアを誇る2MとG6、OCEAN 3及びCKYHEが存在していた。
2M以外のアライアンスが再編されて、2017年4月にオーシャン・アライアンスと日本企業3社が加入するザ・アライアンスが結成され、サービスを始動する予定だ。
オーシャン・アライアンスは、第3位のフランスのCMA OGM、中国の中国遠洋海運集団、台湾のエバーグリーン、香港のOOCLがメンバーとなる。
当初は、世界トップ3によるアライアンスが計画されたが、中国の反対にあったため2Mを結成、CMA CGMが離脱した。
その第3位企業と中国遠洋海運が組んだ。
中国は、2016年2月に政府主導で中国1位と2位の会社を合併させ、コンテナ事業を中国遠洋海運に統合した。
日本企業が加入するザ・アライアンスのメンバーは、ドイツのハパックロイドと台湾の陽明海運になる。
当初は、世界8位で、韓国最大手の韓進海運が加わる予定だったが、10月に経営破たんに陥り外れた。
今10月にソウル中央地裁に法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請しており、2017年2月頃に清算か再生かが決まる見通しだ。
韓国従業員の50%弱に相当する560名の海上勤務者に対し解雇通告がされた。
米国航路に関しては売却を計画している。
ザ・アライアンスの最初の合意期間は5年間になる。
船隊は620隻以上で、75港を超える直接寄港、31サービスを広範なネットワークで展開する。
船腹量350万TEUが世界シェア約18%に相当する、世界を代表するアライアンスになる。
今後竣工予定の最新鋭の大型コンテナ船を順次投入する。
アジア、北米、欧州、地中海、中東の寄港地を増やし、直行サービスを充実させることで高頻度かつ競争力のあるトランジットタイムを実現し、多様化する顧客ニーズに応える。
日本寄港では、北米・欧州とも現在のサービス体制をほぼ維持している。
航路は、アジア−北欧州航路がFE1~5、アジア−地中海航路がMD1~3、アジア−中東航路がAGX、アジア−北米西岸航路がPN1~3、PS1~8、アジア−北米東岸航路がEC1~5、大西洋航路がAL1~6の計30となる。
うち同社が関連する東京港に寄港するのは、FE1の1回、PN1の2回、PN2の1回、PS1の2回、PS2の2回、PS3の1回、EC1の2回の計11回となる。
コンテナ取扱量から見た世界主要港ランキングで、東京港は2001年の18位から2015年に30位へ転落した。
中国が世界の工場の役割を担ったことから、2015の上位10港のうちトップの上海港を含む7港を占めた。
中国以外では、24時間操業を行うハブ港として、シンガポール港(シンガポール、2位)、釜山港(韓国、6位)、ドバイ港(UAE、9位)が入った。
順位は下がったとはいえ、東京港の取扱量は2001年の2,770千TEUから2015年は4,895千TEUに増加した。
日本の3社は、コンテナ事業を主体に構造改革に関連する特別損失が発生し、2016年3月期と2017年3月期の最終損益は合計5,300億円の損失が見込まれている。
コンテナ船事業は、多くの主要航路において運賃が歴史的低水準にあり、低迷が長期化していることから、保有する全船舶の帳簿価格を将来回収可能な水準まで減損し、余剰船舶を一部売船することを決定した。
コンテナ船事業のセグメント情報では、商船三井が2016年3月期まで5期連続して経常損失を計上した。
商船三井の2017年3月期のコンテナ事業の売上高は3社中最大となるが、経常損失も最も大きい440億円を予想している。
2017年3月期における3社のコンテナ船事業(日本郵船は「定期船事業」)の経常利益予想は、合計970億円の損失となる。
事業統合によるシナジー効果は、スケールメリットとコスト削減により年間1,100億円を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
(2)日本海運3社がコンテナ船事業の共同出資会社を設立へ
2016年10月に、宇徳 (T:9358)港湾事業の主要顧客である商船三井は、日本郵船 (T:9101)並びに川崎汽船 (T:9107)と定期コンテナ船事業の統合を決めた。
2017年7月に共同出資会社を設立する。
合弁企業への出資額が約3,000億円、出資比率は日本郵船が38%、商船三井と川崎汽船が各31%となる。
2018年4月から共同サービスを開始する。
船隊規模は約140万TEU(20フィート・コンテナ換算)となり、世界シェアは約7%と6位に上昇する。
売上高は約2兆円となる。
世界のコンテナ船市場では、デンマークのAPM-マークスが約15.6%のトップシェアを持ち、スイスのMSCが13.4%で続く。
この2社で世界最大の国際共同運航連合体である2Mを組成している。
同アライアンスに、2017年4月から韓国の現代商船が加入するもよう。
海運業界では、コンテナ定期船のグローバル・ネットワークの維持と巨額の投資をシェアする海運アライアンスが進んでいる。
従来は、圧倒的なシェアを誇る2MとG6、OCEAN 3及びCKYHEが存在していた。
2M以外のアライアンスが再編されて、2017年4月にオーシャン・アライアンスと日本企業3社が加入するザ・アライアンスが結成され、サービスを始動する予定だ。
オーシャン・アライアンスは、第3位のフランスのCMA OGM、中国の中国遠洋海運集団、台湾のエバーグリーン、香港のOOCLがメンバーとなる。
当初は、世界トップ3によるアライアンスが計画されたが、中国の反対にあったため2Mを結成、CMA CGMが離脱した。
その第3位企業と中国遠洋海運が組んだ。
中国は、2016年2月に政府主導で中国1位と2位の会社を合併させ、コンテナ事業を中国遠洋海運に統合した。
日本企業が加入するザ・アライアンスのメンバーは、ドイツのハパックロイドと台湾の陽明海運になる。
当初は、世界8位で、韓国最大手の韓進海運が加わる予定だったが、10月に経営破たんに陥り外れた。
今10月にソウル中央地裁に法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請しており、2017年2月頃に清算か再生かが決まる見通しだ。
韓国従業員の50%弱に相当する560名の海上勤務者に対し解雇通告がされた。
米国航路に関しては売却を計画している。
ザ・アライアンスの最初の合意期間は5年間になる。
船隊は620隻以上で、75港を超える直接寄港、31サービスを広範なネットワークで展開する。
船腹量350万TEUが世界シェア約18%に相当する、世界を代表するアライアンスになる。
今後竣工予定の最新鋭の大型コンテナ船を順次投入する。
アジア、北米、欧州、地中海、中東の寄港地を増やし、直行サービスを充実させることで高頻度かつ競争力のあるトランジットタイムを実現し、多様化する顧客ニーズに応える。
日本寄港では、北米・欧州とも現在のサービス体制をほぼ維持している。
航路は、アジア−北欧州航路がFE1~5、アジア−地中海航路がMD1~3、アジア−中東航路がAGX、アジア−北米西岸航路がPN1~3、PS1~8、アジア−北米東岸航路がEC1~5、大西洋航路がAL1~6の計30となる。
うち同社が関連する東京港に寄港するのは、FE1の1回、PN1の2回、PN2の1回、PS1の2回、PS2の2回、PS3の1回、EC1の2回の計11回となる。
コンテナ取扱量から見た世界主要港ランキングで、東京港は2001年の18位から2015年に30位へ転落した。
中国が世界の工場の役割を担ったことから、2015の上位10港のうちトップの上海港を含む7港を占めた。
中国以外では、24時間操業を行うハブ港として、シンガポール港(シンガポール、2位)、釜山港(韓国、6位)、ドバイ港(UAE、9位)が入った。
順位は下がったとはいえ、東京港の取扱量は2001年の2,770千TEUから2015年は4,895千TEUに増加した。
日本の3社は、コンテナ事業を主体に構造改革に関連する特別損失が発生し、2016年3月期と2017年3月期の最終損益は合計5,300億円の損失が見込まれている。
コンテナ船事業は、多くの主要航路において運賃が歴史的低水準にあり、低迷が長期化していることから、保有する全船舶の帳簿価格を将来回収可能な水準まで減損し、余剰船舶を一部売船することを決定した。
コンテナ船事業のセグメント情報では、商船三井が2016年3月期まで5期連続して経常損失を計上した。
商船三井の2017年3月期のコンテナ事業の売上高は3社中最大となるが、経常損失も最も大きい440億円を予想している。
2017年3月期における3社のコンテナ船事業(日本郵船は「定期船事業」)の経常利益予想は、合計970億円の損失となる。
事業統合によるシナジー効果は、スケールメリットとコスト削減により年間1,100億円を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)