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カドカワ Research Memo(5):書籍IP事業の収益性回復が原動力となり高い営業利益水準を確保(1)

発行済 2016-07-04 16:49
更新済 2016-07-04 17:01
カドカワ Research Memo(5):書籍IP事業の収益性回復が原動力となり高い営業利益水準を確保(1)
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■業績動向 (1)2016年3月期決算動向 ●決算概要 カドカワ (T:9468)の2016年3月期連結業績は、売上高200,945百万円、営業利益9,124百万円、経常利益10,189百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,845百万円となり、好業績を記録した。
売上高は、書籍IP事業の好調に加えて、ライブ事業のモバイル事業の好調も手伝って、会社計画を上回る水準を確保した。
利益率の高い電子書籍が拡大したことやモバイル事業の好調などにより売上総利益率は29.8%と、前期(半期決算)の27.7%に比べ2.1ポイント上昇した。
さらに、販管費は、KADOKAWAで実施した構造改革の効果やモバイル事業での広告宣伝費の抑制などにより、効率的な運用を行うことに成功し、販管費比率は25.2%と前期に比べ1.1ポイント低下した。
これらの結果により、営業利益率は3.1ポイント上昇し4.5%となった。
会社計画(売上高200,500百万円、営業利益7,000百万円、経常利益6,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円)対比では、売上高は会社計画の水準を確保した一方で、すべての利益は計画を大幅に上回った。
内訳を見ると、電子書籍事業が想定以上に好調であったことに加えて、モバイル事業、ライブ事業が計画を上回ったことが主要因。
●セグメント別の状況a)書籍IP事業 書籍IP事業は、売上高(セグメント間の内部売上高消去前)が77,848百万円、営業利益(セグメント間利益調整前)は7,429百万円となり、売上高、営業利益ともに会社計画(売上高70,000百万円、営業利益4,900百万円)を上回った。
電子書籍事業では、昨年10月から11月にかけて実施した「ニコニコカドカワ祭り」では直販、外販ともに成果を上げたことや、「BOOK☆WALKER」でグループ作品の先行販売やオリジナル付録等の独自の付加価値戦略を展開。
加えて、外部サイトへのコンテンツ配信や、dマガジンなど他プラットフォームとの連携強化を行った効果が顕在化し、売上高が順調に拡大し営業利益が大幅に計画を上回った(計画比2,800百万円の上振れ)。
一方、市場が縮小傾向にある紙書籍事業は、本屋大賞を受賞した「鹿の王」や、メディアミックスの強化により「オーバーロード」、「僕だけがいない街」などのヒット作が生まれたこと、KADOKAWAで実施した構造改革の効果に加え、マーケティングの強化や製作部数の適正化より返品率が改善(2015年3月期35.8%→2016年3月期35.0%)したこと、ライトノベルやコミックの海外版権販売等が好調に推移したことなどにより収益性が回復し、営業利益は計画を僅か300百万円下回る水準にとどまった。
出版取次に対して貸倒引当金300百万円を積み増したことを考慮すると、経営統合によりKADOKAWAのデジタル関連、版権関連、EC関連へのシフトが加速した成果を確認できる決算となった。
b)情報メディア事業 情報メディア事業は売上高が28,080百万円、営業損失は1,650百万円となり、売上高が計画(売上高34,200百万円、営業損失1,200百万円)を下回ったほか、営業損失は想定以上に膨らんだ。
売上高の下振れは、デジタルシフトによりWeb広告収入が増加したものの、市場縮小の影響により、雑誌・ムック販売収入や広告収入が予想を下回ったことや、カスタムマガジンも大口契約の終了により減少したことなどがマイナス要因として働いたことによる。
一方、営業損失が想定以上に拡大したのは、売上高の大幅な減収に加えて、大型のパートワーク企画(DVD付ムック)が不振となったことによる。
また、書籍IP事業と同様に中小規模の出版取次に対する貸倒引当金1億円を積み増したこともマイナス要因として働いた。
c)映像IP事業 映像IP事業の売上高は28,817百万円、営業利益は1,346百万円となり、売上高、営業利益ともに会社計画(売上高28,500百万円、営業利益1,300百万円)を確保した。
パッケージ販売は「艦隊これくしょん−艦これ−」、「オーバーロード」、「ハイスクールD×D」などのアニメ作品を中心にDVD、Blu-rayの販売が堅調に推移した。
一方、営業利益については、海外へのアニメ版権販売ビジネスが大きく伸張しプラス寄与した。
d)ポータル事業 ポータル事業の売上高は20,117百万円、営業利益は2,122百万円となり、売上高は計画(売上高21,000百万円、営業利益2,100百万円)を下回ったものの、営業利益は計画どおりとなった。
売上高が計画を下回ったのは、新規サービスの開始が遅れたことがマイナス要因となった。
にもかかわらず、営業利益が計画を達成できたのは、プレミアム会員が計画通り増加したことやニコニコチャンネルの会員増によりポイントその他の収入が伸長したことに加えて、コストコントロールを行ったことが要因。
なお、2016年3月期末のプレミアム会員数は256万人(前期末比12万人増)、一般登録会員数は5,541万人(同838万人増)。
e)ライブ事業 ライブ事業の売上高は4,464百万円、営業損失は790百万円となり、売上高は会社計画(売上高3,500百万円、営業損失1,000百万円)を上回り、営業損失は計画を下回る良好な結果となった。
昨年8月(28日~30日の3日間)に開催された「アニメロサマーライブ2015 −THE GATE-」が想定以上に好調(3日間の来場者は合計8万1,000人)であったほか、「ニコニコ超会議2015」(会場総来場者数は15万1千人)、「闘会議2016」(会場来場者数が4万7千人)も前年を上回る入場者数を記録。
加えて、イベントの協賛金や出展も好調に推移したことも損失の縮小要因として働いた。
f)モバイル事業 モバイル事業の売上高は8,619百万円、営業利益は3,305百万円となり、売上高、営業利益ともに会社計画(売上高7,900百万円、営業利益2,600百万円)を上回った。
スマートフォン・フィーチャーフォンともに会員数の減少幅が想定よりも緩やかに推移したことに加えて、広告宣伝費の抑制やコストコントロールを行ったことにより想定を上回る利益を確保した。
g)ゲーム事業 ゲーム事業の売上高は15,599百万円、営業利益は2,268百万円となり、売上高、営業利益ともに会社計画(売上高18,200百万円、営業利益2,500百万円)を若干下回ったものの、事業の立て直しに成功した格好となった。
「艦これ改」、「DARK SOULS III」のビッグタイトルの発売が第4四半期に集中したものの、「艦これ改」、「DARK SOULS III」、「ウィッチャー3ワイルドハント」などが貢献し、営業利益は高いハードルであった計画に近い水準を確保した。
h)その他 その他事業の売上高は21,337百万円、営業損失は469百万円となり、売上高は計画(売上高20,500百万円、営業利益800百万円)を上回ったものの、営業利益は計画を大きく下回った。
これは、トレーディングカードゲームが不振となり、一部タイトルの撤退を行ったことや、グッズの販売が苦戦したことなどがマイナス要因として働いた。
●財務状態安全性を表す指標は健全な水準をキープ 2016年3月期末の総資産は、前期末に比べ4,063百万円減少し、201,609百万円なった。
内訳を見ると、流動資産は自己株式の取得や事業構造改善費用の支払等により現金及び預金が減少したものの、事業拡大による売上債権の増加により、627百万円増加した。
一方、固定資産は投資有価証券の売却や有形固定資産の減価償却等により4,692百万円減少した。
負債は、同4,342百万円減少し、97,082百万円となった。
事業構造改善費用の支払等によりその他流動負債が減少したことで流動負債が1,857百万円減少したことに加えて、長期借入金の返済等により固定負債が2,485百万円減少した。
純資産は、前期末比278百万円増加し、104,526百万円となった。
これは、自己株式の取得が4,700百万円の株主資本の減少要因として働いたものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が6,137百万円増加したことによる。
キャッシュ・フローの状況を見ると、2016年3月期末の現金及び現金同等物は、為替換算差額も含めて7,026百万円の支出となり、52,175百万円へ減少した。
内訳を見ると、営業キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益10,512百万円を計上したものの、事業構造改善費用及び法人税等の支払により、6,733百万円の収入となった。
対照的に、投資キャッシュ・フローは、定期預金の預け入れや有形固定資産及び無形固定資産の取得等による支出等により、4,673百万円の支出となったほか、財務キャッシュ・フローも、長期借入金の返済、連結子会社株式の追加取得、自己株式の取得による支出等により、8,775百万円の支出となった。
経営指標について見ると、長期借入金の返済や事業構造改善費用の支払等により負債が減少したことに加えて、業績拡大による利益剰余金の増加で、健全性をあらわす自己資本比率は51.4%へ改善したほか、流動比率も214.5%へ改善した。
一方、収益性に関しては、前期1.4%と低い水準にあった営業利益率は構造改革の効果の顕在化と電子書籍好調による書籍IP事業の収益性回復により4.5%へ改善した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

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