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窪田製薬HD Research Memo(4):各開発品目に大きな進捗はないが開発は着実に進んでいる(2)

発行済 2016-12-15 16:09
更新済 2016-12-15 16:33
窪田製薬HD Research Memo(4):各開発品目に大きな進捗はないが開発は着実に進んでいる(2)
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(3)オプトジェネティックス(網膜色素変性遺伝子療法)

窪田製薬ホールディングス (T:4596)は2016年4月に英国マンチェスター大学と、網膜色素変性を含む網膜変性疾患の治療を対象とするオプトジェネティクス(光遺伝学治療)の開発権、並びに全世界での販売権を得る独占契約を締結した。
オプトジェネティクスとは網膜の光感受性がない細胞に、光によって活性化されるタンパク質を発現させることにより、光感受性機能を網膜に再生させる治療法となる。
ウイルスベクターを利用し、網膜のオン型双極細胞に光の感受性が高いヒトロドプシン※を注射投与することで、視機能の再生を図る仕組みとなる。
今回の契約はマンチェスター大学の技術移転機関であるUMIP(University of Manchester Intellectual Property)との間で締結しており、契約額0.2百万ドルを当第2四半期に計上している。


※ヒトの網膜の杆体(かんたい)細胞を構成するタンパク質の一種で、光受容体(光信号を電気信号に変えて脳に伝達する)の機能を果たす。


網膜色素変性は遺伝性の網膜疾患で、4,000人に1人が罹患する希少疾患となる。
患者数は世界で約140万人※1、日本では2万人強(難病指定)※2と推計されている。
光の明暗を認識する杆体細胞が遺伝子変異により損傷されることで、初期症状として夜盲症や視野狭窄、視力低下などが見られ、時間経過とともに色を認識する錐体細胞の損傷により色覚異常や中心視力が低下し、最終的には失明に至る疾患である。
幼少期より視力低下が進行するケースでは、40歳までに失明する可能性がある。
また、網膜色素変性の発症原因となる遺伝子変異の種類としては100種類が確認されており、現段階で有効な治療法は確立されていない。


※1 Vaidya P, Vaidya A(2015) Retinitis Pigmentosa: Disease Encumbrance in the Eurozone. Int J Ophthalmol Clin Res 2:030
※2日本眼科学会によれば、国内では10万人に18.7人の患者数がいると推定されている。


同社ではオプトジェネティクスの開発を進めることで、社会的失明(矯正視力0.1未満)とみなされている患者の視機能の回復を目指している。
マンチェスター大学におけるマウスを使った実験によれば、オプトジェネティクスで治療したマウスが、スクリーンに投影された襲いかかろうとするフクロウの映像に対して、正常なマウスとほぼ同じ距離の回避行動的反応を示すなど、網膜がもつ視機能のうち光受容の機能が回復したであろうことが確認されている。


現在、オプトジェネティクスの開発では複数のベンチャー企業が臨床試験を行っているが、同社の開発する技術は遺伝子変異の種類に依存しないこと、また、ヒト由来のロドプシンを使っているのは同社のみで高い光感度が得られることなどから、技術的な優位性は高いと見ている。


同社では今後の開発スケジュールとして、2018年までにIND※申請のための非臨床開発を進め、2018年中に臨床第2相試験を開始し、2019年を目途にPOCの取得を目指している。
また、希少疾患であるため、米国でのオーファンドラッグ認定の申請も行う予定となっている。


※IND(Investigational New Drug)とは臨床試験用の新医薬品のこと。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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