以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家元・社長氏(ブログ「元投資顧問会社社長のチラシの裏」)が執筆したコメントです。
フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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※2016年12月18日13時に執筆
年末に差し掛かり、あと10営業日足らずで大納会を迎える2016年。
今年の株式市場を振り返ってみると、『終わり良ければ総て良し』という一言に尽きるのではないでしょうか。
流石にその言葉だけで一年を締める訳にもいきませんので、もう少し詳しく、どのような一年であったかを振り返りたいと思います。
■2016年 序章 大発会
2016年1月4日の大発会。
この日のことは、私自身もよく覚えています。
今年の大発会は「損をした」という記憶から、苦い思い出となった個人投資家の方も少なくない筈です。
日経平均株価の寄り付きは、1万8818円58銭。
終値が、1万8450円98銭。
前営業日比で考えれば582円73銭安と、年初から大波乱の展開となりましたが、これはまだまだ序章にしかすぎませんでした。
■2016年 第一章 中国経済懸念
昨年の2015年から中国経済の減速が鮮明化したことで、原油や鉄鋼石、銅などの資源価格が大きく下落。
資産バブルが弾けた…とも騒がれ、マーケット関係者の間では中国経済発祥の世界同時株安が危惧されました。
こうした事態を受け、上海取引所はサーキットブレーカーを、正式に2016年1月1日の施行決定。
そしてわずか4日後の大発会で、上海指数でサーキットブレーカーが発動され、大きく下落。
これが、東京市場の大発会にも大きな影響を及ぼしました。
更にその3日後の1月7日も、上海市場は取引開始からわずか13分で株価が急落。
サーキットブレーカーが再び発動する事態に。
中国経済懸念が騒がれだした2015年頃から、日経平均株価はNYダウの動きよりも上海市場の動きに左右されていました。
この時期は投資家なら誰もが上海市場の寄り付き、朝10時30分に注目していたことでしょう。
アメリカに次いで高いGDPを誇る中国経済が破綻か?なんて言われてしまったら、誰もが投資することに躊躇してしまいます。
その不安は、如実に日々の東証一部の売買代金にも現れていました。
この次期、今年の日経平均株価は1万3000円台まで下がるんじゃないか?などと予測するアナリストもいましたね。
■2016年 第二章 マイナス金利
中国経済懸念による下落も落ち着き、日経平均株価は1月22日からようやく自律反発を始めました。
平静を取り戻した…と思ったのも束の間。
今度は海外市場の影響ではなく、国内の影響で下落局面を迎える事になってしまいました。
その発端となったのが、日本銀行が打ち出した新たな金利政策。
そうです、マイナス金利政策の採用です。
値を戻しつつあった日経平均は、2月から銀行株、証券株、保険業の大型銘柄を中心に売りが波及。
連日売られる展開となり、日経平均株価は約1年4ヶ月ぶりに1万5000円を割れる展開となりました。
この下落で痛手を負い、市場退場を余儀なくされた投資家も多いと聞きます。
ただ、あくまでも私個人の考えですが、日銀が大手銀行や証券に根本的に痛手を負わす政策をするはずがない。
必ず何かしらの対策を立ててくるだろうと考えていました。
それから程なくして、東京市場ではまたまた平静を取り戻し、4月25日、日経平均株価は高値1万7613円56銭を付ける場面も。
マイナス金利の下落から2か月超で2600円も戻す動きとなり、活況を呈しました。
4月27日・28日に開催される金融政策決定会合で、日銀から何かしらの発表や対策があるのでは?という期待感も後押しとなったことでしょう。
しかし、その金融政策決定会合での発表は現状維持。
市場には失望がどよめき、ドル・円が急速に円高に向かったことを筆頭に、東京市場は急落。
再び下火時代に突入しました。
■2016年 第三章 イギリス EU離脱問題
イギリスのEU離脱問題が騒がれ始めたのは今年の6月ごろ。
もちろん、皆さんも知っての通りEU離脱問題がきっかっけで日経平均は軟調な動きが続きました。
このころには日経平均が下がる事になんの感情もなくなっていました。
慣れって怖いですね。
それに今年の動きを見る限り、大暴落の後には急反発が起こりやすい傾向にあったため、下がるならとことんまで下がれ!と密かに思っていたのも事実。
イギリスがEUを離脱することで、イギリス拠点の日本企業やポンド・円には影響があるものの、日本国そのものに多大な影響はないと高を括っていたところもあったと思います。
しかし、市場はそうではありませんでした。
6月23日のイギリスの国民投票で離脱派が勝利。
翌日の日経平均は-7.92%と、70年弱ある日経平均の歴史の中で、9番目の下落率となりました。
証券マンに話を聞くと、追証のお知らせメールが来た投資家も多かったそうですね。
■2016年 最終章 トランプノミクス
最後は米国の大統領選。
今年の11月に米国の大統領選を控えていましたが、順当にヒラリー・クリントン氏が当選するだろうと考えられ、相場は緩やかに、ジリジリと値を戻す動きが続きました。
しかし米国大統領選の当日。
投開票が進む中、ヒラリー・クリントン氏は劣勢。
株価もそれに反応して大きく下げる動きとなりました。
米国大統領選の結果は、232対306でドナルド・トランプ氏が次期大統領の座を獲得。
ドナルド・トランプ氏はその発言(暴言など)でも有名だったことから、トランプ氏が勝利したら米国は大変な事になるんじゃないか?という考えが選挙前から浸透していました。
だからこその日経平均の暴落でしたが、さすがに自身の国に悪影響を及ぼす政策を取る大統領がいるはずがありません。
確かに発言は過激なものが多いですし、中には差別的な発言もあるでしょう。
しかし、過激ながらも自身の国を思うが故の発言も多く、米国民自身も、我が国を変えられる!という期待感が、ドナルド・トランプ氏が勝利した所以だと思っています。
そうした期待感もあり、東京時間で急激な下落を見せていたNYダウ先物は、米国市場の開場と共に値を戻して行く展開に。
その後は連日高値を更新。
日経平均株価も選挙の翌日には急反発し、トランプノミクスという造語が生まれる程の相場を築きました。
米国大統領選の影響で1万6000円近くまで下げていた日経平均も、僅か1ヶ月足らずで年初来高値を更新。
現在は約1年ぶりの2万円台も間近というところまで迫っています。
このように一年を振り返ってみると大波乱でしたが、月足で日経平均を見ると今年一年は新たな相場のための調整期間。
そして来年に繋がるための初動と、結果的に素晴らしい一年になったと思います。
大納会まで残り少ない2016年ですが、来年の更なるご活躍をお祈り致します。
当ブログでは、個人的に注目しているテーマ関連株の深掘り、個別銘柄の考察、世界経済の今後の流れ、投資全般に役立つ情報を定期的に発信しています。
チャート画像付きでの解説などもありますので、ブログも併せてお読み頂けますとより深くご理解頂けるかもしれません。
「投資顧問会社社長 ブログ」で検索してもらえれば、当ブログ「元投資顧問会社社長のチラシの裏」が出てくると思います。
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執筆者名:元・社長
ブログ名:元投資顧問会社社長のチラシの裏
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※2016年12月18日13時に執筆
年末に差し掛かり、あと10営業日足らずで大納会を迎える2016年。
今年の株式市場を振り返ってみると、『終わり良ければ総て良し』という一言に尽きるのではないでしょうか。
流石にその言葉だけで一年を締める訳にもいきませんので、もう少し詳しく、どのような一年であったかを振り返りたいと思います。
■2016年 序章 大発会
2016年1月4日の大発会。
この日のことは、私自身もよく覚えています。
今年の大発会は「損をした」という記憶から、苦い思い出となった個人投資家の方も少なくない筈です。
日経平均株価の寄り付きは、1万8818円58銭。
終値が、1万8450円98銭。
前営業日比で考えれば582円73銭安と、年初から大波乱の展開となりましたが、これはまだまだ序章にしかすぎませんでした。
■2016年 第一章 中国経済懸念
昨年の2015年から中国経済の減速が鮮明化したことで、原油や鉄鋼石、銅などの資源価格が大きく下落。
資産バブルが弾けた…とも騒がれ、マーケット関係者の間では中国経済発祥の世界同時株安が危惧されました。
こうした事態を受け、上海取引所はサーキットブレーカーを、正式に2016年1月1日の施行決定。
そしてわずか4日後の大発会で、上海指数でサーキットブレーカーが発動され、大きく下落。
これが、東京市場の大発会にも大きな影響を及ぼしました。
更にその3日後の1月7日も、上海市場は取引開始からわずか13分で株価が急落。
サーキットブレーカーが再び発動する事態に。
中国経済懸念が騒がれだした2015年頃から、日経平均株価はNYダウの動きよりも上海市場の動きに左右されていました。
この時期は投資家なら誰もが上海市場の寄り付き、朝10時30分に注目していたことでしょう。
アメリカに次いで高いGDPを誇る中国経済が破綻か?なんて言われてしまったら、誰もが投資することに躊躇してしまいます。
その不安は、如実に日々の東証一部の売買代金にも現れていました。
この次期、今年の日経平均株価は1万3000円台まで下がるんじゃないか?などと予測するアナリストもいましたね。
■2016年 第二章 マイナス金利
中国経済懸念による下落も落ち着き、日経平均株価は1月22日からようやく自律反発を始めました。
平静を取り戻した…と思ったのも束の間。
今度は海外市場の影響ではなく、国内の影響で下落局面を迎える事になってしまいました。
その発端となったのが、日本銀行が打ち出した新たな金利政策。
そうです、マイナス金利政策の採用です。
値を戻しつつあった日経平均は、2月から銀行株、証券株、保険業の大型銘柄を中心に売りが波及。
連日売られる展開となり、日経平均株価は約1年4ヶ月ぶりに1万5000円を割れる展開となりました。
この下落で痛手を負い、市場退場を余儀なくされた投資家も多いと聞きます。
ただ、あくまでも私個人の考えですが、日銀が大手銀行や証券に根本的に痛手を負わす政策をするはずがない。
必ず何かしらの対策を立ててくるだろうと考えていました。
それから程なくして、東京市場ではまたまた平静を取り戻し、4月25日、日経平均株価は高値1万7613円56銭を付ける場面も。
マイナス金利の下落から2か月超で2600円も戻す動きとなり、活況を呈しました。
4月27日・28日に開催される金融政策決定会合で、日銀から何かしらの発表や対策があるのでは?という期待感も後押しとなったことでしょう。
しかし、その金融政策決定会合での発表は現状維持。
市場には失望がどよめき、ドル・円が急速に円高に向かったことを筆頭に、東京市場は急落。
再び下火時代に突入しました。
■2016年 第三章 イギリス EU離脱問題
イギリスのEU離脱問題が騒がれ始めたのは今年の6月ごろ。
もちろん、皆さんも知っての通りEU離脱問題がきっかっけで日経平均は軟調な動きが続きました。
このころには日経平均が下がる事になんの感情もなくなっていました。
慣れって怖いですね。
それに今年の動きを見る限り、大暴落の後には急反発が起こりやすい傾向にあったため、下がるならとことんまで下がれ!と密かに思っていたのも事実。
イギリスがEUを離脱することで、イギリス拠点の日本企業やポンド・円には影響があるものの、日本国そのものに多大な影響はないと高を括っていたところもあったと思います。
しかし、市場はそうではありませんでした。
6月23日のイギリスの国民投票で離脱派が勝利。
翌日の日経平均は-7.92%と、70年弱ある日経平均の歴史の中で、9番目の下落率となりました。
証券マンに話を聞くと、追証のお知らせメールが来た投資家も多かったそうですね。
■2016年 最終章 トランプノミクス
最後は米国の大統領選。
今年の11月に米国の大統領選を控えていましたが、順当にヒラリー・クリントン氏が当選するだろうと考えられ、相場は緩やかに、ジリジリと値を戻す動きが続きました。
しかし米国大統領選の当日。
投開票が進む中、ヒラリー・クリントン氏は劣勢。
株価もそれに反応して大きく下げる動きとなりました。
米国大統領選の結果は、232対306でドナルド・トランプ氏が次期大統領の座を獲得。
ドナルド・トランプ氏はその発言(暴言など)でも有名だったことから、トランプ氏が勝利したら米国は大変な事になるんじゃないか?という考えが選挙前から浸透していました。
だからこその日経平均の暴落でしたが、さすがに自身の国に悪影響を及ぼす政策を取る大統領がいるはずがありません。
確かに発言は過激なものが多いですし、中には差別的な発言もあるでしょう。
しかし、過激ながらも自身の国を思うが故の発言も多く、米国民自身も、我が国を変えられる!という期待感が、ドナルド・トランプ氏が勝利した所以だと思っています。
そうした期待感もあり、東京時間で急激な下落を見せていたNYダウ先物は、米国市場の開場と共に値を戻して行く展開に。
その後は連日高値を更新。
日経平均株価も選挙の翌日には急反発し、トランプノミクスという造語が生まれる程の相場を築きました。
米国大統領選の影響で1万6000円近くまで下げていた日経平均も、僅か1ヶ月足らずで年初来高値を更新。
現在は約1年ぶりの2万円台も間近というところまで迫っています。
このように一年を振り返ってみると大波乱でしたが、月足で日経平均を見ると今年一年は新たな相場のための調整期間。
そして来年に繋がるための初動と、結果的に素晴らしい一年になったと思います。
大納会まで残り少ない2016年ですが、来年の更なるご活躍をお祈り致します。
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執筆者名:元・社長
ブログ名:元投資顧問会社社長のチラシの裏