■事業内容等
3. 既存店の月次売上高推移
薬王堂 (T:3385)の既存店売上高は、2013年2月期に94.2%、2014年2月期に99.5%、2015年2月期に102.3%、2016年2月期107.6%、2017年2月期に105.3%と上昇してきた。
既存店客数も同様のトレンドで、既存店の客数は2013年2月期に96.6%だったのが、ESLP施策を強化した2014年2月期には99.6%に上昇、その後も2015年2月期に101.6%、2016年2月期に106.5%、2017年2月期に103.8%と直近3ヶ年では前年を上回った。
既存店の1人当たり買上点数では、2013年2月期に101.8%、2014年2月期に105.5%、2015年2月期に102.1%、2016年2月期に101.0%、2017年2月期に102.1%。
客単価は、それぞれ、97.5%、99.9%、100.7%、101.0%、101.5%と上昇を示している。
直近では、4月の既存店売上高が108.4%、客数は105.6%、客単価は102.6%。
既存店売上高は25ヶ月連続で前年同月を上回るなど極めて好調である。
4. 施策
(1) 物流センターの活用による店舗作業効率化の結果
物流センターの稼動で業務の効率化が促進されているようだ。
DCセンター機能によるカテゴリー納品がすすみ、補充時間は1日1店舗当たり2.0時間の短縮、店舗作業が効率化できている。
同社の物流センターは、卸会社2社との委託契約であるため、新規物流センター稼動による追加の投資は不要であった。
(2) 「WA!CA」及び60歳以上限定の「おでかけカード」の導入開始
施策として、買物の際の行き先としての優先順位アップを目的に、2017年1月からプリペイドカード機能付きの新ポイントカード「WA!CA」(呼称はワイカ)及び60歳以上限定の「おでかけカード」を導入開始した。
WA!CAでは、従来のポイントカード機能(200円につき1ポイント)に加え、電子マネーチャージ機能がある。
販促強化策として、月間5,000円以上の買物で、翌月いつでもポイント2倍となるシルバー会員、同10,000円以上の買物で翌月ポイント3倍となるゴールド会員がある。
さらに、1,000円チャージごとに3ポイント、5,000円チャージで+5ポイントの加算、10,000円チャージで+15ポイントの加算となる。
これらのWA!CA特典に加え、60歳以上の顧客限定の「おでかけカード」では、買物で毎日+3ポイントが貯まる。
還元率を考えると魅力的だろう。
同社が見込んでいる効果として、既存顧客の来店頻度のアップ、ロイヤルティ向上による継続利用の顧客の増加、売上の平準化等による粗利率の安定化とコスト削減、販促強化による新規顧客の獲得を目論んでいる。
実際、3月末までの状況を見ると、現金をチャージした顧客の客単価、来店頻度は増加しているようで、今後の成果に注目したい。
5. 競合
近年、ドラッグストアは昔のドラッグストアの定義よりも幅広い商品を陳列しており、以前より高い構成比率を占める食品や酒類がその最も大きな特徴だろう。
会社によっては販売商品の半分超が食品というドラッグストアも出現している。
商品陳列の拡大によりドラッグストアのポテンシャルは拡大したものの、ドラッグストア間の競争だけでなく、食品スーパー、ホームセンター、GMS(総合スーパー)などとも競合することが多くなった。
同社は激化する競争環境下で、ローコストオペレーションを推進しながら、8割の人が使うであろう日常消耗品を、より安く顧客に提供することで、勝ち抜く戦略である。
ドラッグストア間での競合では、ツルハホールディングス (T:3391)が該当するが、同社のESLP政策とは異なった方針で、住み分けができているようだ。
6. 事業リスク
同社にとっての最大の事業リスクは同社が展開する東北地方における人口減少と競争激化だろう。
同社は、ESLPとローコストオペレーションをさらに推進することで同社の競争優位性を高め、生き残りを図る。
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)
3. 既存店の月次売上高推移
薬王堂 (T:3385)の既存店売上高は、2013年2月期に94.2%、2014年2月期に99.5%、2015年2月期に102.3%、2016年2月期107.6%、2017年2月期に105.3%と上昇してきた。
既存店客数も同様のトレンドで、既存店の客数は2013年2月期に96.6%だったのが、ESLP施策を強化した2014年2月期には99.6%に上昇、その後も2015年2月期に101.6%、2016年2月期に106.5%、2017年2月期に103.8%と直近3ヶ年では前年を上回った。
既存店の1人当たり買上点数では、2013年2月期に101.8%、2014年2月期に105.5%、2015年2月期に102.1%、2016年2月期に101.0%、2017年2月期に102.1%。
客単価は、それぞれ、97.5%、99.9%、100.7%、101.0%、101.5%と上昇を示している。
直近では、4月の既存店売上高が108.4%、客数は105.6%、客単価は102.6%。
既存店売上高は25ヶ月連続で前年同月を上回るなど極めて好調である。
4. 施策
(1) 物流センターの活用による店舗作業効率化の結果
物流センターの稼動で業務の効率化が促進されているようだ。
DCセンター機能によるカテゴリー納品がすすみ、補充時間は1日1店舗当たり2.0時間の短縮、店舗作業が効率化できている。
同社の物流センターは、卸会社2社との委託契約であるため、新規物流センター稼動による追加の投資は不要であった。
(2) 「WA!CA」及び60歳以上限定の「おでかけカード」の導入開始
施策として、買物の際の行き先としての優先順位アップを目的に、2017年1月からプリペイドカード機能付きの新ポイントカード「WA!CA」(呼称はワイカ)及び60歳以上限定の「おでかけカード」を導入開始した。
WA!CAでは、従来のポイントカード機能(200円につき1ポイント)に加え、電子マネーチャージ機能がある。
販促強化策として、月間5,000円以上の買物で、翌月いつでもポイント2倍となるシルバー会員、同10,000円以上の買物で翌月ポイント3倍となるゴールド会員がある。
さらに、1,000円チャージごとに3ポイント、5,000円チャージで+5ポイントの加算、10,000円チャージで+15ポイントの加算となる。
これらのWA!CA特典に加え、60歳以上の顧客限定の「おでかけカード」では、買物で毎日+3ポイントが貯まる。
還元率を考えると魅力的だろう。
同社が見込んでいる効果として、既存顧客の来店頻度のアップ、ロイヤルティ向上による継続利用の顧客の増加、売上の平準化等による粗利率の安定化とコスト削減、販促強化による新規顧客の獲得を目論んでいる。
実際、3月末までの状況を見ると、現金をチャージした顧客の客単価、来店頻度は増加しているようで、今後の成果に注目したい。
5. 競合
近年、ドラッグストアは昔のドラッグストアの定義よりも幅広い商品を陳列しており、以前より高い構成比率を占める食品や酒類がその最も大きな特徴だろう。
会社によっては販売商品の半分超が食品というドラッグストアも出現している。
商品陳列の拡大によりドラッグストアのポテンシャルは拡大したものの、ドラッグストア間の競争だけでなく、食品スーパー、ホームセンター、GMS(総合スーパー)などとも競合することが多くなった。
同社は激化する競争環境下で、ローコストオペレーションを推進しながら、8割の人が使うであろう日常消耗品を、より安く顧客に提供することで、勝ち抜く戦略である。
ドラッグストア間での競合では、ツルハホールディングス (T:3391)が該当するが、同社のESLP政策とは異なった方針で、住み分けができているようだ。
6. 事業リスク
同社にとっての最大の事業リスクは同社が展開する東北地方における人口減少と競争激化だろう。
同社は、ESLPとローコストオペレーションをさらに推進することで同社の競争優位性を高め、生き残りを図る。
(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)