このコンテンツは、スパークス・グループ (T:8739)の2017年3月期の通期決算説明会の音声を文字に起こしたものです。
なお、実際の説明会で使用された資料は、同社のウェブサイトをご覧下さい。
7本に分けたコンテンツの2本目です。
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司会:それでは続いて、2018年3月期以降のビジネス展望をご説明いたします。
まずは主要の4事業の事業ポートフォリオをご覧いただきます。
阿部:私たちは事業をこの四つの柱で定義しております。
一つは、日本の株式投資。
この分野のお客様は、海外、国内にもいらっしゃいます。
投資信託、年金、金融機関、基金、国家ファンド等形態は様々です。
AUMの内訳は、海外65%国内35%となっており、海外からの資金が多いです。
そこがスパークスの強みであり、ユニークさです。
日本株の中では、幾つか戦略別にファンドが分かれています。
同じようなモデルを今、2本目の柱のアジアに移管しようとしております。
これは今始まったことではなくて、センター・オブ・エイジアン・インテリジェンス(Center of Asian Intelligence)つまり、スパークスがアジアの投資インテリジェンスの中核をなす会社になるという構想の元、2005年から企業買収などを通じ実践してきました。
昨年度、この施策をさらに加速し内外のインテリジェンスの一体化が進みました。
東京の運用調査本部のメンバーと韓国、香港のメンバーが一緒にアジアを調査し、グローバルな視点で投資機会を見つけ世界中のお客様に提案していきます。
日本にも、アジアに投資したい投資家が必ずいるはずです。
日本の投資会社の中で、最もアジアのことがわかっているといわれる会社になりたいです。
この領域は、今後3年から5年を展望すると日本以上に成長のポテンシャルがあると思っています。
3本目の柱は実物資産です。
この事業は、もともと、東日本大震災で福島の原発事故が起こったときに、金融業界に携わる者として、何かしなければいけないと思ったことがきっかけで始めました。
私どもは小さな会社ですが、気持ちだけでも、何かしなければいけないと思って、復興のために、現地で働く人たち向けのホテルを作りました。
部屋数でいうと、1200室以上のホテルを宮城県内の3ヶ所に作りました。
それは今でも、高い稼働率を維持しながら運用されています。
当然、その時に投資をしていただいた投資家の皆さんにはリターンを還元しながら、復興にささやかであるけども、金融業者としてできることをさせていただきました。
それが始まりで、そのあとに、再生可能エネルギー発電所に投資するファンドを始めました。
これも、福島の原発事故を見たのがきっかけです。
最初に東京都の官民連携インフラファンド運用事業者に選ばれたことが、非常に幸運でしたが、現在約1400億円弱のファンドで、全国20数ヶ所の、主には太陽光発電所ですが、太陽光に限らず、風力、地熱、バイオマスといったあらゆる再生可能エネルギー発電所に投資をしています。
原発一基分の新しいクリーンなエネルギーを作りたいという志のもと、事業を進めています。
それから不動産にも投資を始めました。
これは中東の国家ファンドの資金を活用し投資を始めました。
当時、日本の丸の内、つまり、日本を代表する企業が入っている商業ビルの利回りが、10%に近い状況でした。
歴史的に考えて異常な水準にありました。
このように私がお話ししていくと、スパークスは時流に乗っているだけではないかと言われそうですが、そうではなく、投資として意味がある、価値があることを考えていったときに、こういう形になっていったということです。
不動産についても、少しずつ足場を固めながら進めておりまして、ここまで始めた中でスパークスらしい面白い試みでは、医療用ビルへの投資を始めております。
これから医療施設、病院にも積極的に投資したいです。
日本の高齢化を踏まえ、世界の高齢化、さらに言えばアジアの高齢者のために、何かできることをやっていきたいという気持ちで、この投資については、さらに進めていきたいです。
それから、4本目の柱になりますが、未来創生投資事業です。
世の中は、今テクノロジーの大転換時代です。
人口知能、各種センサーをつなぐIOT。
それから、センサーですね。
これらは、私たちの生活の中で起こっているいろいろなことを一つ一つ情報として吸い上げる仕組みです。
私はこのセンサーネットワークで、日本が誇る最大のネットワークは自動車だと思っています。
自動車こそが、次世代のロボットになると。
そうだとすると、そのロボットを最も多く信頼を伴って世界に供給しているのは、日本の自動車会社。
もう一歩踏み込めばトヨタ自動車です。
ということで、数年前、ぜひトヨタ自動車と一緒に日本の次世代産業に資するような投資ファンドをつくりたいというお話をトヨタ自動車と三井住友銀行にしたら、賛同していただきました。
これは本当にありがたい話なのですが、2015年の11月に未来創生ファンドをスタートし、4月末時点で、AUMは365億円まできております。
現在、日本、米シリコンバレー、それから英国やイスラエルといった地域に本社をもつ企業、30社弱に投資しており、グローバルに投資するファンドになりました。
この事業は2018年以降、スパークスの大きな柱に成長していくと思っていますし、
日本全体の成長を支える柱にもなると思ってます。
改めて、冒頭申し上げましたAUMが未達で、投資家の皆さんには本当に期待を裏切って申し訳ないです。
ただ、地力は本当についてきています。
未来を本当に期待していただく中身がどんどんどんどん強くなっています。
と申し上げても、負け越している大関みたいなもので、なかなか横綱にはなれないことも自覚しています。
とにかく日本を代表する運用会社の横綱になれるよう、引き続き株主の皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。
(3/7)に続く