このコンテンツは、スパークス・グループ (T:8739)の2017年3月期の通期決算説明会の音声を文字に起こしたものです。
なお、実際の説明会で使用された資料は、同社のウェブサイトをご覧下さい。
7本に分けたコンテンツの4本目です。
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司会:続いてOne Asiaの投資戦略について見ていきます。
SPARX TVで、日本、韓国、香港の社員の交流を頻繁にしていることやアジアでの調査活動について、ご紹介してきておりますが、この時間では、それがようやく形になってアジア版の新・国際優良アジア株ファンド(愛称:アジア厳選投資)ができるという話をまず聞かせてください。
阿部:アジアの投資を日本の投資家にお届けすることがこれまでどこの会社にもできてないとスパークスは考えています。
日本の会社がアジアの投資を投資信託として商品化する場合、多くは、アジアにある運用会社に日本で委託した資金を再委託するというのが基本的なパターンです。
私はそれでは、本当に投資家には伝わらないと思うんです。
やはり投資というのは現場でやってる人の声を直接届けるということなんです。
ですから、スパークスの日本での投資のやり方と全く同じ方法をアジアで実践します。
つまり1社1社訪ねて歩いて経営者の声を聞くということです。
それをこの1年間準備し、私自身が陣頭指揮をとって、私どもの運用調査のメンバー、それは東京も韓国も香港も入って戦略を決めて、アジアのどこに投資の機会、リターンの源泉があるのかを見極めた上で、1社1社会社を訪ねポートフォリオを作って、5月末に実際、日本の公募投資信託として、投資を始める運びになりました。
これは最初から巨大なファンドができることにはならないかもしれませんが、投資信託として、1年間準備をして、やってきたことが結実したという意味では、私としては、非常に大きな一歩です。
冒頭申し上げた内容。
私たちの底力がついてきていることを一つ私が実感している大きなアチーブメントです。
司会:その他韓国ではロング・ショートファンドが設定されたりもしているわけですが、スパークスが日本で経験してきたことを考えれば、アジアをこれから調査するときに、圧倒的アドバンテージがあると、スパークスでは考えています。
なぜでしょうか。
阿部:私たちの流儀はバリュー投資家、バリューインベスターといわれている投資家です。
流派はバリューインベスティングです。
バリューインベスティングは、「将来のことはわからない」というのがベースです。
わかることをベースにしてやろう、ただ将来のことをしっかり見据えてやっていくところに一番大きなリターンの源泉があります。
なぜかというと、そこの価値の裁定の領域が、最もダイナミックだからです。
ピータードラッカーは、こう言ってるんです。
「将来の予測をしても無駄だ」と。
ピータードラッカーもバリューインベスターと同じことを言っています。
ただ、ピータードラッカーはさらに、「すでに起こってしまった将来を探すことが本当の価値だ」と言っています。
まさにそれがスパークスが実践してきたことです。
つまり私たちはすでに起こってしまった未来が本当の未来にどういう影響を与えるのかを考えてきた会社です。
それを考えると、アジアには日本ですでに起こってしまった未来が沢山あります。
それを投資という形に落とし込んでいきたいと考えます。
韓国はまさに、日本が経験したことをこれから本当にリアルタイムにライブで、経験する国だと思っています。
司会:面白いグラフを見つけてきたのでご紹介しておきましょうか。
これは韓国の公的機関が発表している今後の年金資金の流出入予測ということなのですが、ここからだんだん純流入が増えていくということですね。
阿部:これは年金規模の過去約20年間の推移をまとめ、将来については予測しているグラフです。
2000年の初頭、韓国の年金は、ほとんど意味がない規模でした。
グラフの左側ですね。
それが、アジア経済危機以降、大きく成長して、ここからさらに成長していきます。
それも加速度的にです。
というのは高齢化するからです。
日本が経験したことと全く同じことです。
この日本が経験したことと同じこと。
つまり日本ですでに起こってしまったことが、韓国で、これから起こるんですよ。
タイムマシンのように起こる。
ところが、韓国の年金を運用する機関投資家の多くは、韓国の株、それもインデックス的な運用しかこれまでしてきませんでした。
スパークスのように、アジア全体に投資をするという経験がないし、さらに言えばオルタナティブ運用してきた経験もないです。
非常に面白いと思いますね。
今回の大統領選で、新しい大統領が選ばれた。
これは、日本で今言われているガバナンス改革の一種です。
コーポレートガバナンスの問題が政府におよんだ。
韓国企業のガバナンスは、アメリカで言うと1930年代から50年代つまりファミリーがコントロールして、株主というステークホルダーにほとんど想いを及ぼすことがない。
私たちが今、日本でやっている投資の20年くらい前のバージョンです。
すでに起こってしまった未来が韓国にあります。
ですから私は、韓国の株式運用にスパークスの日本と韓国が一緒に取り組むことで、ものすごく大きなリターンの価値があると思っています。
韓国では株主の皆さんのご期待に沿えない状況が続いてきましたが、ここから大きく飛躍の土台を作っていけるんじゃないかと思っています。
(5/7)に続く