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上半期はドル売り継続か【フィスコ・コラム】

発行済 2018-04-01 07:06
更新済 2018-04-01 07:33
上半期はドル売り継続か【フィスコ・コラム】
アメリカによる国益最優先の通商政策などで、2018年1-3月期のドル・円は下落基調が鮮明になりました。
足元ではいったん下げ止まったようですが、北朝鮮問題への対応などトランプ外交を楽観視はできず、ドルは目先も弱含む展開が想定されます。


2月13日から14日にかけてのドル・円相場は、今年の値動きを象徴しているようでした。
昨年の安値107円32銭付近でいったん跳ね返されるとみていたら、短期間で下抜け106円台に値を下げました。
今月13日にも、2日に付けた105円25銭、さらに重要な水準である心理的節目の105円を次々とブレーク。
3月最終週の取引では持ち直しましたが、戻りの鈍い値動きから目先も下落トレンドが続くと予想できます。


そうみる理由は、ほとんどアメリカ側にあります。
連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ加速への期待は後退しており、ドルは買いづらいでしょう。
また、株価も崩れやすいため安心感は広がりません。
また、何と言ってもトランプ政権の外交がネックです。
中東和平に向けた各国のこれまでの取り組みをぶち壊した経緯のほか、新たに対外強硬派を政権入りさせている状況から、北朝鮮との緊張緩和も楽観視すべきではないでしょう。


第1・四半期のドル安の最大の要因となった保護主義的な通商政策も、なお警戒が必要です。
11月に行われるアメリカの中間選挙に向け、トランプ大統領がますます国益最優先に傾倒していくのは必至です。
米中貿易戦争は回避されたと報じられていますが、アメリカの輸入制限の対象品目は拡大の余地があります。
中国からの投資制限も視野に入れているもようで、中国や日本を標的に貿易赤字是正のスタンスは崩さないでしょう。


一方、輸入制限の対象にされた日本が即座に対抗措置の構えを示すことはなく、日米同盟に過度に依存する外交姿勢が露呈されました。
安倍政権のトランプ政権追随の接し方が、足元を見られるような結果を招いています。
今後、仮にドル安・円高トレンドが強まった場合、円高けん制の口先介入は通用しなくなる恐れもあります。
日本政府はアメリカに対して何もできない、と市場に見透かされているからです。


森友学園の土地取引に絡む公文書を財務省が改ざんした問題で、安倍政権の関与が取りざたされました。
しかし、国内メディアの調査で内閣支持率は軒並み30%以上を維持。
事の重大さを考えれば、信じられない高支持率です。
しかも、前国税庁長官の国会での証言拒否で、今年9月の自民党総裁選での「安倍3選」に向け、支持率は大底を売ったと言えます。
とはいえ、日銀緩和頼みの政策で、ドル売りの圧力に耐えきれるでしょうか。


4月以降の下値メドは、3月23日安値の104円64銭、それを下抜けると心理的節目の104円50銭や104円00銭となります。
さらに下値のポイントを探すと、2016年11月9日安値の101円21銭が注目されます。
アメリカ大統領選で大方の予想を覆したトランプ勝利の直後の水準、つまり「トランプ相場」の起点です。
今後はそのレベルを目指す展開となり、それさえカンタンに割り込んでしまうかもしれません。







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