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KLab Research Memo(2):人気IPによるヒットタイトルの創出を得意とする、モバイルオンラインゲーム会社

発行済 2018-06-08 15:02
更新済 2018-06-08 15:20
KLab Research Memo(2):人気IPによるヒットタイトルの創出を得意とする、モバイルオンラインゲーム会社
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■会社概要

1. 事業内容
KLab (T:3656)は、「世界と自分をワクワクさせろ」をビジョンに掲げ、スマートフォン向けアプリを中心にモバイルオンラインゲームの企画、開発を手掛けている。
主要タイトルは、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」(以下、スクフェス)、「BLEACH Brave Souls」(以下、ブレソル)のほか、前期の新作タイトル「キャプテン翼~たたかえドリームチーム~」(以下、キャプテン翼)、「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live」(以下、シャニライ)も順調に伸びている。


日本の人気漫画やアニメーションをゲーム化し、運用するところに強みがあり、海外への展開にも積極的である。
上位4タイトルで売上高の大部分をバランスよく構成しており、特定のヒットタイトルへの依存度が高い業界においては非常に安定的な収益構造と言える。


事業セグメントは、主力の「ゲーム事業」のほか、創業来の大規模・高負荷対応インフラサービスの提供などによる「その他」※に区分されるが、「ゲーム事業」が売上高のほとんどを占める。


※2016年に事業化したラーメンアリーナ事業については、事業方針の変換(ゲーム事業へ特化)により事業譲渡を実施している。



主要タイトルの概要は以下のとおりである。


(1) 「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」
「ラブライブ!」とは、架空の女子高校生をスクールアイドルとして売り出していくメディアミックスプロジェクトであり、TVアニメを始め、アニメーションPV(DVD)付き音楽CDのリリースのほか、インターネットラジオやライブイベント、雑誌、トレーディングカードゲームなど、様々なメディアに展開する人気シリーズである。
この「ラブライブ!」をゲーム化した「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」は、2013年4月に(株)ブシロードとの共同開発により提供を開始したリズムアクション&アドベンチャーゲームである。
提供開始から1日で国内App Storeトップセールスランキング5位を獲得するなど順調に立ち上がり、その後もロングランのヒットタイトルとして業績貢献を続けており、2017年6月に国内ユーザー数2,100万人、2017年9月には全世界で4,000万人を達成した。


(2) 「BLEACH Brave Souls」
2015年7月に配信を開始した爽快3Dアクションゲームである。
題材となる「BLEACH」とは、(株)集英社が発行する少年漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で人気連載されていた剣戟バトルアクションコミックであり、TVアニメのほか、劇場版も公開されている。
また、日本だけでなく海外での人気も非常に高い。
2018年2月には全世界で3,000万ダウンロードを突破した。


(3) 「キャプテン翼~たたかえドリームチーム~」
2017年6月13日に配信を開始した前期の新作タイトル(対戦型サッカーシミュレーションゲーム)である。
事前登録の段階から注目を集めていたが、日本版のリリースから3週間で200万ダウンロードを突破するなど、想定を上回るペースで立ち上がった。
世界的な人気を誇ってきたIPとしての認知度に加え、ゲームとしての作り込みの良さ(育成要素の強さ、対戦ゲームとしての醍醐味、世界中のプレイヤーによるドリームチームの編成、課金ポイントの充実など)が高い評価や業績寄与につながっていると考えられる。
2017年12月5日にはグローバル版をリリース。
こちらも2週間で200万ダウンロードを記録すると、その後も順調に拡大し、2018年5月には全世界で1,000万ダウンロードを突破した※。


※国・地域別最高セールスランキング(App Store)では、バーレーン、香港、UAE、マカオでそれぞれ1位を記録したほか、イタリア、フランス、スペイン、アルゼンチンなど、サッカーの盛んな欧州や南米でも上位にランキングされている。



(4)「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live」
2017年8月28日に配信を開始した前期の新作タイトルである。
「うたの☆プリンスさまっ♪」は2010年にゲーム第1作をリリース以来、メディアミックス展開を広げてきた人気IPと言える。
これまでの実績に目を向けると、ゲームでは12種計100本のビッグセールスを記録、TVアニメでは第4期まで放送し、アニメDVD/BDの人気も高い。
音楽メディアは著名ランキング会社が提供する音楽ランキングで1位を獲得するなど、アニメ系CDセールストップの常連となってきた。
また、リアルイベントではライブチケットは即完売し、有名イベント会場をファンが埋め尽くすなど、女性を中心とする熱狂的なファンを有している。
すなわち、メディアミックス展開がさらにIPを盛り上げる効果を生み出してきたものと捉えることができる。
シャニライはセールスランキングでは10位以内に届かずとも高水準を維持しており、ライフタイムバリューを重視した戦略により着実に実績を伸ばしている。
2018年1月24日には中国大陸版とグローバル版を同時リリースし、2018年3月には全世界300万ダウンロードを突破している。


2. 企業特徴
(1) 成長モデル
同社の収益源はゲームユーザーからのアイテム課金収入によるものである。
すなわち、ヒットタイトルの創出によるユーザーの獲得と課金率の向上が業績の伸びをけん引する成長モデルである。
また、モバイルオンラインゲームのヒットタイトルは、運用次第で比較的ライフサイクルの長期化が見込めるものの、年々縮小していく傾向(自然減)は避けられない。
したがって、ヒットタイトルの自然減を新作タイトルでいかにカバーしていくのかが最大のテーマであり、開発パイプラインの積み上げ(新作タイトルのリリース数)とヒット率の向上が成長のカギを握ると言える。


(2) 同社の優位性
a) 人気IPをヒットタイトルに結び付ける力
同社は日本の人気漫画やアニメーションなどをゲーム化し、運用するところに強みがある。
主要タイトルの「スクフェス」や「キャプテン翼」を始め、数々の人気IPを手掛けてきた実績は、有力IPの獲得から、そのIPを生かす企画・開発、更にはリリース後の運営及びマーケティングにおけるノウハウを蓄積しており、それが同社の強みを支えている。
特に、日本のポップカルチャー(オタク文化)は、アジアや欧米など世界でも人気を高めており、海外展開を進めるうえでも大きなアドバンテージとなっている。
また、有力IPをゲームでヒットさせてきた実績と経験、ネットワークは、更なる有力IPの獲得に向けて有利に働くとともに、自社IPの育成にも生かされており、好循環が生み出されている。


b) 独自のマーケティング力
精密なKPI分析や効果測定による効率的な広告宣伝活動を展開するほか、同社ならではのオンライン動画配信※等により、コアとなるユーザー層を囲い込む(ファンコミュニティの醸成)、効果的なマーケティングを展開している。
また、これらの草の根的なユーザー接点(ネットワーク)は、新作タイトルの企画・開発におけるヒントや、リリース後の運用においても大きな支えになるとともに、他社が簡単にはまねできない財産となっている。


※国内向けは「KLab Games放送局」(2017年12月に放送100回を突破)、海外向けは「KLab Games Station」(英語/フランス語で放送)を展開し、国内外でファンコミュニティ醸成に貢献している。



c) 運営力
前述のとおり、一般的なモバイルオンラインゲームには年々縮小していく傾向(自然減)がある上、ユーザーの移り変わりも激しいところに課題がある。
一方、同社の場合、最近の業績推移を見ると、時間の経過とともに増収となっている既存タイトルがあることから、その運営力の高さも強みになってきた。
コアファンを有する人気IPの特徴をうまく生かし、ユーザーが離れないようなイベント及び商材をタイミングよく投入することで、継続率及び課金率の向上を図っているところに秘訣があると考えられる。


d) 海外展開力
海外展開力にも強みがある。
2017年度の海外売上高は50億円弱となり過去3年間で4倍以上に拡大してきた。
また現在の海外売上比率は約30%(2018年12月期第1四半期実績)を占めている。
特に、「ブレソル」については、多言語化(フランス語版の投入)を図ったことも奏功し、グローバル版が日本版を上回る状況が続いている。
また、2017年12月にグローバル版をリリースした「キャプテン翼」も好調であり、足元の業績の伸びをけん引している。
海外でも人気の高い日本のIPを展開する力に加えて、海外向けのオンライン動画配信を始め、欧米のリアルイベントにも出展・参加するなど、現地に根差したマーケティング活動を行っていることが背景としてある。
また、Web広告配信の自社運用も開始しており、これらのノウハウの蓄積にも取り組んでいる。



創業以来、様々なIT関連技術をサービスの形にして提供。
ソーシャルゲーム事業への参入が成長の引き金に
3. 沿革
同社の発祥は、2000年1月に(株)サイバードの研究・開発部門として、ケイ・ラボラトリーを発足したところに遡る。
2000年8月にはサイバードの子会社として(株)ケイ・ラボラトリーを設立。
携帯電話向けプログラムの開発等を手掛け、世界初の携帯電話上で動作するJavaアプリケーションなどを発表した実績を持つ。
創業以来、大規模・高負荷対応インフラサービスなどを含め、様々なIT関連技術をサービスの形にして提供してきた。
2004年11月に商号をKLab株式会社に変更すると、(株)USEN(現USEN-NEXT HOLDINGS (T:9418))の連結子会社となったが、2007年2月にはSBIホールディングス (T:8473)等に同社株式が譲渡された。


同社の転機は、2009年にソーシャルゲームに着目し、ヒットタイトルとなった「恋してキャバ嬢」をリリースしたことである。
その後、ゲーム事業の伸びを背景として、2011年9月に東証マザーズに上場。

その後も、ゲーム事業を軸として事業基盤を拡大。
海外展開にも積極的に取り組み、2012年2月にシンガポール子会社、同年4月には米国子会社とフィリピン子会社、同年11月には中国子会社を相次いで設立した。
2012年5月に東証1部に市場変更。


2013年11月には、創業以来のSI事業部門及びライセンス事業部門を売却。
その一方で、2015年8月にはイベント事業等を行う子会社(KLab Entertainment)、同年10月にはベンチャーキャピタル事業推進のための子会社(KLab Venture Partners)、2016年8月には日本食・文化を海外に展開する子会社(KLab Food & Culture)を設立、2017年7月にはモバイルオンラインゲームのリサーチ・海外コンサルティング事業を行う(株)スパイスマートを完全子会社化するなど、非ゲーム事業の推進にも取り組んできた。
ただ、直近では、好調なゲーム事業に特化する方向へと事業方針を変更し、非ゲーム事業の整理を進めている※。


※国際戦略の変更に伴い、フィリピン子会社は撤退を完了(2017年4月)。
また、事業方針の変更に伴い、KLab Entertainmentは事業撤退を決定(2017年3月)するとともに、KLab Food & Cultureの譲渡を実施。



なお、2018年3月開催の定時株主総会後の取締役会決議を経て五十嵐氏が代表取締役に昇格し、真田哲弥(さなだてつや)代表取締役会長兼社長(CEO)と五十嵐洋介(いがらしようすけ)代表取締役副社長(COO)の代表取締役2名体制となった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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