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ダイナック Research Memo(6):「収益基盤の強化」のための3つの取り組みはいずれも順調に進捗

発行済 2018-09-04 15:11
更新済 2018-09-04 15:20
ダイナック Research Memo(6):「収益基盤の強化」のための3つの取り組みはいずれも順調に進捗
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■中長期の成長戦略と進捗状況

1. 2018年3ヶ年ローリング中期経営計画の概要
ダイナックホールディングス (T:2675)は中期経営ビジョンとして『“選ばれる”ブランドへ』をスローガンに掲げ、顧客、株主、従業員といったすべてのステークホルダーのロイヤルティ確立を目指している。


その実現に向けて同社は、毎年3ヶ年ローリング中期経営計画の策定と実行に取り組んでいる。
同社はリーマンショック後から2016年まで『経営基盤の整備』を中期経営計画のテーマとしてきた。
それが一定の成果を出したことで、2017年からは『成長に向けた収益基盤の強化』をテーマに掲げている。
2018年2月発表の新3ヶ年中期経営計画でもこのテーマを引き継ぐとともに、その実現のための3つの取り組みについても従来から基本的に変更はない。


2018年12月期第2四半期における進捗状況を俯瞰すると、3つの取り組みの中の“事業ポートフォリオの進化による収益力の強化”に関し、直営ビジネスで新業態への挑戦やリ・ブランディングという“種まき”が着実に行われたほか、受託ビジネスでもゴルフ場の優良案件獲得や道の駅の大型施設のオープンという進捗があった。
こうしたダイナミズムは今第2四半期に限ったことではなく、収穫や新たな種まきがその時々で交代しながら、今下期以降も継続していく見通しだ(詳細は後述)。


“最高品質の追求と継続”及び“人財パワーの最大化”の2つの取り組みについても、マグネット商品での訴求や全社VOC活動、DYNAC AWARDやパートナー育成評価システム(ファイブスター制度)の徹底活用といった施策が継続的に実施されている。


業績計画については、2017年12月期の実績や足元の事業環境などに照らして見直しを行い、現在の厳しい事業環境が今後も継続することを前提に、各年の増収率及び経常利益率の見通しを従来よりも厳しく変更した。
2020年12月期の業績計画は売上高38,400百万円、経常利益990百万円、経常利益率2.6%となっている。


前述のように今第2四半期決算は天候要因によって収益が下振れし、その結果を受けて2018年12月期通期の業績予想が下方修正された(詳細は後述)。
しかしながら2019年12月期以降については従来予想が維持されている。
来年初頭には2019年−2021年の新ローリング中期経営計画の発表が予定されているが、その際には2018年12月期の進捗を踏まえて業績計画が上方修正される可能性もあると弊社ではみている。


2. 『事業ポートフォリオの進化による収益力強化』の進捗状況
“事業ポートフォリオ”というのは直営ビジネスと受託ビジネスの組み合わせのことを言う。
これらは業態や地域、客層、需要ドライバーなどが異なる。
これら2つの事業をそれぞれ存在感のある規模で展開するダイナックホールディングス (T:2675)は、業界内において稀有な存在であり、それだけで優良な事業ポートフォリオを有していると評価できる。
このポートフォリオを“進化”させるとは、直営と受託の2つの構成比を変化させるというよりも、それぞれのビジネスを“深化”すなわち深堀りすることだと弊社では理解している。


2018年12月期第2四半期においては、直営ビジネスと受託ビジネスの双方で着実な進展を確認することができた。
一方で当初計画から、プラス、マイナス両方向への乖離が徐々に鮮明になりつつある。
この結果として、今後同社は成長戦略の転換を迫られる可能性があると弊社ではみている。
しかしながらそれは悪い方向を意味するわけではなく、むしろプラス方向への修正となる可能性も十分高いと弊社ではみている。


(1) 直営ビジネスの進捗状況
直営ビジネスにおいては、“新業態への挑戦”と“リ・ブランディング”(従来ブランドからの転換・再生)が大きな2つのテーマだ。
前述のように、2018年12月期第2四半期は、新規出店5店舗と業態変更6店舗を実施したが、この中で同社は「萬鉄」、「レ・アミーケ」、「コトブキ」、「モツーダ」の4つの新ブランドをリリースした。


1月開店の「萬鉄(ばんてつ)」は同社のフラッグシップブランドである「響」と「鉄板焼 Rio」のノウハウを活かした高付加価値業態で、新業態への挑戦というテーマにふさわしい出店と言える。
開業後およそ半年を経過した時点では、知名度、認知度がまだ十分ではないこともあって、想定よりも客数は若干下回っているもようだが、客単価は想定を超えて「響」よりも高い状況を実現しているとみられる。


萬鉄以外の新規出店は、開店時期が5月、6月に集中しているため、十分なデータがそろっていないが、ハイボールバー2店と東京コトブキは、出店場所が集客力の高いターミナル駅の構内であり、順調に推移しているとみられる。
女性向けイタリアンをコンセプトにしたレ・アミーケも、女性に特化したファッションビル内への出店で、店舗コンセプトと立地がマッチしていることや想定価格を低めに設定しているため、順調な立ち上がりと推測される。


業態変更では、イタリアンのパパミラノからの業態変更が目立った。
これは同社が進める総花的な店舗から専門化、高付加価値化への転換という方針に沿った動きだ。
今第2四半期はイタリアンの新ブランドとしてホルモン料理のトリッパを中核にした新ブランド「MOTSUDA(モツーダ)」をリリースした。
また、店舗ブランドパパミラノを引き継ぎつつも、「銀座ワイン食堂」の冠をつけて店舗コンセプトを一新したのも注目される取り組みだ。
弊社では今第2四半期の業態変更は、イタリアンというジャンルで集中的なリ・ブランディングに取り組んだ結果とみている。
これと同じような動きが来年度以降、他の業態で出てくる可能性があるとみている。


今第2四半期は前半にリニューアルが多く、後半に新規出店が多くなった。
いずれにしても本格的な収益貢献は今下期からになる。
ブランド別では実績ある既存ブランドと最近の流行を取り入れた新ブランドがほぼ半々でそろったことや、立地の面では新規出店が集客力の高い中核駅(東京、新宿、新橋・汐留、なんば)の構内や駅近にあることを勘案すると、今第2四半期の新規出店・業態変更の各店舗は、下期に着実に収益を伸長させることができると弊社では期待している。


(2) 受託ビジネスの進捗状況
受託ビジネスはゴルフクラブレストランがその中核であるのは変わらないが、それ以外の領域も着実に大きくなりつつある。
そのけん引役が道の駅や高速道路のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)だ。
今第2四半期は、それぞれの領域で大きな進捗があった。


ゴルフクラブレストランは今第2四半期に5ヶ所を新規にオープンした。
同社は年間5ヶ所の新規受託を目標としており、今期は期の前半で目標を達成したことになる。
今第2四半期の受託はそうした数の面もさることながら、内容・質の面で非常に興味深い成果があった。
委託者として東急不動産(株)とパシフィックゴルフマネージメント(株)(PGM)という大手ゴルフ場運営企業が顔を出したことだ。
これまでの同社への委託者は、1ヶ所~数ヶ所のゴルフ場運営企業であった。
2ケタのゴルフ場を抱える大手は自社グループ内でレストランを運営するケースがほとんどだ。
そうしたなかで、同社が東急不動産やPGMから受託できたのは、ゴルフ人口の減少が止まらない等の事業環境の中にあって、同社の実績と手腕が評価されたためと考えられる。


前述のように同社は実績と高い評価を次の受託につなげるポジティブスパイラルを確立してこのビジネスを成長させてきた。
大手委託者に対してもこれが機能すれば、受託件数が一気に伸びる可能性もあると弊社では期待している。


道の駅については、これまで「針テラス」と「まくらがの里 こが」の運営を受託しているが、今期は7月11日にオープンした岐阜県最大級の規模を誇る「パレットピア おおの」について指定管理者業務を受託している。
収益計上は下期からとなるが、様々な準備はそれに先立って進めてきており、実質的に今第2四半期の進捗と評価して良いだろう。


道の駅は全国に1,145ヶ所(2018年4月現在)あるが、その90%以上が経営的には赤字と言われている。
そうしたなか、同社が受託した「針テラス」と「まくらがの里 こが」はともに黒字を確保している。
「パレットピア おおの」については、開業初年度の今期は、期中のスタートでかつ初期費用も多いため赤字となるのは避けられない。
しかしながら、来期以降は同社の経営手腕と知名度・認知度向上とが相まって、収益は着実に改善していくと期待される。



当面は受託ビジネスに店舗数拡大の余地が大きいとみる。
ゴルフクラブレストランと道の駅の今後に注目
3. 今後の成長戦略の考え方
中期経営計画における同社の3つの取り組みは全般に着実に進捗しているのは前述のとおりだ。
3つのうち、“最高品質の追求と継続”と“人財パワーの最大化”という2つについては、同社自身の自己努力で安定的かつ着実に進めていくことが可能だ。


それに対して“事業ポートフォリオの進化による収益力強化”という取り組みは、ことが店舗に関わるものだけに、同社だけの事情では完遂できない要素が含まれている。
今第2四半期決算においてもそうした要素が今後大きくなる可能性を垣間見ることができた。
具体的には、計画通りではあるものの、10店舗という大量閉鎖と、それに伴う受取補償金の計上だ。
これは家主側の事情による閉店が少なからずあったことを意味している。


同社は第2四半期決算を機に2018年12月期通期ベースの出店計画を修正している。
修正計画では、バー・レストランにおいて期初は純増1だったものが純減1へと変わり、期末店舗数は155店舗になる見通しだ。
同様にゴルフクラブレストランも前期比横ばい(増減なし)から純減1へと変わった。
その他受託においては計画どおり純減1となるため、全社ベースの今期末の店舗数は254店舗(前期末比3店舗減少)となると見込まれる。


同社は店舗数の減少を満足して受け入れているわけではなく、今期中の回復は時間的に不可能であるため受け入れざるを得ないとしても、可能な限り速やかに店舗数を回復させて行く意向とみられる。
しかしながら、事業ポートフォリオの中身は、変わっていく可能性があると弊社ではみている。


直営ビジネスのバー・レストランについてはここ数年、新規出店数は計画を下回ることが続いている。
それは同社が採算性を第一に考え、無理な出店はしないというスタンスを堅持しているためだ。
この点は弊社が同社の経営で最も評価すべきと考えるポイントだ。
同社は約60年の歴史の中で立地や店舗設計、業態開発等に関するノウハウと知見を積み重ねてきており、それに基づく独自の出店の基準を持ち、それを厳格に運用しているということだ。


同社の新規出店が進まない大きな理由は、いわゆる東京オリンピック問題だ。
東京オリンピックを2年後に控えた現在、出店のハードルが一段と上がった状況にあり、ここから数年は新規出店が絞り込まれ、店舗数が増えない状況が続く可能性がある。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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