3月7日のダウ平均株価は下落した。ECB(欧州中央銀行)が経済成長の見通しを下方修正するとともに、予想以上に踏み込んだ政策の実施を発表した。同発表を受け、世界経済の減速懸念が強まり、株式市場では投資家心理が悪化した。
ダウ平均株価は200ポイント減少し前日比0.78%安となったが、下げ幅は一時321ポイントに及んだ。S&P500指数は0.81%安、ナスダック総合指数は1.13%安となった。S&P500指数は200日移動平均を2月11日ぶりに下回った。
世界経済が減速している中、マリオ・ドラギECB総裁は欧州経済の成長減速は今年度も引き続くだろうと発言した。
ECBが2019年の欧州経済の成長予想を前回の1.7%から1.1%に下方修正した後、同氏はこのような悲観的な発言を行った。資産購入プログラムの終了からわずか3ヵ月後に、ECBは金融緩和促進に向けた新たな政策を発表した。
世界経済の減速懸念により米国債の買いが加速した。米国債価格は上昇し、金利が低下したことで、銀行株は打撃を受けている。
米10年債利回りが日中最低値で取引を終え、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs) (NYSE:GS)、シティグループ( Citigroup ) (NYSE:C)、モルガン・スタンレー( Morgan Stanley ) (NYSE:MS)は1%下落した。
米国債利回りの低下は銀行にとって打撃となる。金利の低下によって、債券投資による運用利回りと貸出金利の差である利益(純金利マージン)が減少する。
株安によってエネルギー株も低迷している。トレーダーは米原油在庫統計の増加に反して、原油価格は高値圏で取引されており、OPECプラスによる減産に引き続き警戒している。
決算シーズンが終わり、多くの決算が不調であった。
スーパーマーケットチェーンのクロ―ガー(Kroger) (NYSE:KR)株は10%下落した。同社の第4四半期決算の売上高、純利益は予想を下回った。
アメリカン・イーグル・アウトフィッター( American Eagle Outfitters ) (NYSE:AEO)株は0.38%安で取引を終えた。第1四半期の業績予想が予想を下回ったことで、取引開始当初は売りが殺到したが、その後は買いが入った。
経済指標では非農業部門生産性の弱さや新規失業保険申請件数の減少など様々見られたが、投資家心理の悪化には至っていない。
米労働省の非農業部門就業者数は日本時間8日の午後10時30分に発表される。
7日のS&P500指数 上昇/下落銘柄:
エレクトロニック・アーツ(Electronic Arts) (NASDAQ:EA)、センチュリーリンク( CenturyLink ) (NYSE:CTL)、アラガン(Allergan) (NYSE:AGN)の順に上昇幅が大きかった。
一方で下落幅が大きかったのは、クロ―ガー(Kroger) (NYSE:KR)、モザイク(Mosaic) (NYSE:MOS)、ウィン・リゾーツ(Wynn Resorts) (NASDAQ:WYNN)であった。