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ダイナック Research Memo(4):受託ビジネスの業容拡大と直営ビジネスの高付加価値化で成長実現を目指す

発行済 2019-03-08 15:34
更新済 2019-03-08 15:41
© Reuters. ダイナック Research Memo(4):受託ビジネスの業容拡大と直営ビジネスの高付加価値化で成長実現を目指す
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■中長期の成長に向けた取組み1. ダイナックホールディングスの中期成長戦略(1) 中期成長戦略の骨格ダイナックホールディングス (T:2675)は毎年、向こう3ヶ年のローリング中期経営計画を策定し、その着実な実行に取組んでいる。

これは、同社が目指す、顧客、株主、従業員といったステークホルダーのロイヤルティ確立のための取組みであると同時に、中長期の持続的成長の実現への取組みでもある。

同社の中期成長戦略の骨格は従来から一貫しており、2019年からの3年間も同じものが引き継がれる。

それは「事業ポートフォリオの進化」だ。

“事業ポートフォリオ”は同社を理解するキーワードでもある。

同社の強みの項で述べたように、同社はバー・レストランの直営ビジネスと、ゴルフクラブレストランの受託ビジネスの2つからなる事業ポートフォリオを有し、それぞれのビジネスにおいて高い競争力と存在感のある事業規模を実現している。

同社の成長戦略はこの事業ポートフォリオを進化させることがベースとなっている。

“進化”には、2つのビジネスの更なる強化・拡大の意味が込められている。

(2) 2019年12月期の取組み事業ポートフォリオの進化の具体的な取組みとして、2019年12月期は、1)時代のニーズに合ったブランドの創出・展開の加速、再整備、2)基盤となる機能・サービスの革新、3)経営スピードアップに向けた構造改革を実施、の3点に取組む方針だ。

これらの取組みを通じて、同社が中期経営ビジョンとして掲げる『“選ばれる”ブランドへ』の実現と、後述する業績計画の実現を目指すことになる。

3つの施策の詳細は後述するが、弊社では、2019年12月期の取組内容から、同社が当面の(少なくとも2021年12月期までの3年間の)成長エンジンの役割を受託ビジネスに託す方針が一段と明確になったと捉えている。

直営ビジネスについては、“高付加価値業態へのシフト加速”がうたわれている。

この真意は、眼下の事業環境が拡大策を取るのには適さないとの判断のもと、規模(店舗数)拡大よりも収益体質の強化(店舗当たり売上高や利益率の向上)を優先させるということだと弊社では考えている。

こうした弊社の理解が正しいとした場合、これを、同社の成長戦略が受託ビジネスだけによる片肺飛行だとネガティブにとらえるのは正しいアプローチではないだろう。

受託ビジネスの拡大と直営ビジネスにおけるリ・ブランディング等の取組みは、過去数年間一貫して行われてきた。

今般、受託ビジネスの拡大に期待をかける背景には、実績が着実に積み上がって収益基盤が安定化し、事業のパイプラインの充実によって事業の成長への自信度が高まったことがあると弊社ではみている。

成長エンジンとしての役割について受託ビジネスの割合を高める同社の戦略を、素直にポジティブに受け止めて良いというのが弊社の考えだ。

後述する経営スピードアップのための構造改革の取組みも、そうした見方をサポートすることになると期待している。

時代のニーズに合った多彩なブランド展開を加速、収益体質の強化(店舗当たり売上高や利益率の向上)による成長を目指す2. 直営ビジネスの事業展開直営ビジネスでは、新規出店と業態変更が事業展開の基本であることは従来から変わりはない。

多業態戦略を取る同社は、和風3業態(ミドルアッパー、鳥居酒屋、魚居酒屋)、洋風3業態(イタリアン、ビストロ・バル、PUB・BAR)の6業態を運営しているが、全業態共通バックヤードを有している。

バックヤードとは、商品開発、人材の獲得・育成、食材調達、サービスの品質管理など、運営に必要な要素すべてを意味しており、これらを業態横断して展開できる同社は、それだけ効率性が高い経営が可能となっている。

全業態共通バックヤードの存在は、同社が時代のニーズに合った多彩なブランド展開をスピーディーに実現する基盤を有していることを意味しており、この強みを生かして、引き続き新ブランドの創出やリ・ブランディングに取組む方針だ。

言わば直営バー・レストランにおける“ポートフォリオの進化”の取組みと言える。

前述のように2018年12月期は7店舗を新規出店し、7店舗で業態変更を実施した。

2019年12月期は3店舗の新規出店と5店舗の業態変更を計画している。

一方で閉店も8店舗が計画されているため店舗数は5店舗の純減が予想されている。

直営のバー・レストランの店舗数は純減基調にあるが、同社はこの点については焦る様子はない。

2019年12月期の店舗異動計画には、同社が規模(店舗数)拡大よりも収益体質の強化(店舗当たり売上高や利益率の向上)を優先させるというメッセージが込められていると弊社ではみている。

直営ビジネスにおける成長の中身を、外部環境に応じて柔軟に変えようというもので、直営ビジネスと受託ビジネスの2つからなる優良な事業ポートフォリオや全業態共通バックヤードといった強みを有する同社ならではの取組みと言えるだろう。

道の駅や高速道路SA/PAの案件が収益を押し上げると期待。

ゴルフクラブレストランも高い経営効率を武器に成長が続く見通し3. 受託ビジネスの事業展開受託ビジネスの拡大は従来から同社が取組んできた項目ではあるが、ここにきて一気にその存在感が増してきた。

その理由はゴルフクラブレストランの着実な新規受託増加に加えて、道の駅や高速道路SA/PAの商業施設といった、収益規模の大きい案件の受託が続いていることがある。

2018年12月期は道の駅で3件目の受託案件となる「パレットピアおおの」を7月にオープンさせた。

また2019年12月期においては、3月に新名神高速道路・鈴鹿PAの商業施設「PIT SUZUKA」の運営を受託した。

これらの施設は、その年商が同社のバー・レストランの10倍前後の規模に相当し、収益インパクトが非常に大きい。

道の駅や高速道路のSA/PA施設は、大型案件であるがゆえに受託に漕ぎ着けるまでに数年間という長期間を要し、また入札案件であるケースがほとんどであるため安定的に受託できるわけではない。

また高速道路のSA/PAについては、高速道路網が充実した今日では将来の案件が多くはない。

それゆえ、過度な期待や楽観視は禁物だ。

しかしながら弊社では、道の駅については将来的にも同社が受託件数を伸ばせるとみている。

理由の1つは数の増加だ。

道の駅は、地方において地域振興策の一環で今後も建設が継続する見通しで、同社が受託にチャレンジする機会は安定的に継続するとみている。

また、これまでの同社の実績も大きな武器になるとみている。

道の駅は全国に1,145ヶ所(2018年4月現在の国土交通省登録数)あるが、その90%以上が経営的には赤字と言われている。

そうしたなか、同社が受託した「針テラス」と「まくらがの里こが」はともに黒字を確保している。

「パレットピアおおの」もフル稼働となる2019年12月期からは黒字に転換する見通しで、こうした経営実績は今後の受託数増加を後押しすると期待される。

ゴルフクラブレストランについては、年間5ヶ所の新規受託を目標としているが、ここ数年、おおむねそのペースを維持してきている。

一方でゴルフ場の閉鎖に伴い毎年解約も発生しているが、2012年末の64ヶ所から2018年末には73ヶ所に増加したことに明らかなように、着実にその数を増してきている。

日本ではゴルフ人口の減少が言われて久しいが、ゴルフ市場の経営環境が厳しくなるほどに高い効率性を求めてレストランの運営を外部に委託するケースが増えてくると考えられ、この面での成長も継続すると弊社では考えている。

2018年12月期はそうした見方を裏付ける興味深い事象がみられた。

委託者として東急不動産とパシフィックゴルフマネージメント(株)(PGM)という大手ゴルフ場運営企業が顔を出したことだ。

これまでの同社への委託者は、1~数ヶ所のゴルフ場運営企業であった。

2ケタのゴルフ場を抱える大手は自社グループ内でレストランを運営するケースがほとんどだ。

そうしたなかで、同社が東急不動産やPGMから受託できたのは、厳しい事業環境下での同社の実績と手腕が評価されたためと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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