日経平均は3日続落。
161.77円安の20780.76円(出来高概算6億9000万株)で前場の取引を終えている。
30日の米株式市場でNYダウは43ドル高と3日ぶりに反発。
長期金利の低下が一服し、金融株などに買い戻しが先行したが、中国政府が米国産大豆の購入を保留したことで投資家心理が悪化した。
また、東京市場の取引開始前にはトランプ米大統領が6月10日にメキシコからの全輸入品に5%の関税を課すと表明したことが伝わり、円相場が一時1ドル=109円台前半まで上昇。
本日の日経平均は通商摩擦拡大への懸念から157円安でスタートすると、前場には20672.29円(270.24円安)まで下落する場面があった。
取引時間中に発表された中国の5月製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回ったことも売り材料視された。
東証1部の値下がり銘柄は全体の7割強、対して値上がり銘柄は2割強となっている。
個別では、トヨタ自 (T:7203)が2%安、日産自 (T:7201)やホンダ (T:7267)が3%超安と自動車株の軟調ぶりが目立つ。
米国の対メキシコ関税がサプライチェーン(供給網)に影響を及ぼすとの懸念が広がった。
その他売買代金上位では、ファーストリテ (T:9983)、ソフトバンクG (T:9984)、ソニー (T:6758)などがさえず、武田薬 (T:4502)は2%超の下落。
パーク24 (T:4666)は決算を受けて売り優勢。
また、マツダ (T:7261)や千代化建 (T:6366)が東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、任天堂 (T:7974)、村田製 (T:6981)、花王 (T:4452)などが堅調。
アンリツ (T:6754)が3%超上昇したが、次世代通信規格「5G」関連の米企業の好決算が刺激材料となった。
レーティング引き上げ観測のMRO (T:3064)も買い優勢。
また、官民ファンドのINCJから追加支援を受けると発表したJDI (T:6740)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
セクターでは、鉱業、輸送用機器、石油・石炭製品などが下落率上位。
NY原油先物相場が大幅続落し、関連銘柄が売られた。
反面、水産・農林業、倉庫・運輸関連業など5業種が上昇した。
前日の米国株の反発を受け、日本株も自律反発の動きに期待したかったところだが、トランプ米政権の対外的な強硬姿勢の影響が直撃する格好となった。
不法移民流入を巡る不満からトランプ氏がメキシコからの輸入品に追加関税を課す意向を示し、日本企業でもメキシコに工場を置く自動車メーカーを中心に懸念が広がっている。
また、中国の5月PMIの予想下振れも加わり、日経平均は午前10時過ぎにこの日の安値を付けた。
ただ、朝方の売り一巡後はここ数日と同様に下げ幅を縮小している。
中国・上海株はPMI下振れにもかかわらず、景気刺激策への期待から小高く推移。
後場に入れば日銀による上場投資信託(ETF)買い入れも期待される。
しかし、足元でも円相場が強含みで推移している点は警戒しておきたい。
連日で海外情勢を受けたギャップダウンスタートとなっていることを考慮すると、積極的な押し目買いも入れづらいところだ。
後場の日経平均は軟調もみ合いの展開を想定しておきたい。
(小林大純)