企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(NASDAQ:ADP)とムーディーズ・アナリティクスが5日発表した5月米ADP雇用統計は、民間部門雇用者数が2万7000人増と市場予想の18万人増を大幅に下回った。
FRBが軟調なこの雇用統計を利下げの材料に使うという見方もある。
CMEグループが算出するFedウォッチでは、市場参加者は利下げ確率50%を織り込んでいる。次回FOMCは7月30-31日に開催される。
明日の米労働省の雇用統計に先立ち、日本時間午後9時30分に週次米失業保険申請件数の発表もある。
もし明日の失業率が予想を上回って増加すれば、利下げの可能性が高まり強気相場になるだろう。
本日の米国市場で注目の3ポイントは以下の通りだ。
1. ECBドラギ総裁金融政策発表
午後8時45分、ドラギECB総裁らが金融政策を発表する。6月政策金利は据え置かれる見通し。
ドラギ総裁はハト派姿勢を取ることが考えられ、来年の利下げ観測を強めている。
経済成長やインフレ率へ注目が集まる中、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の情報も見逃せないだろう。
2. 新規失業保険申請件数横ばい、貿易赤字拡大の見通し
午後9時30分、米週次新規失業保険申請件数が発表される。前回と変わらず21万5000件となる見通し。
米国が複数地域で貿易戦争に突入するリスクから、貿易収支が注目を集めるだろう。
午後9時30分、4月米貿易収支が発表される。
貿易赤字は505億ドルにまで拡大する見通し。
3. ズーム決算報告
米ビデオ会議ソフトのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(NASDAQ:ZM)は6日大引け後、上場後初めてとなる決算報告(2-4月期)を行う。
予想EPSは1セント、予想売上高は1億1170万ドル。
同社は4月に新規上場したのち91ドルという高値を付けた。同社に対する楽観的な成長見通しがこの高値を支えた。
JPモルガンは、同株は割高に見えるがその技術は「事業の進め方を根本的に変えるのに役立つだろう」としている。
ズームは最近の新規上場企業には珍しく収益性の高い企業だ。
同社は昨年、3億3050万ドルの売上高のうち純利益は758万ドルであったと発表した。
アナリストによると、ズームはLogMeInといった競合他社が存在するビデオ会議サービス市場でマーケットリーダーを獲得できる位置にあるという。
ズームは5日0.89%安の78.04ドルで終値を迎えたが、なおIPO価格の36ドルを大きく上回っている。