[デトロイト/ワシントン 12日 ロイター] - 米検察当局は12日、全米自動車労組(UAW)の幹部、バンス・ピアソン被告(58)を横領の疑いで逮捕、起訴した。米自動車大手との労使協約の期限を2日後に控えるなかで労組側に新たな汚職疑惑が発覚したことは、現在行われている労使交渉に影を落とす可能性がある。
ピアソン被告は昨年、米国西部および南西部の17州を管轄するUAWの「リージョン5」のトップに就任。前任のゲイリー・ジョーンズ氏がUAW委員長に就いたことから、ナンバー2だったピアソン氏が昇格した。
ジョーンズ氏に対しては、米連邦捜査局(FBI)が2週間前に、自宅など複数の場所で家宅捜索を実施。FBIはUAWの幹部に対して自動車大手から不正な支払いが行われた疑いについて捜査を続けてきた。ただ、ジョーンズ氏は起訴されていない。
ピアソン被告の起訴状によると、同被告を含む複数のUAW幹部は2014─18年の期間に経費申請を偽装した疑いがもたれている。とりわけ問題となっているのはカリフォルニア州でリージョン5が複数回開いた会合で、幹部らがホテル滞在中の高額な会食などの浪費で60万ドル以上を横領したとされている。
起訴状には「UAW幹部A」とされる人物の自宅から政府当局が3万ドルを押収したと記されているが、名前は明らかになっていない。
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UAWは声明で「政府が幾つかの事実を誤解していると確信しており、現時点では単に容疑であり、不正が証明されていないことを強調する」とした。
ゼネラル・モーターズ(GM) (N:GM)は疑惑の発覚に怒りと深い憂慮を表明、「権限と信頼の悪用であることが明白」とする声明を出した。
UAWを巡っては、自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA) (MI:FCHA) (N:FCAU)からUAW幹部に対する不正な支払いが行われた疑いやUAW内部の汚職を巡り、これまで9人が有罪を認めている。