日経平均は大幅反落。
268.25円安の21779.99円(出来高概算6億1000万株)で前場の取引を終えている。
26日の米株式市場でNYダウは反落し、79ドル安となった。
トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の電話会談を巡る内部告発書で、政権側が会談記録を隠蔽したことが明らかとなり、政権運営の先行き不透明感から売りが出た。
また本日、東京市場は9月末の配当等の権利落ち日で、配当落ち分は日経平均で160円ほどとなっている。
しかし、中国が米産品の購入を増やす意向と報じられたことなどから、円相場が1ドル=107.90円台まで下落する場面があり、本日の日経平均はこれを支えに113円安からスタート。
寄り付き後は為替相場がやや円高方向に振れたこともあり、日経平均は売りに押され下げ幅を広げる展開となった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の8割強、対して値上がり銘柄は1割強となっている。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)が売買代金トップで2%超の下落。
出資先の米シェアオフィス大手の経営立て直しや、運用ファンドに出資するサウジアラビアなどの中東情勢を巡る不透明感が嫌気されているようだ。
米半導体大手の決算がネガティブ視され、東エレク (T:8035)なども軟調。
配当落ちに伴いソフトバンク (T:9434)などの下げが目立った。
その他売買代金上位では任天堂 (T:7974)、ソニー (T:6758)、トヨタ自 (T:7203)などがさえない。
また、中国ファンドが金融支援を見送ったJDI (T:6740)や決算発表のクスリのアオキ (T:3549)が急落し、東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、KLab (T:3656)が活況を見せて急伸。
新作ゲームの好調な出足をはやした買いが入っているようだ。
業界団体が工作機械受注見通しを下方修正したが、キーエンス (T:6861)、ファナック (T:6954)、SMC (T:6273)といった関連銘柄はあく抜け感などから総じてしっかり。
また、足元で人気のオルトプラス (T:3672)はストップ高水準での買い気配となっている。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、電気・ガス業、その他金融業、銀行業、空運業、鉄鋼などが下落率上位だった。
本日の日経平均は配当落ち分を考慮すると、朝方こそ底堅さが見られたものの、その後市場の想定以上に弱い動きとなった。
ユーロ安に伴い、円が対ドルでも強含みに転じたことなどが背景として挙げられている。
ただ、日経平均が下げ幅を広げたのには、需給イベント通過による材料出尽くし感などもありそうだ。
当欄でも度々説明してきたとおり、株価指数連動型運用(パッシブ運用)での配当再投資に絡んだ先物買い需要が権利落ち前後(26日大引け~27日寄り付き)に6000~7000億円規模で発生するとみられていた。
今週の市場トピックとして投資家の関心が高かったため、これを通過して短期筋を中心に目先の利益を確定する売りを出している可能性は十分にある。
東証の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は2~13日の2週間に日経平均先物を約4900億円、東証株価指数(TOPIX)先物を約8500億円買い越していた。
売り方の買い戻しが大きいとみられるが、短期筋の買いも少なくないだろう。
また、日経レバETF (T:1570)の信用売り残が足元で増えており、個人投資家の日経平均22000円水準での節目意識が根強いことも窺える。
日経平均がここから持ち直し、22000円水準を明確に上抜けるには更なる好材料が必要となりそうだ。
(小林大純)