ドイツの7−9月期国内総生産(GDP)は前期比+0.1%と、予想外に前期—0.2%からプラス成長に改善し、かろうじて2カ月連続のマイナス成長、テクニカルリセッションを免れるポジティブサプライズとなった。
米中貿易戦争、英国の欧州連合(EU)離脱の不透明感などが響き需要が滞り、製造業が落ち込んだためユーロ圏最大の経済を持つドイツが6年ぶりの景気後退(リセッション)に陥ると懸念されていた。
リセッションが回避できたことで、一部には安心感も広がった。
消費、建設などの政府支出、輸出が回復したことが奏功した。
結果を受けてドイツのショルツ財務相は「ドイツ経済は柔軟性がある。
現在の弱さは世界の成長減速が影響していることは明らか。
来年に向けて成長を予想しており注意深く楽観的だ」と主張。
「弱い成長で、危機ではない」と財政策の必要性を否定した。
また、欧州中央銀行(ECB)の一部メンバーもタカ派に傾斜しつつある。
オランダ中銀のクノット総裁は「景気後退を恐れる必要はない」としたほか、「非伝統的手段に一段と慎重になるべきだ」と主張し、その副作用を警告した。
ビルロワドガロー仏中銀総裁も、市場の見通しと同じく、短期金利が底に近いとの考えを示した。
ドイツ政府が景気底入れを目指した財政支援を行う可能性が一段と後退。
ドイツ経済はこのまま回復するというよりも、逆に、今後、緩やかなリセッションに陥る可能性の方が高まった、と、エコノミストは見ている。
企業の悲観的な見方が完全に払しょくできたわけでもない。
ドイツの自動車大手、ダイムラーは人員削減を含めた経費削減計画の実施に踏み切った。
ユーロ高に向かうとも考えにくい。