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CACHD Research Memo(4):国内IT事業、海外IT事業、CRO事業を展開(2)

発行済 2019-11-22 16:09
更新済 2019-11-22 16:21
© Reuters.  CACHD Research Memo(4):国内IT事業、海外IT事業、CRO事業を展開(2)
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■CAC Holdings (T:4725)の事業内容3. CSV型事業の2つ目の柱を担うCRO事業CRO事業(CRO:Contract Research Organization、受託臨床試験実施機関)は、製薬企業が医薬品開発時に行う治験業務や製造販売後の業務の受託・代行サービスである。

2018年12月期の売上高構成比は22%、利益面でも国内IT事業に次ぐ規模にまで成長したが、2019年に入り収益環境は変調局面を迎えており、今後の動向には注視しておく必要がある。

(1) 合言葉は“答えは「CRO×IT」”CRO事業の直接的な業務は、CACクロア(本章において以下、クロア)が担っている。

独立系SIerのパイオニアを母体としているだけに、“答えは「CRO×IT」”を合言葉に「業務支援、IT、コンサルティング」の三方向から包括的なサービスを行っている。

この「CRO×IT」の姿勢は、社員のスキルセットにも表れており、医師、薬剤師、社会保険労務士などの有資格者を始め、安全性情報管理を、DM・統計解析、臨床開発、申請といったCRO業務で求められるスキルを持つスペシャリストが数多く在籍する一方で、全社員の約30%をICT人材が占めている。

クロアは、160社の取引先に対し、安全性情報管理業務(2018年12月期売上構成比49.8%)、治験業務(同22.8%)、製造販売後業務(同8.9%)、申請業務(同6.0%)、その他業務(同4.6%)といった分野での支援を手掛けている。

なかでも主力である安全性情報管理業務(医薬品の副作用情報を蓄積し、当局に申請する業務)、申請業務の実績は国内随一の実績を誇っている。

(2) 生産性向上への取り組みが続くクロアの業界ポジションを、日本CRO協会が発表している会員データをもとに考察すると、1)業界シェアは6%台を維持するも低下傾向、2)1人当たり売上高は業界平均を下回る、3)1人当たり売上高(労働生産性)の増加率は業界平均を上回る、といった点が指摘できる。

ここで留意すべき点は、クロアがモニタリング業務からのポーションが小さいことである。

モニタリング業務は、CRA(Clinical Research Associate)が臨床試験に参加する医療機関を訪問し、担当医師と直接面談し、プロトコル(試験実施計画書)の内容説明、試験進捗状況の確認、調査表の記入依頼・回収・精査などを行うため、1人当たりの付加価値が大きい一方で、労働集約型業務の色彩が強いという特徴を持つ。

モニタリング業務売上高(会員全体)の過去3年の年率成長率は8.8%と業界全体の7.1%を上回り、売上高構成比は60%に達している。

業務構成比の違いが、業界シェアの低下や1人当たり売上高の小ささの主因と見てよいだろう。

一方、業務構成比の違いを勘案しても、クロアの労働生産性の向上率は高いように見える。

クロアの労働生産性は、会社が発足した2016年に9%弱向上、2017年は5%強向上、2018年も17%弱向上している。

これに対し、業界全体の労働生産性は、モニタリング業務が2016年、2017年ともほぼ横ばい、2018年は2%弱向上、モニタリング業務以外は2016年に2%弱向上、2017年は8%弱悪化、2018年は4%程度の向上となっている。

総じてクロアの向上ぶりが目立つが、2018年における生産性向上は従業員数圧縮によるところが大きく留意する必要があるだろう。

クロアの労働生産性向上の要因としては、1)主力である安全性情報管理業務は各事業所内で対応できる比率が大きいため、IT事業で言うニアショア拠点の積極活用、2)独立系SIerが母体であることを最大限に生かし、RPA(Robotic Process Automation)などICT利活用による効率化・高精度化の推進、などが挙げられる。

なお、ニアショア拠点活用については、2019年初時点の総従業員数1,243名のうち、505名を占めるメイト社員(協力会社の社員)の存在が見逃せない。

(3) CSV型事業の典型として評価したいQualityLeadクロアは、ICT利活用によりCRO業務で生まれた余力をCRO周辺事業の拡大に結び付けようとしている。

具体的には、2018年から、製薬企業が個別に保有管理している医薬品探索研究用化合物や情報をクロアが集約管理、データベース化する事業(化合物・溶液管理業務、化合物共有ライブラリー。

以下、QualityLead)に取り組んでおり、成果を上げつつある。

2019年に入り田辺三菱製薬 (T:4508)(1月)と塩野義製薬 (T:4507)(2月)が参画を表明、さらに数社の利用が確定しているもようであり、将来的には年間3~5億円の売上貢献が見込まれるだろう。

QualityLeadの特徴として注目したいのが、同社グループが重視するCSV(Creating Shared Value、事業を通じた社会貢献)の典型例であることだ。

データベースを製薬企業やアカデミア、バイオベンチャーなどが共同利用することで、新薬開発において大幅な期間短縮やコスト削減、創薬機会の増加、といった効果が期待されるわけだが、高齢化社会が到来するなかで、膨れ上がる医療費の抑制に直結する医薬品開発の効率化は、まさにCSV的と言ってよいだろう。

また、クロアは、リアルワールドデータの活用にも取り組み始めた。

リアルワールドデータとは、診療報酬請求(レセプト)データやDPCデータ(病棟における療養費用に関わる各種データ)、電子カルテデータ、健診データなど実際の診療行為に基づくデータ全般を指す。

リアルワールドデータがデータベースとして整備され活用できれば、治験でない実際の治療における医薬品の実効性・安全性や費用対効果などが明確となり、医療サービスの良質化・効率化につなげることが可能となる。

つまり、リアルワールドデータ関連の事業化は、やはり典型的なICT利活用及びCSVと言え、クロアらしい取り組みとして今後の進展を見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

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