日経平均は4日続伸。
85.27円高の23458.59円(出来高概算5億株)で前場の取引を終えている。
26日の米株式市場でNYダウは55ドル高と3日続伸し、連日で過去最高値を更新した。
中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官の電話協議後、中国商務省は「問題解決に向けて共通の認識に達した」と表明。
トランプ米大統領も両国が通商合意に向けた取り組みを続けていると述べ、投資家心理が上向いた。
為替相場は1ドル=109円台と円安傾向が続いており、本日の日経平均もこうした流れを好感して79円高からスタート。
朝方には一時23507.82円(134.50円高)まで上昇したが、23500円手前でもみ合う場面が多かった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の6割ほど、対して値下がり銘柄は3割強となっている。
個別では、ソニー (T:6758)やファーストリテ (T:9983)が小じっかり。
前日に日立化成 (T:4217)買収との報道を受けて売られた昭電工 (T:4004)も反発した。
ニトリHD (T:9843)は3%近く上昇し、SCREEN (T:7735)も4%高と上げが目立つ。
中小型株の循環物色が続き、本日は日本通信 (T:9424)が商いを伴って急伸した。
また、一部証券会社の新規高評価が観測されたFスターズ (T:3687)やブロドリーフ (T:3673)も大きく買われ、東証1部上昇率上位に顔を出した。
一方、前日上げの目立った村田製 (T:6981)が反落。
電子部品株や半導体関連株には利益確定の売りが出ている。
ソフトバンクG (T:9984)、任天堂 (T:7974)、トヨタ自 (T:7203)は小安い。
「政府・与党は海外不動産への投資を通じた節税をできないようにする方針」と伝わり、オープンハウス (T:3288)は売りがかさんだ。
セクターでは、非鉄金属、電気・ガス業、鉱業などが上昇率上位。
反面、海運業、保険業、不動産業などが下落率上位だった。
前日の米株高の流れを引き継いで日経平均は4日続伸して始まったが、寄り付き後はややこう着感が強かった。
前場の上下の値幅は90円弱にとどまっている。
米中協議の進展期待はつながっているが、閣僚級の電話協議については前日に伝わっており織り込み済み。
具体的な協議進展が見えてこないこともあり、積極的に上値を追う動きは乏しいようだ。
前日の当欄で指摘したとおり、23500円水準では売りが出やすく、上値が重いことも意識されつつある。
また、米感謝祭を前に海外投資家の取引参加が減っているとみられ、前場の東証1部売買代金は8500億円程度にとどまっている。
23500円水準を明確に上抜けるには材料も市場のエネルギーも乏しいと言わざるを得ない。
反面、日銀による上場投資信託(ETF)買いや企業による自社株買いで「売りを出さない株主」の存在感が増しているうえ、足元では機関投資家による9月末配当の再投資の動きが意識されており、前週見られたように押し目を積極的に拾いに行く投資家も多い。
薄商いながら仕掛け的な売りは出づらく、日経平均はこう着感を増している。
個人投資家の物色は値動きの出る中小型株へと向かいやすいだろう。
マザーズ先物は足元で現物株指数との逆ざやが解消される場面があり、中小型株の先高期待が高まっていることが窺える。
ただ、12月の新規株式公開(IPO)ラッシュが接近すると個人投資家の資金も拘束され、需給悪化につながるとの懸念がある。
短期的な値幅取りの動きと割り切った方がよいだろう。
(小林大純)