[ロンドン 5日 ロイター] - 非政府組織(NGO)で環境問題を扱うウルゲバルトと、銀行の融資活動などを調べるバンクトラックはこのほど、欧州の一部大手銀行が、新規の石炭火力発電所をなおも開発している電力会社への資金融資を間接的に続けているとの報告をまとめた。関連融資すべてを断つように要請している。ロイターが5日、NGOから報告書を入手した。
調査は、こうした融資活動を最も行っている10行を分析した。内訳はバークレイズ (L:BARC)、BNPパリバ (PA:BNPP)、クレディ・アグリコル (PA:CAGR)、クレディ・スイス (S:CSGN)、ドイツ銀行 (DE:DBKGn)、HSBC (L:HSBA)、ING (AS:INGA)、ノルデア (HE:NDAFI)、スタンダード・チャータード (L:STAN)、ウニクレディト (MI:CRDI)。
10行による2017─19年9月末の融資額は560億ドルで、14年─16年の480億ドルから増加していた。
ウルゲバルトのカトリン・ガンズヴィント氏は「一部の銀行は、新規の石炭火力発電所への直接的な資金提供はしないと約束しているにもかかわらず、こうした企業への全般的な資金提供は行っている」と述べた。ウルゲバルトとバンクトラックによると、分析は金融データベースと、258の石炭火力発電所が得た融資の公表資料、電力会社の起債引き受けに絡む資料に基づく。幾つかのシンジケートローン案件などでは案件の中で各行が請け負ったシェアを推計したという。
分析対象となった銀行の大半は報告について、石炭火力発電所の開発への資金提供を中止する努力や、温暖化ガス排出の削減に向けた関与を反映していないと反論。クレディ・スイスはコメントを拒んだ。バークレイズはこうした新規融資も既存融資の拡大も既にしていないとし、報告書の一部データに異議を唱えるなどした。
欧州の銀行の多くは地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」以降、収益に占める石炭依存比率の高い企業への貸し出しの打ち切りや、鉱山の新規開発への融資を取りやめる方針を採用している。