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アドバネクス Research Memo(4):CASEに関連した引き合いも多い

発行済 2020-01-06 15:34
更新済 2020-01-06 15:41
© Reuters.  アドバネクス Research Memo(4):CASEに関連した引き合いも多い

■事業戦略(3) CASEのビジネス機会アドバネクス (T:5998)の自動車向けの領域は、2000年の参入当初、オプション系のカーナビなどのカーエレクトロ二クスやアンテナに領域が限定されていた。

2005年以降に計器とインテリア、2010年からはパワートレイン、そして2015年以後は安全・制御系(先進運転支援システム=ADAS:advanced driver assistance system)、HV・EV、自動運転へと広げている。

2019年6月に、国連の自動車基準調和国際フォーラムにおいて乗用車等の衝突被害軽減ブレーキの国際基準が成立した。

日本やEUなどの40ヶ国がAEBS(先進緊急ブレーキシステム、Advanced Emergency Braking System)の搭載を義務付ける。

これまで大型車のバスとトラックに標準搭載が義務付けられていたが、乗用車にも広がる。

対象となる新車は、日本が年間約400万台、EUが1,500万台程度になる。

義務化は、日本は2021年、EUが2022年を予定している。

同社にとってブレーキシステムそのものは範疇外だが、センサーや車載カメラに関連した需要が期待できる。

自動車業界に変革をもたらす4大テーマであるCASE(Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(共有)、Electric(電動化))では、「A」の自動運転と「E」の電動化に関連した引き合いが多く来ている。

「E」に関連したパワーコントロールユニット、インバーター・コンバーター、バイワイヤ(電子式運転制御)では、既にビジネスが動いている。

「A」では、LiDAR、ミリ波レーダー、センシングカメラ関連の開発に参画中である。

LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)は、「光検出と測距」ないし「レーザー画像検出と測距」を意味し、光を用いたリモートセンシング技術の1つになる。

パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析する。

ミリ波レーダーは、雨や霧、雪などの天候や逆光に強く、遠方のものの検知に優れている。

主に前方障害物との衝突事故回避装置の実現を目的に、車載レーダーとして開発、実用化が進んでいる。

車載カメラの役割は、ドライバーの視界補助や後方画像のモニターによる駐車支援のビューカメラから、自動車を制御するためのセンサー、すなわち「センシングカメラ」としての機能を持つようになった。

画像認識技術を活用して、カメラで撮影したデジタル画像を解析し、車両、歩行者、交通標識などを認識して、ドライバーに注意を喚起したり、警告を発する機能を持つ。

自動車の駆動方式で見た同社製品の潜在需要は、従来の内燃機関(Internal Combustion Engine:ICE)車よりもHV、さらにEVの方が1台当たり大きくなる。

ICE車向けの同社製品搭載量を100とすると、HVで120、EVでは125に拡大すると推定している。

ICE車が必要とするエンジン、ラジエーター、クランクシャフト、フレーム、サスペンション、シート、ボディなどは、同社の事業領域に入らない。

一方、安全・制御系のADASなどはICE車、HV、EVに共通するため、同社にとっていずれの駆動方式でも需要がある。

ICE車向けは線ばねなどシンプルな製品が多いが、EV向けの製品はフォーミングとインサートモールドなど複数の加工技術を用いるものも多くなるため付加価値が高くなる。

日本政府は、次世代自動車の普及拡大を自動車産業政策の重要課題と位置付け、「日本再興戦略改訂2015」において、「2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5から7割とすることを目指す」としている。

特に、EV・PHVは、CO2削減効果が高く、災害時に非常電源として使えるため普及に力を入れている。

経済産業省の「自動車産業戦略2014」によると、従来(ICE)車の新車販売に占める割合が2016年の65.2%から2030年では30~50%へ低下し、ハイブリッド車は約30%から30~40%へ、EV・PHVの割合が1%未満から20~30%に拡大する目標となっている。

自動化技術などにより高い生産性を誇り、海外工場への技術移転にも積極的に支援3. 労働生産性の向上とコストダウン2017年の日本の時間当たり労働生産性は米国の3分の2程度の水準であり、OECD加盟36ヶ国中20位にとどまる。

1人当たりの労働生産性(就業者1人当たりの付加価値)は36ヶ国中21位、製造業に限定しても主要31ヶ国中15位であった。

同社の場合、生産人員1人当たり売上高で見た工場別生産性において、日本はタイの約1.7倍、イギリス、米国、上海(中国)の約2倍、インドネシアの6倍以上と極めて高い。

2016年1月に開設した埼玉工場は、省力化・省人化に注力したスマートファクトリーを標榜する自動車専用工場である。

生産技術のマザー工場的役割は、新潟工場が担っている。

中国やASEAN諸国の賃金高騰には、日本の先進の生産技術を移転して対応する考えでいる。

自動化技術を海外に展開するために、日本の拠点は、技術者派遣(駐在)、出張支援、技術的問合せ対応、研修生の受け入れ、工場視察受け入れ、金型や製造装置の輸出を行う。

チェコ工場では、日本最高水準の深絞り技術を利用した製品を生産する。

地域拠点のイギリス工場が、金型の提供や技術支援をする。

調達面では、材料や副資材、二次加工、メッキについて経験値がたまってきたことから、本部主導の集中購買により仕入れコストの大幅な削減が可能になってきた。

また、機械を一括大量発注に切り替え、コストメリットを得るようにしている。

生産技術のデジタル化と匠の技術を融合し競争優位性を高める4. 参入障壁と生産技術の高度化精密ばねは、ITやエレクトロニクスの分野と比べて生産技術の模倣が難しいものの、市場規模が大きくないため新規参入の魅力が高くない。

一般的に、ばねに替わるものの発明は難しく、さらにコストの障壁がある。

金属加工技術は陳腐化しにくいため減価償却が終了した古い設備も比較的継続利用しやすく、新規参入者に比べてコスト優位性がある。

同社は、これまで技術者の属人的な経験や記憶などの大部分をデジタル化し、組織能力として共有化してきた。

自動設計やデジタル解析に活用し、デジタル化が難しい最後のミクロン単位の詰めの部分に匠の技術を集中することで本質的な強みを高めている。

トライアル・アンド・エラーを重ねてきた匠の研ぎ澄まされた感性や審美眼を製品の仕上げに及ばすことで、他社製品との違いを出す。

2社購買の部品が、いずれも基準値と許容される最大・最小値の差の公差の範囲内にあっても、自動アセンブリー機に装着されると精度の高い同社製品の消化が速いという。

匠の技術やノウハウを次世代に引く継ぐ仕組みとして、独自の技術者プログラム(ATTC:AdvanexTechnical Traing Center)や資格制度(マイスター制度)などがある。

日本の伝統工芸である和紙、日本刀、宮大工などを訪問して、ものづくりの精神を学ぶ「匠塾」を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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