[北京 5日 ロイター] - 中国国家衛生健康委員会は5日、新型コロナウイルスによる肺炎について、中国本土の死者が4日時点で65人増え、計490人になったと発表した。
本土の感染者は3887人増え、計2万4324人となった。
本土以外では、香港で4日、湖北省武漢を訪問した基礎疾患を持つ39歳の男性が死亡。フィリピンでも先週、武漢を訪問した男性が亡くなった。
香港で初の死者が出たことを受けて、米国のアメリカン航空グループ (O:AAL)とユナイテッド航空 (O:UAL)は4日、香港便の運航を停止すると発表。
加藤勝信厚生労働相は5日、横浜港沖に停泊しているクルーズ船の乗客乗員3700人のうち273人の検査を行い、現在結果が出ている31人のうち、10人から新型ウイルスの陽性反応が出たことを明らかにした。
世界保健機関(WHO)によると、その他24カ国・地域で計176人の感染が報告されている。
香港に入港したクルーズ船「ワールドドリーム」号でも現在、乗員・乗客1800人以上が検査を受けており、下船できない状況となっている。
ワールドドリーム号では3人のウイルス感染が確認されている。台湾の高雄港で4日、入港を拒否され香港に入港した。
香港当局は乗客がいつ下船できるのか現時点では不明としている。同号はドリームクルーズが運航している。
<経済への影響拡大>
米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は4日、感染拡大の影響で、「第1段階」通商合意で期待される対中輸出の拡大が後ずれすると予想した。一方、企業のサプライチェーン(供給網)に対し、壊滅的な影響は与えないとの見方を示した。
4日の金融市場は総じて落ち着きを取り戻したが、香港ではキャセイ・パシフィック航空 (HK:0293)が、今後2カ月で世界の輸送能力の約30%を削減すると表明。中国本土行きの便については約90%削減する方針を示した。
香港では4日、医療関係者のストライキが2日目に突入。香港政府に対し本土との境界を封鎖し、感染拡大を阻止するよう求めている。
香港ではこれまでに約17人の感染が確認されている。
マカオ政府は4日、カジノ事業者に対し、感染拡大を阻止するため営業停止を指示した。
5日のアジア株式市場は、中国政府が追加の景気対策を打ち出すとの期待を背景に落ち着いた値動きとなっている。MSCIアジア太平洋株価指数(日本を除く) (MIAPJ0000PUS)は0.3%高。
<外国人の退避続く>
中国政府は、米国が中国を訪問した外国人の入国を禁止したことを批判。過剰反応だとして、中国への支援を拡大するよう求めた。
アザー米厚生長官はフォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで、専門家チームを中国に派遣するWHOと米国の提案を中国側が受け入れることを期待すると表明した。
オーストラリアやニュージーランドなど複数の国は、引き続き自国民を武漢から退避させている。米国も武漢にいる自国民を退避させるため、追加の便を運航する可能性があると表明した。
新華社が5日伝えたところによると、新型肺炎の震源地となっている武漢市は、体育館、展示施設、スポーツセンターなど新たに8つの建物を病院に改造する作業を進めている。
今週に入ってすでに3施設を病院にする計画が発表されており、計11の病院が完成すれば、1万人の患者に対応できるようになるという。改造作業は5日中に終了する予定。3日にはベッド数1000床の仮設病院が患者受け入れを開始。2つ目の病院(1600床)も、5日に完成するという。
*内容を追加しました。