(ブルームバーグ):
●日本株は小幅続伸、円安進み自動車など恩恵業種高い-内需は安い
東京株式相場は小幅続伸。為替市場でドル・円相場が9カ月ぶりの円安水準となり業績期待が広がった。自動車や電機など輸出関連、海運といった円安メリット業種が上昇。小売や陸運など内需関連は安い。
水戸証券投資顧問部の酒井一チーフファンドマネジャーは「円安は輸出企業の業績に間違いなくプラス。低迷していた輸出関連株を見直すきっかけとなる可能性もある」と述べた。
- 東証33業種では鉱業や輸送用機器、保険、証券・商品先物取引、電機、海運が上昇率上位
- 小売や鉄鋼、陸運、サービス、医薬品は下落
- 小売では米企業の買収交渉に入ったセブン&アイ・ホールディングスが大幅安
債券市場では超長期債が上昇。この日に実施された20年利付国債入札の結果が順調だったことから買い圧力が掛かった。一方、中国の政策対応期待を背景に新型コロナウイルスの影響懸念によるリスク回避が一服して株高や円安が進んだことで上値は重かった。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの押久保直也シニアエコノミスト
- 20年債入札の結果が順調だったことで買い圧力が掛かり、超長期債が堅調に推移
- その後は高値警戒感が生じ、金利低下の巻き戻しが先物ゾーンを中心に出た
- 中国の政策対応や米国経済の強さを背景にリスク回避の動きが一服しており、上値の重さにつながった面もある
- 最低落札価格は101円25銭、予想は101円15銭
- 投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.99倍、前回は3.83倍
- 小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は2銭と昨年7月以来の小ささ
東京外国為替市場のドル・円相場は一進一退。前日の海外時間に約9カ月半ぶりの高値を付けた後、米景気の堅調さに着目したドル買いと輸出企業の円買いが交錯した。オーストラリアドルは根強い利下げ観測が重しとなって一段安。
マネーパートナーズの武市佳史チーフアナリスト
- ドル・円は昨秋からのもみ合い圏を上抜けてドル高・円安基調が明確になった。きのうの上昇幅はやや行き過ぎで、きょうは輸出企業の売りが出ているが、今後も調整を挟みながら徐々に上値を試していくだろう
- 目先は110円台後半まで調整する可能性はある一方、当面の上値めどは昨年来高値の112円40銭前後。新型コロナウイルスは感染力は強いが致死率は高くなく、相場にある程度織り込まれている
- 豪雇用統計は悪くない内容だったが、豪ドルの重しは新型ウイルスの同国経済への影響と森林火災の後始末を背景とした利下げ観測。これを押しとどめるほどの強さではなかった
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