(ブルームバーグ):
●日本株は全面安、ウイルス感染拡大でリスク回避-東証1部の99%下落
東京株式相場は大幅に下落し、TOPIXと日経平均株価の下落率は2018年12月以来の大きさとなった。新型コロナウイルスの感染が欧米や中東を含めてさらに広がり、世界経済への影響が不安視された。輸送用機器など輸出関連、鉄鋼など素材、医薬品中心に東証1部銘柄の99%が値下がり。
〈きょうのポイント〉
りそな銀行信託財産運用部の黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは「日本、韓国、イタリアで感染が拡大し、どこまでグローバルに広がるかという新型ウイルスで2度目のリスクオフ局面」と述べた。
●債券は大幅上昇、リスク回避の買いで先物は4年ぶり上昇幅
債券相場は大幅上昇。先物は4年ぶりの大幅高となったほか、長期金利は2019年11月以来の低水準を付けた。新型コロナウイルスの影響拡大への懸念から米長期金利が大きく低下し、内外の株価が急落したことを受けてリスク回避の買い圧力が強まった。
市場関係者の見方
野村証券の中島武信シニア金利ストラテジスト
- 先物が上値抵抗線だった153円30銭を抜けてきたことで、投資家が買い戻しを余儀なくされている
- 昨日の米市場でも中期債が強く、相対的に中期ゾーンの妙味が増していることも買い材料
- オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は今後2年で1回の日銀利下げを織り込んでおり、利下げヘッジで中期債を買う動きが強まると中期主導でブルフラット化が加速しやすくなる
- 対象は残存1年以下、10-25年、25年超、物価連動債で、買い入れ額はいずれも前回オペから据え置き
- 残存10-25年、25年超の応札倍率は前回から低下し、売り圧力の弱まりが示された
東京外国為替市場のドル・円相場は小幅上昇。米株価指数先物が反発し、日本株が下げ渋る中、海外市場で進んだ円高を巻き戻す動きが先行した。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の下押し懸念が強く、1ドル=111円台は重かった。
市場関係者の見方
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長
- 夜間での日経平均先物の下げからみれば想定したほどの株安ではないとの受け止めで、日本株安を見越した円買いが少し逆流しているのではないか。米株先物も戻しており、きのうの株安は少し行き過ぎとの評価
- ドル・円の110円30銭台は19日に抜ける以前かなり強い上値抵抗線として意識されていた水準。とりあえず固そうなので、いったん反転しているが、111円台に乗ってくると今の局面では戻り売りが出そう
記事についてのエディターへの問い合わせ先:丸田不可志 fmaruta@bloomberg.net, 山中英典
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