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シンバイオ製薬 Research Memo(3):「トレアキシン」は悪性リンパ腫の標準療法として適応拡大が進む(1)

発行済 2020-04-03 15:13
更新済 2020-04-03 15:21
© Reuters.  シンバイオ製薬 Research Memo(3):「トレアキシン」は悪性リンパ腫の標準療法として適応拡大が進む(1)

■シンバイオ製薬 (T:4582)の会社概要2. 開発パイプラインの動向(1) 「トレアキシン(R)」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)「トレアキシン(R)」は悪性リンパ腫向けの抗がん剤となる。

悪性リンパ腫とは白血球の一種であるリンパ球ががん化(腫瘍化)し、リンパ節や臓器にかたまり(腫瘤)ができる病気で、全身に分布するリンパ節やリンパ節以外の臓器(胃、腸、甲状腺、脊髄、肺、肝臓、皮膚、眼など)からも発生する。

血液がんの中でも最も多い疾患で、国内における年間発生数は10万人に約10人と言われている。

悪性リンパ腫は主にホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分かれており、日本では約90%がNHLで占められており、症状の進行速度によって低悪性度、中悪性度、高悪性度に分類され、様々な病型がある。

これらの中で現在、販売承認を取得しているのは再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、未治療(初回治療)の低悪性度NHL/MCLとなっている。

特に2016年に未治療の低悪性度NHL/MCLの販売承認を取得したことにより同分野での使用が広がりを見せ始め、2018年7月には日本血液学会の診療ガイドラインに「トレアキシン(R)」と「リツキサン(R)」の併用療法(BR療法)が標準治療法として推奨されたことで、名実ともに標準療法としての地位を確立しつつある。

未治療(初回治療)の低悪性度NHL分野では従来、R-CHOP療法※が標準療法として利用されてきたが、2017年第4四半期(10月−12月)以降は市場の浸透率でBR療法が逆転しており、2019年第2四半期(4月−6月)には全体の55%をBR療法で占めるまでになっている。

同社はBR療法の薬効の高さから、未治療領域での市場浸透率を2020年末時点で64%まで引き上げていくことを目標に掲げている。

※R-CHOP療法:「リツキサン(R)」とほか4剤を組み合わせた多剤併用療法また、開発パイプラインとしては現在、3本が進んでいる。

このうち、凍結乾燥注射剤タイプの「トレアキシン(R)」の適応拡大として、再発・難治性DLBCLを適応症とした第3相臨床試験については、2019年9月にすべての被験者の観察期間が完了し、2019年11月5日付で主要評価項目である奏効率において期待奏効率を上回る良好な結果が得られたことを発表している。

現在は、2020年12月期第2四半期中の承認申請に向けて準備を進めており、順調に進めば2021年12月期第3四半期からの販売開始が予想される。

再発・難治性DLBCLが適応対象に加われば、「トレアキシン(R)」の潜在市場規模は従来の2倍超に拡大することになる。

既存適応症3分野合計で1万人弱の患者数がいるのに対して、再発・難治性DLBCLの患者数は、その1.5倍の規模になるためだ。

患者団体並びに関係学会からもBR療法を早期に使えるようにしてほしいとの要望書が出ており、販売開始と同時に再発・難治性DLBCL領域でも「トレアキシン(R)」の急速な浸透が見込まれる。

「トレアキシン(R)」の液剤タイプであるRTD製剤に関しては、2019年9月に承認申請を完了し、順調に進めば2020年12月期第4四半期に承認され、2021年12月期第1四半期に販売が開始される見込みだ。

同社では現行の凍結乾燥注射剤からRTD製剤への切り替えを2021年末までに95%まで進め、2022年始より100%切り替えの早期達成を目指していく方針だ。

また、RI製剤については2018年11月に安全性の確認を主目的とした臨床試験を開始しており(予定症例数36例)、2020年前半での臨床試験完了、2022年上半期での販売開始を目指している。

RTD/RI製剤の適応症については、既に承認済みの全ての適応症のほか、再発・難治性のDLBCLも対象に含まれている。

RTD/RI製剤は米国市場で既にテバ(米)が「BENDEKA(R)」として販売しており、2017年時点でベンダムスチン市場の97%のシェアを獲得するなど、既にほとんどが液剤タイプに切り替わっている。

溶解作業が不要で医療従事者の負担が軽減されるほか、RI製剤については投与時間が10分(既存品及びRTD製剤は60分)と短く患者負担も大幅に軽減されるためで、日本でも早期の販売承認を望む声は強い。

なお、既存の凍結乾燥注射剤タイプについては、国内の独占販売期間が2020年で終了するため、後発医薬品が開発される可能性があるが、RTD/RI製剤が上市されれば機能面での差が大きいことから、事実上、独占販売期間を2031年まで伸ばすことが可能となる。

また、RTD/RI製剤が上市された場合の薬価は従来品と同水準となるが、仕入先がイーグル・ファーマシューティカルズに変わるため、利益率に関しては既存品よりも良化する可能性が高いと弊社では見ている。

また、悪性リンパ腫向けでは、2019年5月に薬価収載された国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法「キムリア(R)点滴静注」※の前処置としての使用が可能となったほか、現在進められている複数の臨床試験においても、併用療法の薬剤として「トレアキシン(R)」が使用されている。

直近では、2020年2月に中外製薬 (T:4519)が国内で進めていた再発・難治性DLBCLを対象とする国内第2相臨床試験(ポラツズマブ ベドチン+BRの併用療法)において主要評価項目を達成したことを発表している。

同療法は2019年6月に米国、2020年1月に欧州でそれぞれ販売承認済みとなっており、国内でも今後承認される可能性が高い。

再発・難治性DLBCL患者に対して、BR療法を行うか、ポラツズマブ ベドチン+BR療法を行うかは、患者の状況を見ながら医師が判断していくものと考えられるが、いずれにしても「トレアキシン(R)」が使用されることに変わりない。

こうした動きは、標準療法として今後も「トレアキシン(R)」の位置付けがより強固なものになることを意味しており、「トレアキシン(R)」の市場拡大につながるものと弊社では見ている。

※ノバルティスファーマ(スイス)が販売元。

適応対象は、再発・難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病又はDLBCL(そのほか複数投与条件有り)、対象患者数は国内で年間250人弱と見られている。

なお、「トレアキシン(R)」の経口剤(開発コード「SyB C-0501」)を用いた進行性固形がんや、全身性エリテマトーデス(SLE)※を適応症とした開発については、今回中止することを決定している。

試験結果が期待を上回るものではなかったことや、限られた経営資源を最大限活用することを鑑み、事業戦略的に新たに導入した「BCV」の国内及び海外での開発を優先させることにしたためだ。

※自分の免疫システムが誤って自分の正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫性疾患の1つで、全身の様々な臓器に炎症や組織障害が生じる病気で難病に指定されている。

日本の患者数は6~10万人。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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