[ワシントン 22日 ロイター] - 米上院共和党トップのマコネル院内総務は22日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける州政府の財政を巡り、連邦政府による支援には反対だとし、連邦破産法の適用申請を認めるほうが好ましいとの考えを示した。
新型コロナの感染拡大を防ぐため各州で外出制限や非必須サービスの休業などが行われ、失業者の急増や消費の落ち込みが見られる中、州・地方政府は大幅な歳入減少を予想している。
マコネル氏はラジオ番組のインタビューで、共和党は今後の新型コロナ対策法案で州・地方政府向けに追加支援を行うことは支持しないと発言する一方、州に破産法申請の選択肢を認めることは支持すると述べた。支援資金が州の年金基金救済に当てられる可能性があるためだとした。
民主党の州知事らはこの発言に反発。ニュージャージー州のマーフィー知事は「米国史上最大の医療危機のさなかに州政府の破産を望むかのような発言をするのはあまりに無責任だ」と非難した。
イリノイ州のプリツカー知事の報道官も、すべての州が歳入不足に直面しており、現実的な解決策で連邦議会の協力が必要だと訴えた。
現行では、市などの地方自治体は州が許可すれば連邦破産法9条の適用を申請できるが、州政府は破産法申請が認められていない。
このニュースを受け、 iシェアーズ・ナショナル地方債ETF(上場投資信託) (MUB)は下落した。3兆8000億ドル規模の米地方債市場では今のところ反応は見られない。
ミュニシパル・マーケット・アナリティクスのパートナー、マット・ファビアン氏はマコネル院内総務の発言について、政治的な駆け引きであり、州への追加支援を求める民主党から譲歩を引き出すための戦略だとの見方を示した。
Tロウ・プライスで地方債を運用するヒュー・マガーク氏は、あらゆる政府にとって破産法申請は最後の選択肢であるべきだと指摘した。
米下院は、21日に上院で可決された約5000億ドル規模の新型コロナ対策第4弾を23日にも採決する見通しだが、これには州・地方政府向け支援は盛り込まれていない。
全米知事会は21日、州の歳入不足を補うため5000億ドルの追加支援が必要だとあらためて表明した。2兆3000億ドル規模の新型コロナ対策第3弾では、州・地方政府向けに新型コロナ関連費用に使途を特定した1500億ドルが振り向けられた。