[ワシントン 4日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は4日、中国企業の「詐欺的な」会計慣行について米投資家に警告し、そうした企業の上場規則を厳格化する米ナスダックの最近の決定は世界の取引所のモデルになるべきだとの見解を示した。声明で述べた。
ロイターは声明の発表前に、長官の発言内容を報じていた。
長官の発言は、一部の中国企業の海外上場を制限したいトランプ政権の意向を反映するもので、貿易や新型コロナウイルス、香港を巡り緊張が高まっている両国関係の新たな火種となるとみられる。
ポンペオ長官は、声明で「米投資家は、米企業と同じ規則を順守しない企業に伴う隠された不当なリスクにさらされるべきではない」と指摘。「ナスダックの措置は米国の他の取引所や世界の取引所にとってモデルとなるべきだ」と語った。
また「全ての上場企業が国際的な会計・監査基準を確実に順守することを監査法人に義務付けたナスダックを称賛する」と述べた。
トランプ米大統領は4日、文書を発表し、米市場に上場している中国企業の監査を同国政府は認めていないとし、米国の投資家を守るための勧告を60日以内に出すよう求めるた。
「われわれは規則にのっとった断固とした措置を講じて、米国の透明性の高い規制を軽視する中国の行為を米国の投資家や金融市場に悪影響が及ばない形で終わらせる必要がある」と主張した。
金融市場運営会社の米ナスダック (O:NDAQ)は先月、会計の透明性に欠く中国企業の新規株式公開(IPO)を制限するため、上場基準を厳格化した。
それ以前には、中国版スターバックス (O:SBUX)と称されるコーヒーチェーンの「ラッキンコーヒー」 (O:LK)が、内部調査で、最高執行責任者(COO)らによって売上高が水増しされていたことが分かったと発表している。
ナスダックのアデナ・フリードマン最高経営責任者(CEO)は
4日、海外の会計を巡る問題は米証券取引委員会(SEC)にゆだねられていると述べた。
トランプ米大統領は先月29日、政権内の金融市場に関する作業部会に「米国の投資家保護を目的に、米株式市場に上場する中国企業のそれぞれの慣習」を検証するよう指示したと明らかにした。
米国務省のキース・クラッチ次官(経済成長・エネルギー・環境担当)は3日、ロイターに対し「実際の問題は透明性の欠如と米投資家への開示の欠如だ」と語った。
また「いずれの国(の企業)も、特に米市場で取引を行っている場合、不当に有利な状況を得るため米投資家にうそをつくことを認められるべきではない」と指摘。政権内で中国企業の不透明な会計慣行への投資家の意識を高めようとする動きがあると述べた。
香港取引所(HKEX) (HK:0388)のチャールズ・リー最高経営責任者(CEO)は4日、中国が「香港国家安全法」の制定方針を決定したことで米国の政治的圧力が高まっているため、米国に上場している多くの中国企業が今年、香港取引所に上場する可能性が高いとの見方を示した。
SECは、米上場中国企業の会計監査を巡り、中国政府と長年にわたり対立しており、SEC傘下の上場企業会計監視委員会(PCAOB)は、これら企業の重要情報に依然としてアクセスできていないとしている。
SECのクレイトン委員長は4月、投資家に対し、情報公開の面で懸念があることから米市場に上場する中国企業への投資には慎重に対応するよう呼び掛けた。
ある米政府高官は、2013年にSECが中国と調印した覚書を見直すことに期待を示した。この覚書は、中国の法律で情報開示が禁止されている場合、中国企業に情報を公開しないことを認めるもの。
同高官は「おそらく今はそれがまだ適切かどうか精査するときだ。適切でなければ取り消すべきだ」と述べた上で、決定するのはSECだと付け加えた。
*内容を追加します。