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アングル:黒田日銀、菅政権と連携強調 アコード見直しは尚早

発行済 2020-09-17 20:14
更新済 2020-09-17 20:18
© Reuters. アングル:黒田日銀、菅政権と連携強調 アコード見直しは尚早

和田崇彦

[東京 17日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は17日の会見で、アベノミクス継承を掲げる菅首相と連携して金融政策運営を行っていく方針を強調。財政・金融の連携でコロナ禍を克服し、景気回復につなげていく考えを示した。一部の識者からは、コロナ時代の財政健全化や金融政策のあり方を再定義し、アコード(政府と日銀の共同声明)を結び直す必要があるとの指摘が出ているが、黒田総裁は共同声明を踏まえた政策運営を続けていく姿勢を維持した。

<菅新政権とも緊密に連携>

菅氏の首相就任を受け、黒田総裁は会見で「政府としっかりと連携しながら政策運営していく」と述べた。安倍首相時代と同様、定期的に菅首相と会談していきたいとも述べた。

菅新政権でもコロナ対応が最優先課題となる。黒田総裁も当面の課題はコロナ対応だとし「強力な金融緩和措置により、企業などの資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく」と話した。日銀は17日、大規模な金融緩和の維持を決定。一連のコロナ対策も継続する。

<コロナ時代のアコードは必要か>

エコノミストからは、菅新政権の発足に合わせて政府と日銀が新しいアコードを結ぶべきだとの指摘が出ている。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「(2013年の)アコードは日銀と安倍政権の間で結ばれたものなので、新政権との間で本来であれば結び直す必要がある」と指摘する。新たなアコードで「ウィズコロナ、アフターコロナにおける財政・金融政策のあり方を改めて整理、確認する必要があるのではないか」という。

ウィズコロナ社会、アフターコロナ社会を見据え、金融政策のあり方を模索するべきだとの声は日銀内からも出てきている。若田部昌澄副総裁は2日、佐賀県金融経済懇談会でのあいさつで、ウィズコロナ時代の金融政策のあり方について検討を深めていく必要があると述べた。[nL4N2FZ0N7]

しかし、黒田総裁はこの日の会見で、政府・日銀のアコードの見直しには消極的な姿勢を示した。声明に盛り込まれた2%の物価目標を変えるつもりは全くないと話し、「経済政策全体の運営については、共同声明にうたわれた事項を引き続き踏まえていきたい」と語った。

政府と日銀がアコードを結んだ2013年1月、日銀総裁は白川方明氏だった。日銀内では、アコードに盛り込まれた目標は時を経ても通用するものであり、今日でもその意義は色褪せていないといった声が聞かれる。

河野氏は、アコードの見直しは円高要因になる可能性があり、なかなか見直しが進まない可能性もある、とも述べている。

<鳴りを潜める財政健全化論>

「今後ますます国家財政への監視が厳しくなり、いずれ日本のソブリン問題が顕在化する可能性は高い。財政健全化に向けた取り組みは極めて重要な課題だ」――。これは、2010年のギリシャ債務危機の際、日本の国債残高の大きさへの警戒感を示す当時の亀崎英敏委員の発言だ。

それから10年。コロナ対応で財政政策と金融政策がかみ合い、貸し出しや預金の増加、倒産件数の抑制など効果が出ている中で、日銀内では財政健全化への取り組みを重視する見方は相対的に小さくなっているようだ。

日銀は4月に国債の購入上限を撤廃した。国債増発に備え、積極的に国債を購入してイールドカーブの低位安定を目指す方針を明確にした。4月の金融政策決定会合の議事要旨では、財政健全化の必要性を指摘する委員の発言は出ていない。

<国債管理政策の一部>

菅内閣で再任された麻生太郎財務相は初閣議後の会見で、「まずは景気を回復させないと税収が増えない」と述べ、財政健全化より景気回復を優先させる考えを改めて示した。現在の低金利環境を生かした財政、財政投融資計画が重要だと話した。

日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)を実施したことにより、国債管理政策の一部になってしまった――。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の正直知哉日本代表は16日、ロイターのインタビューでこう述べた。

黒田総裁は会見で「日銀による国債の買い入れは、金融政策運営上の必要に基づいて実施している」と指摘。「政府の財政ファイナンスをしようという話ではない」と従来のコメントを繰り返した。

こうしたなか、日銀では、来年の自民党総裁選に注目する声も出ている。コロナの状況にもよるが、日銀の金融政策の妥当性や財政健全化が1つの焦点になる可能性があるためだ。

(和田崇彦 編集:石田仁志)

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