[東京 1日 ロイター] - 東京証券取引所で1日、システム障害が発生し、全銘柄が終日売買停止となった。システム障害による全銘柄の取引停止は2005年11月以来。終日売買停止は、全面的に電子システムでの取引が行われるようになった1999年5月以降で初めてとなる。注文受付も行えないため、立会外のToSTNet取引も終日停止となり、発出された相場情報は無効になる。
<ハードの故障が原因、大証は稼働>
東証によると、原因は株式取引システムの「アローヘッド」のハード(設備)の故障で、現段階で不正アクセスの可能性はないとしている。
東証はハードの障害が起こった機器からバックアップへの切り替わりが正常に行われなかったことによって相場情報が配信できなくなったと説明。ハードの交換を予定しており、その他メンテナンスなどを含め、明日以降、正常な売買ができるよう対応するとしている。
障害の原因は、株式売買の基幹システムを開発した富士通 (T:6702)と共同で調査を行っている。
同じシステムを使う札幌、名古屋、福岡の各証券取引所も全銘柄の売買を終日停止した。一方、先物取引が中心の大阪取引所は稼働しており、日経平均先物12月限は前日比130円高の2万3310円で取引を終えた。
<対応に追われる証券会社、立会内の売買停止までの注文は引き継がれず>
市場では「先物が動いているので市場参加者は比較的冷静のようだ。日経平均先物は米株先物に連動して上昇している。売買再開しても大きく売られることはないのではないか」(みずほ証券の調査部シニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏)との声が出ていた。
一方、各証券会社は対応に追われた。野村証券は午前の段階では、注文は受け付けているが「取引所の今後の発表によっては売買が成立しない可能性がある旨を説明した上で、注文を受注している」としていた。
東証は午後、「立会内市場では全銘柄について約定は成立しておらず、売買停止までの間に受け付けた注文はすべて明日以降の売買に引き継がれない」と発表。また、ToSTNeT市場では午前8時56分までに受け付けた注文は約定が成立しているという。
東証はシステム障害に関して午後4時半から会見する。
<金融庁が対応求める>
金融庁は、東証に原因究明と復旧に向けた対応を求めた。加藤勝信官房長官は午前の会見で、金融庁が原因究明と対応を指示しているとした上で、「取引所は経済の重要インフラであり、株式取引ができなくなっている現状は遺憾だ」と話した。
時事通信によると、氷見野良三金融庁長官が午後、官邸に入り、状況を説明したとみられている。
<ひろぎんHDはテクニカル上場>
この日上場したひろぎんホールディングス (T:7337)は「状況を見守ることしかできない。復旧を待ちたい」(広報担当者)とコメントした。東証の規定では「テクニカル上場」となる。
*内容を追加しました
(伊賀大記、久保信博、石田仁志 取材協力:竹本能文、杉山健太郎、浜田寛子、山崎牧子、梅川崇 編集:青山敦子、田中志保)