[ニューヨーク 9日 ロイター] - 12日から始まる週の米株式市場では、企業決算に注目が集まる見通し。予想ほど悪くない決算が発表され、市場に若干の安心感が広がる可能性もある。
リフィニティブのIBESデータのアナリスト予想によると、S&P総合500種指数採用企業の第3・四半期決算は、前年同期比で21%の減益と、第2・四半期の30.6%減益から改善する見通し。
新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)を受けた業績悪化は、第2・四半期が底だった可能性が高いとみられている。
12日から始まる週は、一部の大手銀行が決算を発表する。低金利や新型コロナに伴う景気後退が業績を圧迫した公算が大きい。
JPモルガン (N:JPM)とシティグループ (N:C)は13日に決算を発表する。[nL4N2GT077]
ストラテジストによると、S&P総合500種指数採用企業の決算は、全体としてはアナリストの慎重な予想を上回る傾向があり、第3・四半期決算は、そうした傾向が一段と強まる可能性がある。
米企業の業績予想は、従来とは異なり、下振れするケースよりも上振れするケースが増えており、ここ数週間で市場の業績予想が改善している。
ただ、予想を上回る企業業績が今後数週間の株価の支援材料となるかどうかは不透明だ。
ナショナル・セキュリティーズのチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「過去10年間では極めてまれなことだが、決算シーズン後に業績予想が改善している」と指摘。「これは非常に良い兆候だ。今回の四半期決算シーズンでは、予想を上回る決算が発表される可能性が高い」と述べた。
ただ、同氏は「唯一の問題は、第4・四半期に入り、多くの経済指標が横ばいになっていることだ」と発言。これが第4・四半期の業績予想の重しとなり、決算が予想を上回っても投資家の注目が集まらないケースが一部で考えられるという。
米労働省が8日発表した新規失業保険申請件数は、高止まりが続き、多くの失業者がなお復職していない状況を浮き彫りにした。[nL4N2GZ2LF]
決算シーズンがピークを迎える週には、米大統領選(11月3日)も実施される。追加の新型コロナ経済対策に対する関心も高く、企業決算への注目度が下がる可能性もある。
一部のストラテジストによると、すでに第3・四半期決算を発表した企業は、業績が予想を大幅に上回ったものの、市場の反応は鈍かった。
UBSのストラテジスト、キース・パーカー氏はリポートで「投資家の求めるハードルは非常に高い」と指摘する。
リフィニティブのデータによると、セクター別では、S&P総合500種指数のエネルギーセクター (SPNY)が前年比115%の減益と、最大の減益となる見通し。
小売り、旅行、観光など新型コロナで特に打撃を受けた企業を含む一般消費財セクター (SPLRCD)は、前年比で34%の減益が予想されている。
ただ、大型株が多いハイテクセクター (SPLRCT)は前年比で0.5%の減益と、セクター別で減益率の予想が最も低い。[nL4N2GX3X4]
シティの米国株担当チーフストラテジスト、トビアス・レブコビッチ氏は「確かに、6月末に比べれば事態が改善している」としながらも、新型コロナの治療法、米選挙、国内経済を巡って様々な不透明要因があると分析。
「今後の業績見通しが重要になるだろう。経営トップは警戒を解いていないかもしれない」と述べた。
(※原文記事など関連情報やアプリは画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)