3日の香港市場は値上がり。
主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比195.92ポイント(0.74%)高の26728.50ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が12.58ポイント(0.12%)高の10586.37ポイントとそろって反発した。
売買代金は1354億5000万香港ドルに縮小している(2日は1817億3900万香港ドル)。
香港経済の先行きが楽観される流れ。
IHSマークイット・エコノミクスが3日発表した香港の総合購買担当者景気指数(PMI)は今年11月に50.1となり、好不況の節目を示す50を上回るのは2018年3月以来、2年8カ月ぶりとなった。
また、モルガンスタンレーは最新リポートで、「中国から香港への旅客は2021年第2〜3四半期にかけて回復する」と指摘している。
中国景気の持ち直し期待も根強い。
中国の11月製造業PMIが大幅に上振れるなど、直近で公表された経済指標は総じて良好だ。
ただ、米中対立激化の警戒感がくすぶる中で上値は重い。
米議会下院は2日、米国で上場する外国企業に対し、経営の透明性を求める法案を全会一致で可決した(上院は5月に可決済み)。
中国企業を想定したものとみられ、情報開示が不十分と判断された場合には上場廃止を迫られることになる。
トランプ米大統領の署名で成立する見込みだ。
(亜州リサーチ編集部)ハンセン指数の構成銘柄では、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が5.9%高、香港リートの領展房地産投資信託基金(823/HK)が5.7%高、香港中心地に商業施設を保有する九龍倉置業地産投資(1997/HK)が4.2%高と上げが目立った。
このほか、前日急落した小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)が4.1%高と反発。
中国スマートフォン大手の小米は前日、新株と転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行で約40億米ドル(約4170億円)を調達すると発表し、株価は7.1%急落していた。
セクター別では、空運が高い。
中国南方航空(1055/HK)が4.7%、国泰航空(キャセイ航空:293/HK)が4.0%、中国東方航空(670/HK)が3.9%、中国国際航空(753/HK)が1.2%ずつ上昇した。
医薬品セクターもしっかり。
上記した石薬集団のほか、上海復星医薬集団(2196/HK)が3.7%高、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス:6185/HK)が2.6%高、薬明生物技術(ウーシーバイオロジクス:2269/HK)が2.4%高で引けた。
上海復星医薬集団に関しては、米ファイザーと独製薬会社のバイオNテックが共同開発したコロナワクチンが英国で近く接種開始されることが刺激。
上海復星医薬の子会社は今年3月、バイオNテックと提携し、中国・香港・マカオでコロナワクチンを独占販売する権利を得た。
また、国営メディアは2日夜、北京市の研究所などを視察した孫春蘭・副首相が同日、「中国でも臨床試験を進めてワクチン量産準備に入る段階」と述べたことを報道。
セクター全体の追い風となった。
半面、中国の金融セクターはさえない。
中国農業銀行(1288/HK)が2.4%安、中国工商銀行(1398/HK)が1.9%安、中国建設銀行(939/HK)が1.8%安、中国人民財産保険(PICC:2328/HK)が2.8%安、中国太平保険HD(966/HK)が1.8%安で取引を終えた。
中国の不動産セクターも安い。
華潤置地(1109/HK)が2.6%、中国金茂HD(817/HK)が2.3%、深センHD(深セン・インベストメント:604/HK)が2.2%、中国海外発展(688/HK)が1.1%ずつ下落した。
一方、本土市場は続落。
主要指標の上海総合指数は、前日比0.21%安の3442.14ポイントで取引を終えた。
金融株が下げを主導する。
素材株、エネルギー株、不動産株、自動車株、インフラ関連株、防衛関連株なども売られた。
半面、医薬品株は高い。
食品飲料株、運輸株、ハイテク株、公益株も買われた。
亜州リサーチ(株)