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USENNEX Research Memo(6):コロナ禍の影響は事業によって様々

発行済 2020-12-16 15:46
更新済 2020-12-16 16:02
© Reuters.  USENNEX Research Memo(6):コロナ禍の影響は事業によって様々

■USEN-NEXT HOLDINGS (T:9418)の業績動向2. 2020年8月期のセグメント別業績動向2020年8月期は、各事業セグメントで収益基盤の構築が進んだ1年であった。

しかし、2020年に入ってインバウンドの急減に続き、コロナ禍により4月に緊急事態宣言が発令されると顧客の業況は急激に悪化した。

そのため、法人向けICTソリューションや個人向けのコンテンツ配信などが成長し、店舗サービス事業の展開余地が拡大した。

一方、一部業務店などの苦戦、業務用システムやエネルギー販売の成長鈍化、インバウンドが減少となった。

このため事業間で景況や利益進捗に差が生じることとなった。

全体では事業ポートフォリオの効果で増益となったが、セグメント業績は、店舗サービス事業が売上高52,204百万円(前期比7.2%増)、営業利益8,840百万円(同14.8%増)、通信事業が売上高43,984百万円(同9.9%増)、営業利益4,034百万円(同52.7%増)、業務用システム事業が売上高20,291百万円(同0.7%減)、営業利益3,451百万円(同1.7%減)、コンテンツ配信事業が売上高45,863百万円(同36.2%増)、営業利益746百万円(同73.1%増)、エネルギー事業が売上高29,453百万円(同1.9%減)、営業利益98百万円(前期は368百万円の損失)、メディア事業が売上高4,112百万円(同21.8%減)、営業損失36百万円(前期は355百万円の利益)となった。

以下、それぞれの事業の収益状況の詳細を見る。

(1) 店舗サービス事業店舗サービス事業は、業務店・チェーン店向けに、店舗や商業施設向けサービスのラインアップの充実を図り、IoT/DXニーズの開拓を積極的に進めた。

また、音楽配信とIoTを中心に開業支援から事業環境の構築、集客、販売促進までトータルなソリューションサポートを推進した。

このため、2019年10月の消費税率改定を背景に軽減税率やキャッシュレス決済化への対応ニーズが大きな高まりを見せ、多機能・低価格のタブレットPOSレジ「Uレジ」や決済サービス「Uペイ」が好調に推移した。

特に「Uレジ」の売上高は前期比46%増と大きく伸びた。

さらに、インバウンド対策として、商店街や大型商業施設、公園、駅といった公共スペースへの公衆無線LANアクセスサービスの提供、日英中韓4ヶ国語による館内アナウンス「USENおもてなしキャスト」を提供した。

このため2020年8月期上期の業績は好調だった。

しかし、コロナ禍による緊急事態宣言に伴って、顧客先である店舗・商業施設などの収益環境が非常に厳しい状況となった。

このため、特にインバウンド急減の影響も大きかった飲食業を中心に解約が加速し、2020年5月には顧客件数が2万件純減するという事態となった。

一方、同社は店舗経営のスマート化を提案し、体温検知センサーの取扱いやLINEと提携した飲食店向けタブレットPOSレジ「UレジFOOD」、店舗検索・注文・事前決済をスマートフォンアプリのLINEで完結できるテイクアウトサービス「LINEポケオ」を開始するなど非対面・非接触ニーズへの対応を図った。

また、「テナント家賃保証サービス」や「USEN助成金診断サービス」を開始するなど、業務店に寄り添ったサービス展開を続けた。

この結果、同年6月には業況が回復基調となり、その後は5月の落ち込みを少しずつ埋めているところである。

なお、BGMチューナーの償却期間見直しにより1,124百万円が利益に乗っているが、これを除いても増益を確保することができた。

(2) 通信事業ブロードバンドインターネット回線の販売代理が小規模事業者向けを中心に堅調に推移する一方、自社光回線サービス「USEN光plus」の売上高が前期比19%増と順調に伸び、ワンショットからランニングへという収益構造改革も想定どおり進んだ。

「USEN GATE 02」のブランドでは、ネットワーク関連サービスやクラウドサービス、データセンターサービスなどをワンストップで手掛けた。

ほかにも様々なクラウドサービスを取りそろえてオフィスでの働き方をサポートし、顧客オフィスのICT環境の構築を進めた。

これによりコロナ禍の影響を受けながらも、リモートワークやオンライン会議など働き方の変化に対応した需要を取り込むことができた。

なお、個人向けのMVNOサービスをリニューアルし、再注力を図っている。

ヤマダホールディングス (T:9831)と提携しMVNOサービスを開始していたが、国内通信事業の通信自由化で雨後の筍のように登場したほかのMVNOサービス各社と同様の代理店や直販店を使ったコストの重い商売だったため、差別化が効かなかった。

今回は、ヤマダホールディングスとの提携方法を見直すとともに、NTTドコモ (T:9437)から回線を直接卸してもらい単純明快な料金体系に変更する。

さらに後述する「USEN IoT PLATFORM」に組み込んで業務店向けにも展開することになったため、収益化しやすくなる見込みである。

(3) 業務用システム事業2020年8月期上期は、東京オリンピックの開催予定、インバウンドの拡大継続、開業ホテル数の増加、それに伴う競争激化や人手不足への対応、キャッシュレス化の流れなどから、主力顧客であるホテルでITソリューション導入のニーズが高まり、ホテル管理システムや自動精算機などの導入がはかどった。

病院に対しては、長年培ったテクノロジーと知見により、人工知能を使った顔認証・保険証確認機能搭載の次世代型キオスクを総合病院などに販売し、クリニック・歯科医向け精算機を開発したことで新たに小規模病院にもドメインを拡大した。

しかし下期になると、コロナ禍の影響でインバウンドの減少と緊急事態宣言の直撃を受けたホテルで稼働率が大きく落ち込み、機器導入が計画どおり進捗しない事態にもなった。

このような状況下、コスト高に悩む飲食店向けに会計の完全無人化を実現する精算システムを開発し、また、厚労省が認定するオンラインで資格確認ができる顔認証付きカードリーダー「マイナタッチ」をリリースした。

加えて「Go Toキャンペーン」の効果もあって、2020年4月−7月に10~20%まで落ちたホテル稼働率が足元で50%を超えるようになるなど、アルメックスの業績も回復傾向に入ったようだ。

(4) コンテンツ配信事業外資系大手の参入などにより動画配信サービスの市場が活性化しており、「U-NEXT」は引き続きユーザーエクスペリエンスの改良やコンテンツの拡充、マーケットの開拓を進めるとともに、TVCMやWeb広告を強化、順調に契約者数を伸ばしていた。

それが、コロナ禍による「巣ごもり」需要をきっかけに2020年4月−6月は契約者数が一段と伸長し、2020年8月期末には中期目標としていた200万人を超え、その後反動減もなく安定的に契約者数を伸ばしている。

コンテンツ面では、ラインアップの拡大により引き続き見放題作品数業界トップの地位にあるが、音楽ジャンルの強化も図っており、初の取り組みとしてサザンオールスターズの横浜アリーナ無観客ライブを2020年6月25日に配信した。

デバイス戦略においては、リモコンから直接起動できる「U-NEXTボタン」の搭載やパナソニック (T:6752)のブルーレイディスクレコーダー「ディーガ」への対応を進めるなど、視聴者満足度の向上に注力した。

(5) エネルギー事業エネルギー事業は、緊急事態宣言に伴う経済活動自粛の影響により、顧客先店舗・商業施設などの休業や営業時間短縮が進行したことで、電気消費量が減少する影響を受けた。

また、高圧・低圧の全体供給契約数が純増となるなど、引き続き店舗サービス事業などにおけるフック商材という位置付けに変わりはないが、高圧帯において競争激化と価格競争力の相対的低下が課題となってきた。

このため、東京電力ホールディングスとの料率交渉や営業体制の見直しなど抜本的な対策を講じているところである。

(6) メディア事業コロナ禍による休業・営業時間短縮や訪日外国人の減少の影響に直撃した飲食店が顧客に多かったことから、同社は「ヒトサラ」で支援策を展開し、テイクアウト情報を掲載する店にInstagramから料理を注文できる取り組みを開始した。

また、新しい食体験「オンラインレストラン」や「飲食店舗の間借り」といったサービスも開始した。

同社業績に関しては、厳しい業況のなかでプロモーションコストを抑制したため、損失額を圧縮することができた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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