[ワシントン 4日 ロイター] - 米国際貿易裁判所は4日、トランプ前政権が「通商拡大法232条」に基づいて発動した鉄鋼輸入関税について、合法との判断を示し、鉄鋼輸入業者の訴えを退けた。
トランプ政権は2018年、外国から流入する鉄鋼とアルミニウムが米国の安全保障上の脅威になっているとして、大半の国から輸入される鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を発動した。
通商拡大法232条は、大統領が国家安全保障上の理由で商品の輸入を制限できると定めているが、ニュージャージー州の鉄鋼輸入業者ユニバーサル・スチール・プロダクツは、鉄鋼関税を導入した際に法的な「手続き上の不備」があり、国家安全保障上「差し迫った脅威」もなかったとして提訴していた。
これに対し、国際貿易裁判所は商務省とトランプ前大統領が通商拡大法232条を適切に適用したと判断。輸入品が国家安全保障上の脅威になっているかを判断する権限は大統領にあると指摘した。
米国鉄鋼協会(AISI)は今回の判決を歓迎。バイデン政権に対し、中国製など大量の輸入鉄鋼製品から国内産業を守るため、関税を維持するよう求めた。
バイデン大統領は1日、アラブ首長国連邦(UAE)から輸入するアルミ製品への関税を維持する決定を下しており、今後も鉄鋼・アルミ関税を撤廃しない可能性が高いとみられている。
バイデン大統領は声明で「UAE製のアルミ製品に適用される関税を維持することは、米国の安全保障上の利益に照らして現時点で必要かつ適切だ」と説明している。