[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は12日、米経済情勢について、FRB目標の達成には程遠く、量的緩和縮小の検討開始に向けた「さらなる著しい進展」を遂げるには「時間がかかる」との見通しを示した。また4月の低調な雇用の伸びと力強いインフレ率はサプライズだったが、FEBの計画を損なうものではないと語った。
朝方発表された4月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比で4.2%上昇し、2008年9月以来の大幅な伸びを記録。これを受け、クラリダ副議長は自身の予想を「はるかに上回る」数値だったと述べた。
4月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比26万6000人増と市場予想の97万8000人増を大幅に下回る伸びとなったことについては「史上最大のミス」とした。
一方で、物価上昇は一時的と引き続き想定。低調な雇用統計は雇用回復ペースを「より不確定な」ものにし、緩和的な金融政策の維持を確約したFRBの「見識」を証明しているとした。
さらに「インフレ率を低下させるために行動することをちゅうちょしない」と表明。ただ「雇用統計と同様、CPIも1つの指標だ。経済が再開すれば物価上昇圧力がかかることは以前から伝えてきた」と述べた。
また、米国内総生産(GDP)が年内に新型コロナウイルス禍前の水準に戻る可能性があるとしても、現在の雇用増加ペースでは雇用がコロナ禍前の水準に戻るのは2022年8月になると予想。米経済全体の回復が年内に「勢いを増す」ことが見込まれる一方、「労働市場の短期見通しは、経済活動見通しよりも不確定なもよう」と語った。
クラリダ副議長は「労働力の供給と需要のリバランスによる賃金や物価への影響は、労働参加率や特定セクターにおけるコロナ禍後の雇用のミスマッチの回復ペースに加え、こうした不均衡がどの程度長期間続くかに左右される」と述べた。
その上で「雇用が十分かつ完全に回復するまでは経済を支援するあらゆる措置を実施することを確約する」と言明。月額1200億ドルの債券買い入れの縮小を検討できるほど雇用が十分に回復するまでは「しばらく時間がかかる」とした。
クラリダ副議長は、インフレが幾分上昇する公算が大きいものの、年内に上昇ペースは鈍化する見通しとし、2022、23年には2%、もしくは2%を小幅上回る水準に戻ると予想した。