[ワシントン 8日 ロイター] - 世界銀行は8日、最新の世界経済見通しを公表し、2021年の世界全体の成長率が5.6%になると予測した。1月時点の予測から1.5%ポイント上方修正した。先進国での新型コロナウイルスのワクチン普及や米国で実施された大型刺激策、中国での成長加速が回復を主導し、景気後退後としては過去80年間で最も高い伸びとなる。しかし、ワクチンの「極めて不均衡」な供給が足かせになるとの懸念も表明した。
世銀は「回復は一様でなく、米国など、主に一部主要国における急回復を反映している」とし、多くの新興国や途上国では、新型コロナ感染者数が高止まりやワクチン普及の遅れがみられると指摘した。
こうした状況を踏まえ、世界成長率は22年まで、コロナ禍前に見込まれていた水準を約2%下回り、新興国の約3分の2の国で国民1人当たりの所得減少が解消されないとの見通しを示した。
マルパス世銀総裁は米国を含む主要国に対し、余剰ワクチンを途上国に迅速に分配するよう改めて要請した。
世銀のエコノミスト、Ayhan Kose氏は、22年の世界成長率予測は4.3%とした上で、「ワクチンの普及が途上国で加速すれば、5%近辺に達する可能性もある」という見通しを示した。
21年については、米国の成長率見通しが6.8%と、前回見通しから3.3%ポイント引き上げられ、1984年以来の高い伸びとなる見込み。
日本は2.9%と、0.4%ポイント引き上げ。
ユーロ圏は4.2%、中国は8.5%と、共に0.6%ポイント上方修正された。
中国を除く新興国は4.4%で、前回から1%ポイント引き上げられた。
世銀はまた、インフレ圧力の高まりに絡むリスクを指摘し、世界のインフレが21年に約1%ポイント上昇すると予想。「インフレの高まりが一時的で、インフレ期待が十分に抑制されれば、金融政策による対応は正当化されないだろう」とすると同時に、「インフレ期待に絡むリスクが抑制されなければ、新興国・途上国の中央銀行は、景気回復に適切とされる以上の金融政策の引き締めを迫られる可能性がある」と警告した。