[上海 9日 ロイター] - 中国の電子商取引大手アリババ・グループの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は9日、女性従業員に性的暴行を加えたとされるマネジャーを解雇したことを明らかにし、セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)防止に向けた制度を確立すると表明した。
アリババのイントラネットで公開されたメモをロイターが確認し、その後公表された。
メモによると、解雇されたのは、地元のスーパーマーケットからの食料品配達サービスを提供するアリババのシティ・リテール部門のマネージャー。張CEOは「再雇用することはない」と述べた。
この男性は、酒に酔った従業員の女性と「親密な行為」があったと経営陣に話しており、警察がこの件で捜査を行っているという。
ロイターはこの男性からコメントを得られていない。
アリババの広報担当者はメモについて、ロイターに対し「アリババ・グループは、性的不正行為に対して(一切容認しない)ゼロトレランス・ポリシーを持っており、全従業員の安全な職場確保を最優先している」と述べた。
週末には、ある女性従業員がアリババのイントラネットへの投稿で、出張中に上司と顧客から性的暴行を受けたと明らかにし、経営陣が対策を講じていないと訴えていた。
張CEOは、シティ・リテール部門の社長と人事責任者がこの件で辞任したと明らかにした。女性の投稿で言及された他の個人に対する調査も進められているという。
アリババは、セクシャルハラスメント防止に向け全社的なトレーニングを実施するほか、従業員がそうした問題について報告できる手段を導入する。また、性的嫌がらせに対するゼロトレランス・ポリシーを正式に制定するという。
張CEOは「飲酒を強要する醜い文化」にアリババは断固として反対するとも述べた。
メモには、出張先で夕食時に同僚と一緒に酒を飲むことを上司に命じられたという被害者の説明が詳細に記されている。
アリババのある従業員がロイターに語ったところによると、従業員らは同社のメッセージングアプリ「釘釘(DingTalk)」のグループチャットで、被害者への正義とセクハラ防止のための厳格な対策を求めている。