[26日 ロイター] - 米半導体大手のウエスタンデジタルがキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)との合併に向けて交渉を進めている。関係筋が匿名を条件に明らかにした。合併の規模は200億ドルになる可能性がある。
両社は早ければ9月中旬にも合意に達する可能性があり、合併後はウエスタンデジタルのゲックラー最高経営責任者(CEO)が新会社を率いる見通しという。
これについては、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が先に報じていた。報道を受け、ウエスタンデジタルの株価は一時15%値上がりし、時価総額が214億5000万ドルに膨らんだ。
キオクシアは昨年秋に新規株式公開(IPO)を予定していたが、米中摩擦の影響で業績悪化懸念が強まるなどしてIPOを延期。経済メディアのダイヤモンドオンラインは6月、キオクシアが9月にも東京証券取引所に株式を上場する方向で調整していると報じた。
関係筋によると、合併が成立しなかった場合、キオクシアがIPOに踏み切る可能性は残されているという。
キオクシアは26日、ウエスタンデジタルとの合併交渉を進めているとの一部報道について「うわさや憶測にはコメントしない」とした。また、上場に適切なタイミングを見極めていると明らかにした。
ウエスタンデジタルは、合併の動きについて憶測しないと述べた。
スマートフォンの新機種発売や高速通信規格「5G」の普及に伴い、半導体メーカーの間では旺盛な需要が見られている。ウエスタンデジタルとキオクシアの合併が成立すれば、NANDメモリー市場で首位の韓国サムスン電子に匹敵するシェアを持つ企業が誕生することになる。
NAND市場のシェアはサムスン電子が3分の1以上を占めるが、調査会社トレンドフォースによると、キオクシアは19%近く、ウエスタンデジタルも15%のシェアを持つ。このほか、韓国のSKハイニックス、米マイクロン・テクノロジー、米インテルが主要メーカーとなっている。
モーニングスターのアナリスト、ウィリアム・カーウィン氏はリポートで「合併はウエスタンデジタルにとって、急速に再編が進む半導体業界で自社の競争上の地位を強化するためのディフェンシブながら堅実な動きだ」と指摘。
「長期的にNAND市場は約3社の主要プレーヤーに再編される」との見方を示した。また「非公開企業のキオクシアにとって、200億ドル以上(の案件)ならしっかりとしたリターンを確保できるだろう」と述べた。
東芝は2018年、ベインキャピタルが主導する企業連合に約180億ドルで旧東芝メモリ(現キオクシア)を売却した。20年の年次報告書によると、東芝はキオクシアの株式をなお約40.6%保有している。
東芝は、キオクシアの経営には関与しておらずコメントする立場にないとした上で、株主価値を最大化するためキオクシアへの投資を巡り最善の方法を引き続き検討すると述べた。
ベインのコメントは得られていない。
合併計画は米欧や中国などの規制当局による反トラスト法(独禁法)審査が見込まれる。