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日立と東大生研が、超省エネルギー型ビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を研究開発

発行済 2021-09-03 10:05
更新済 2021-09-03 10:35
© Reuters.  日立と東大生研が、超省エネルギー型ビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を研究開発

■同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を実現

 日立製作所<6501>(東1)と国立大学法人東京大学 生産技術研究所(東大生研)は2日、超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を共同で研究開発したと発表。

 具体的には、ビッグデータ基盤のデータベースエンジンにおける処理方式を、エネルギー効率最適化の視点で抜本的に変更することで、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を実現した。今後、日立と東大生研は、ビッグデータの活用による社会課題・経営課題の解決と、環境負荷の低減を両立する高度なコンピューティング技術の一つとして、同技術を活用した超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実用化をめざしていく。

 今回の共同研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2016年度から2027年度にかけて展開している「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」において、「先進IoTサービスを実現する革新的超省エネルギー型ビッグデータ基盤の研究開発」として助成を受け、日立と東大生研が取り組んだ。

 近年、あらゆるビジネスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、企業が扱うデータ量は爆発的な増加を続けている。データは価値の源泉ですが、その利活用には蓄積・分析のための多数のハードウェアが必要であり、その結果、ITシステムが消費する電力量はますます増大し、省エネルギー化が課題となっている。この課題解決に向けては、従来取り組まれてきたハードウェアだけでなく、今後はハードウェアを制御するデータベースエンジンなどのミドルウェアも含めたITシステム全体でのエネルギー効率の向上が必要。

 現在、持続可能な未来を実現するために、環境負荷を低減する脱炭素化と気候変動対策への取り組みが全世界で加速しているが、ITシステムの省エネルギー化を実現することで、温室効果ガスの排出量削減にも貢献できると考えられる。

■超精密性能・消費電力モデルの構築と高度制御手法の確立

 データベースエンジン内のストレージにおけるアクセスされていない領域の電源をオフにし、必要な際に遅延なくアクセスでき、かつ、省エネルギー効果を最大化する電源オン・オフ管理に必要となる超精密モデルとそれを基にした電源管理機構を開発し、データベースエンジンに適用した。また、超精密モデルを基に、省エネルギー化の観点から最適なハードウェアの電源制御を定義し、データへの問い合わせ実行中に最適なデーターベースアクセスを判断する動的問合せ最適化方式を確立した。

■商用利用を想定した超省エネルギー型データベースエンジンの設計と実装

 商用利用を想定して1で開発したデータベースエンジンを設計・実装し、それを活用して消費電力のピークカット機能などの設計・実装を行った。

 これらの商用利用を想定した効果検証として、鉱山露天掘りの機器稼働管理IoTシステムを模した実証実験を実施した。実証実験では、鉱石を積み込むトラックに設置したセンサーから2週間分の積載量データを取得し、データ分析処理におけるエネルギー効率の評価を行った結果、一般的に利用されている従来型のデータベースエンジンと比較し、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を確認した。これにより、データ分析処理の省エネルギー化を実現し、CO2排出量の削減に貢献できる。

 今後も、日立と東大生研は得られた知見やノウハウを生かしながら、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会である「Society 5.0」の実現に向けた研究開発を進めていくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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