[ロンドン 5日 ロイター] - ジョンソン英首相は5日、国内経済が1970年代のようなインフレスパイラルに向かっているとの見方を否定したほか、企業は数十年にわたる安価な労働力の輸入に対する依存を払拭すべきだと述べた。
欧州連合(EU)離脱に伴う労働力不足が世界的な新型コロナウイルス危機によって悪化する中、燃料などあらゆるモノを巡ってサプライチェーンが混乱しており、成長が阻害されるとの懸念が強まっている。
首相はBBCラジオとのインタビューで、英国は危機に陥っているかと問われ、「ノー」と回答。国内外で幅広く起きているのはサプライチェーンの制約だとした。
インフレ率がピーク時に22.6%に達し、労働争議で経済が停滞したほか、ポンド危機で国際通貨基金(IMF)から借り入れをせざるを得なかった1970年代に英国が再び向かっていることはないと述べた。
英国が70年代のインフレスパイラルに再び見舞われる可能性ついて問われると、「問題がそういったものになるとは思わない。この国の物流・サプライチェーン解決能力は非常に強いと考えている」と語った。
また、企業は安価な輸入労働力への依存を断ち切らなければならないと強調。「過去20年以上、約25年われわれが目にしたものは、多くの種類の企業が低賃金、低コスト、移民を非常に長い期間にわたって維持できたアプローチだ」と述べた。
スカイニュースに対しては、英経済が新型コロナ流行に伴うロックダウン(都市封鎖)から再び活性化し、企業が需給の法則に従うことで足元のインフレ高進は解消されると指摘。英国のサプライチェーン(供給網)は堅固であり、運転手不足問題も緩和されつつあるとした。
英国では5日、運転手不足問題を解消するために英国軍による燃料の配達が開始された。ただ、ロンドンやイングランド南部のガソリンスタンドはこの日も引き続き閉鎖されているという。